コロナが猛威を振るう中、お店は何とも…どうしようもないほど静まり返っています。お客様に会いたい、でも会えない。このところ「ごめんね伺えなくて」なんて、メールやお電話を下さる方もあり、良かった、まだちゃんと繋がっているんだと安堵したりして。
こんな時はどうしよう、そうだ、やっぱりあそこに行くしかないのです。ということで、少し前に歩いた晩秋の山レポです。
これまたリモート疲れの相棒と連れ立って、うつむきながら到着したのは、ここ、東京都「奥多摩」です。
11月8日。残念ながら雨こそ降りませんでしたが、曇り空。煙る空の下でも草木の豊かな彩りは褪せることなく気持ちを癒してくれました。
今回は、奥多摩「鋸山」~「大岳山」~「御岳山」と長い縦走コースを歩きました。長く歩けば歩くほど、下界の辛さを忘れ去る?(^^;)
朝9時頃の奥多摩駅、ホホホっ既にこんな感じ。
実は本当の目的地は、奥多摩の「川苔山」でした。なのに、誰のせいなのか調査不足。川苔山は昨年の台風で登山道が半分封鎖されており、歩けないのでした。ということを駅に到着して知ることに。その時点で軟な心は折れるのですが、駅前の案内所でションボリと相談したら、このコースをおススメされました。
相当長い。歩き続けるだけで標準タイム6時間強、休憩やランチタイムを入れると7時間はゆうに超える。すると下山は午後4時を過ぎる。それって暗くなる。どうする?(以前に膝の故障で暗闇になりヘッドライトの灯りのみで足を引きずって下山して超怖かった)どうしよぉ~。と落ち込むと、相変わらずのヘッポコ相棒は・・・
「大丈夫!ヘッドライトは常に携帯済み♪ゴールの御岳山は夏に行ったばかり、地の利あり!大丈夫」というノー天気ぶりで、今回もハリキッテ、いえ、やむなく?Let’s go❣
奥多摩駅からテクテク歩いて、愛宕神社の入口から入って・・・と教えられた通りに歩いてきたのですが、ここからの頼みは地図のみ!なわけで、まずはペース配分含め、作戦会議。
誰もいない。マスクいらないね。あっ、木漏れ日。もうここでのんびりしているだけでも良いけどね。なんて弱気。
まあまあ、歩こうよ!と気持ちを立て直した矢先に、予想外の180段階段(-_-;)登場。しかも斜度が厳しくて怖い。なるほど、修行の道は険しいワ。。
登りきるとひっそりとたたずむ五重塔。奥多摩の街を見下ろして、守ってくれているのでしょうかね。
本格的な登山道、スタート。まずは最初の目的地「鋸山(のこぎりやま)」を目指します。
標高差約750m、うっキツイ💦 でも山ってイイよね。道がある。登れば到着できる。そう思うと安心して足が進みます。
おっ、天井の木の葉は黄色く色づいて、秋ですね。ちょっとだけ嬉しくなりました。
しばらくすると、紅葉は色とりどりに出迎え始めてくれて、もっと嬉しくなりました。
低山の山は登山道から眺望が抜ける場所は少ないのですが、おっ抜けた!しかも、秋深し!!とっても嬉しくなりました。
あっちの山肌の木々は、紅葉のじゅうたんみたいじゃないか!あっ青空(#^.^#)
鋸山までは、およそ3時間の試練です。アップダウンの多い山。せっかく急坂を登ってもまた、急坂を下る。下ると絶対また登らなきゃ!になるよね、じゃないと登頂できないハズ、下りたくないよ~ずっと登りでお願いしたい。険しい登り坂も嬉しかったりして。
標高を上げて行くと、紅葉の色が艶めいてきました。落ち葉を踏みしめる快感はこの時期ならではです。
なんと、可愛い山紅葉。下界の紅葉と違って葉っぱがふっくらとしているところが愛おしい。これからもっと真っ赤になるのよね。真っ赤になると落ちちゃうから、まだらな今がイイよね。
結婚してもうすぐ29年、お店を開業して14年、夫婦で山登りをはじめて約10年、何を数えても数字が大きく長くなり、感慨深い。
「ここ登りきれば頂上かな?」何度も根拠のない期待を述べるヘッポコですが、違います。頂上はまだです!
色づく広葉樹ばかりではなく、威厳のある大きな杉の林も歩きます。懐深い山容に感謝。
木の葉の色ってこんなに多彩だったのですね。赤と黄色と緑と茶色と・・・簡単に色分けしないでね、と言われているみたい。
鋸山って、鋸尾根のアップダウンが多くてギザギザだから「鋸(のこぎり)」って言うのに違いない!なんて、勝手に納得して、やっと到着!標高1109m。
すでに12時を回っているわけで、お腹ペコペコなのですが、この山頂は眺望がない。スマホで調べたところ、次の大岳山は運良ければ富士山が見える、眺望が開けた山頂だと知り、ラーメンはガマン。持参した柿をほおばって、次の山頂を目指すことに。。。修行は続く。。
しかし、鋸山~大岳山の2時間弱の縦走路は、それはそれは美しい紅葉のアーチでございました。
空腹ではありましたが、テンション上がりっぱなし、この山行最大の見どころの2時間でありました。登った人しか見られない、おとぎの世界のはじまりです(*^^*)
天井を埋め尽くす色彩の共演。うわぁ~!
