毎年、桜が咲いたと聞くと、そわそわソワソワして仕方がありません。仕事に追われていた頃も、日がな一日空を眺めている今も(^^;)、私の心を一番わかってくれるのは、やっぱり西行さんのこの歌であります。
春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸のさわぐなりけり
(西行法師)
ならば今年は、もう桜まみれになってみよう!これまで、想像しても実行できなかったこと三つ。満開の週末にやり遂げてみました!そしたら、少しだけ桜の気持ちに寄り添えたみたいな気がしています。
今年の桜の思い出に。。。
①桜に包まれたくて、朝6時半、代々木公園まで早朝散歩
満開の時期の公園は、どこもかしこも喧噪に包まれます。お散歩コースの代々木公園でも、桜の下は足の踏み場なんて一ミリもないほど宴会シートに覆われてしまう💧。だから、会いに行くなら朝一番なのだ!そう思っていました。そして、やっと実行に移すことができました!
朝6時半、代々木公園「桜の園」。

殆ど誰もいません。時折、朝ランの人が走り去るぐらいです。桜の園の桜は、大方ソメイヨシノ、まさに満開の季節を迎えていました。「おはよう」と声をかけると、ふわりと枝を揺らしてくれました。

桜の園を通り抜け、少し歩くと「山桜」にも出会います。

そして、個人的にもっとも好きな場所は、その先にある、桜の森のような一帯です。

ここの桜は背が高く、見上げると空一面を覆い尽くしてしまうほど。

目覚めたばかりの鳥たちも、嬉しそうに枝から枝へと飛び回っていました。朝の光を浴びる姿は美しすぎて眩しくて、地面の草も土も石ころも、誰もが胸震わしているのだろうな。目にも心にも沁みわたる情景を動画に残しておきました(↓↓↓)。
それにしても、鳥たちがこんなにおしゃべりだったとは。あまりに大はしゃぎして枝を揺らすので、時折花びらが風に乗り宙を舞います。きっと、鳥は花の季節を待ち焦がれていたんだなぁ、そして一緒にいられるのがわずかな時間だって知っているんだな。かけがえのない時の中に佇んでいる私は、透明人間になった気分でありました。

何もかもが目覚める時、朝はどんな時間よりも透き通っているのだと、桜の花びらが教えてくれました。
②桜の帯を初コーディネートして、夜桜ディナーを満喫
桜を身にまとうなんて、私なんかが⁉おこがまし過ぎる。以前はそんなことを思ったこともありました。だけど、この国に生まれて、着物に親しんだ身の上としては、やはり、この身にも桜をお招きしてみたい!そして、この春、初めて、この桜の帯を誂えました。

着物:貴久樹さんのナチュラルタッサー小紋。若い頃の着物なので躊躇したのですが、桜花を受け止めるには桜色が良いのでは?と勝手な物語をこしらえて💦
帯:成謙さんの京友禅染め帯「芽柳に山桜」。山桜は花と一緒に紅色の葉っぱが咲きます。そんな山桜が好きで、芽吹き柳の緑がいかにも心地よく、春の訪れが待ち遠しくなった帯でした。

近ごろiphoneを買い替えました。すると、とても綺麗な写真が撮れるようになり、ちょっと申し訳ないぐらい💦桜満開の季節ということで、ありがたい記念になりました(^^;)

そして、桜の見えるレストランで、夜桜ディナー!という贅沢企画を実行してみました。(東京国立近代美術館内にある「ラー・エ・ミクニ」)
ここの桜は満開手前でありましたが、「美味しいね~」「桜きれいだね~」、あと何を話したっけな?アラカン夫婦の夜桜時間はあっという間に過ぎていきました。
でも、こんなひと時も桜のおかげ様なのでありますね。


③千鳥ヶ淵の桜には、ボートに乗って川面からご挨拶
桜シーズンの最後は千鳥ケ渕へ!
わりと毎年訪ねています。が、何しろ人混みが…しかも、コロナ後は海外からの観光客がとても増えてしまい、(仕事帰りにわざわざ足を運んで飲んだくれていた)靖国神社の夜屋台もなくなり、時代が変わってしまったのだな~と思っていましたが、やり残していることがある!
まずはこの景色、千鳥ヶ淵と言えばの景観であります。お堀になだれ込むように咲く桜たちは、さすがに圧巻で、今年も見ごたえ抜群です。

で、やり残していたこと、とは、あれです!みんなが楽しんでいるボート❣ あれに乗って、桜に大接近したいわけです。

というわけで、調べてみると、大変なことになっていました。
(桜期間中の千鳥ヶ淵ボート事情2025)予約ができるようになったとのこと。しかし、なんと一艘1時間10,000円とな?ちょ、ちょっとボートですよ!そうでなければ、朝9時から整理券配布。しかしこの整理券、満開の休日はものの1-2時間で配布終了!ただこちらは一艘1,600円。同じサービス同じボート。そりゃ~整理券ゲットするしかないワ💦そのため日曜日の朝9時にボート乗り場に行ったところ既に長蛇の列。並んで取れた整理券は、乗船時刻11時。
がしかし、初志貫徹(*^^*)

ほほほっ~!水面にも桜が咲いているようではないですか。なんとなんとの景観に、これまた大いに感動しきりでありました。

ボートに乗ってやりたいこと「お堀になだれ込む桜の枝の下を潜り抜けたい!」。漕ぎ手の力量不足もあり難儀しましたが💦何度もくぐり抜けに挑戦し、手の平に桜を乗せることができました。ひんやりと冷たくて壊れそうに繊細な桜花たちが、手の中でかすかに微笑んでくれたようでした。

満開の花たちは、花びらをこぼすことも厭わず、むしろ花筏づくりを楽しんでいるようでもあり、さすが全国に名をはせる「千鳥ヶ淵」の桜たちなのであります。

一時間の水面の旅、やり遂げることのできた、この心地よい体験に感謝です。素敵な思い出を動画にもおさめました(↓↓↓)。
というわけで、今年は、桜を大いに満喫しました。桜は毎年咲いてくれるのに、こんなに心を通わせたことはないのではないか?と思うほど。すると、これからアスファルトを埋め尽くすであろう花びらを思うにつけ、より一層、「さめても胸のさわぐなりけり」なのであります。
けれど、これまで、そうして惜しむばかりの桜でしたが、間近に触れ合ってみると、枝を離れて散りゆく花たちは、もしかして、次の春を約束してくれているのかもしれない、と気づいたりします。
「また来年ね、約束よ」と、若葉の芽吹きをチラリと見つつ、飛び立つ花吹雪が空の風にも願うこと、それはきっと、桜を愛でる全ての人の、命輝く日々がいつまでも続きますようにと。可憐な優しさと、凛々しい覚悟が身に沁みわたる、今年の桜季節なのでありました。