見て、見てみて、山紅葉。可愛い~可愛すぎる!!
いやん、もう、言葉では尽くせない、感動的な山道が続きます。
ちょっとこの森の一部になってみました(^^;)
「平らな道が好き。こういうのずっと続けばいいよね」とご満悦ですが、それではどこにも辿り着けないし、どこにも降りられないよね。あ~でも、それもイイかもね。なんて。
走り回りたくなります。
そして、ついに天井は赤く染まりはじめました。
空はどんより曇り空、でもお空を染めるのは、木々の葉っぱたちなのです。
紅葉の葉っぱって、なんて可愛いのでしょう。
この葉っぱに包み込んでもらいたいです。
おとぎの小道を堪能しまくって、騒ぎまくっておりますが、実は次の山頂「大岳山」に登らねばならぬのでした。
それがまた、頂上直下は険しい山道です。
しかし、必ずもらえるご褒美がこれ!山頂からの大絶景。
大岳山(おおたけさん)標高1266m到着!
残念ながら富士山は雲に覆われて見えませんでしたが、午後2時、ようやくラーメンタイムとなりました。
ススキに会うとホッとする。どうしてだろう。なんだか自由そうで、弱々しくて、なのに強くて、簡単には枯れない。たぶん枯れない。紅葉の葉っぱは落ちていなくなってしまうけど、ススキは冬でも立ち枯れのまま、枯れてなくなってしまわない、ならば今の私は立ち枯れだ、できればススキの仲間に入りたい。
秋の野の草の袂か花薄
穂に出てて招く袖と見ゆらむ
(在原棟梁)
たそがれている場合ではないのでした!頂上を2時半に出ないと、暗闇前に御岳山に到着できないよ!焦りまくって下山開始。
この山は、山頂の前後が険しいようです。とはいえ、アルプスの鎖には比べられないのですが、油断禁物。
しかし、岩場を超えれば、これ!やっぱり絶景。
空が青くないのが残念ではありますが、十分に、君たちは美しい。
すでに夕方の気配が漂ってまいりました。でも、ますます木々は彩りを増しているようです。
山の夕暮れは早いのです。陽が陰り始める頃やっと御岳山の中に入ってきました。
良く見ると葉っぱって、隣どおしでも色が違う。しかも一枚の葉っぱでさえ、色んな色で出来ているのね。
お店では、たくさんの色に囲まれて過ごしておりますが、自然の色彩は無限大!
山の動物たちは、この色をどんな風に思っているのかな、例えば鹿とかサルとか鳥とかさ・・・
ここからは、整備された平らな道が続きます。夕暮れ迫る山路にも、色とりどりの葉っぱが煙っていました。
燃えてる?
ついに夜の帳が間近に迫りくる山肌に、誰?どうやらこの子はカモシカです。カモシカ!初めて会いました。じーーとこっちを見て、佇んでくれていました。「いつまで居るのだよ、夜は僕たちの場所なんだ」って言われているみたい。
確実に、燃えています。どぉーしようもなく、真っ赤な秋の盛りでございました。
ようやく、御岳山の茶屋まで下山。この先は街灯のあるハイキングコースに入るということで、ほっと一息、座り込んで夕焼けを待ちました。
そして、あっという間に、・・・空も負けずに燃えはじめ・・・(#^.^#)
もうすぐ、日が暮れるね。
大丈夫だよ、明日は晴れる。
でも、晴れてもお客さん来てくれないかも…
時間がかかるんだよ。空は広いからね。
なんで空?意味不明だよ。
じゃあ、山はでかいからっていうのはどう?
だめだよ、迷子になっちゃうよ。
だったら、やっぱ、道案内しないとね。
えっ?道案内?山道ならできるかもだけど、でも、下界の道はどうでしょね?
大丈夫だよ、うちの道でいいんだから。
って????
フワフワっとした会話が、夕闇に溶けてしまう頃、ようやく下山となりました。
コロナ渦となり、宿泊を伴う遠路の登山ができなくなり、回数はうんと少なくなりましたが、その分、近場の山を見直す機会ともなり、里山の温もりに癒されることを体感しております。
なかなか、どうにもならぬ世の中ではありますが、広い空や懐深い山に気持ちを預けて、じっと時を眺めて過ごすことも、たまには大事なことなのかもしれません。
大丈夫、明日は晴れる❣