「トトロの森」リハビリ散歩

お山歩&お散歩

今回は、緑の森と夕陽の湖お散歩レポートです。

私ごとですが、1月に左膝の靭帯を切ってしまって、おかげで30年も前に手術した右膝半月板の古傷にもダメージが発生して、趣味の山登りどころか、両膝不具合で日々の暮らしにも足を引きずって過ごす始末でございました(´;ω;`)

しかし、ここへ来て、もう我慢ならぬ。森が呼んでいる!というわけで、リハビリ散歩を決行することに。向かったのは、東京と埼玉をまたいで広がる狭山丘陵「トトロの森」です。

久しぶりに空が晴れた日曜日、折しも県外移動自粛開始前日、トトロが待つ森へ、相変わらずのヘッポコ相棒と数カ月ぶりとなるリュックを背負って歩きました。

新緑の森の中、ちょこっと一休みして、マイナスイオンを感じて頂けましたら嬉しいです。

ここは、スタジオジブリ『となりのトトロ』の舞台の一つとなった場所、ナショナルトラスト運動により、豊かな自然や里山の景色が保存されている森です。膝を痛めて登山禁止にならなければ知ることはなかったかもしれない森、首都圏にこんな場所があったことにちょこっと感動を覚えました。

季節は新緑。目に眩しいと言いますが、本当に眩しい!久しぶりに森に帰って来たという思いに満たされて、気持ちが高ぶってしまいました。

実はこの森へと入る手前には西武球場のドームがあります。交通量の多い道路から住宅街へと入り、くねくねと通り抜けると一気に景色が変わり、こんな森が広がるのです。

とはいえ、ありますよね~階段(-_-;) 両膝にはサポーターをして膝下にサポートベルトを巻き、念のために痛み止めまで服用しておりますので、一歩一歩踏みしめるように上がります。

足の裏からは久しぶりに木肌の感触が伝わってきて、やっぱりこうでなくっちゃ。とシミジミしながら。

急坂もアップダウンもほとんどないという親切な森。だけれども、日曜日でも、誰もいません。

時々空が広がって、あっ茶畑です。もちろん狭山茶ですね。春の空色はやわらかい。

間近には民家があり、古くからこの自然と一体になって暮らしてこられた里山の景色がありました。どこにでもあった自然循環型の暮らしが現代の中でも息づいていけるようにと、トラスト活動が続けられているのだそうです。ごく普通の民家と舗装された道路、その脇にこんな森が広がっているのです。

森というよりも、雑木林という感じの場所は、山深くに残された自然林と違い、木々と対話するやさしい人の手が掛けられた気配を感じます。

トトロの森は火気厳禁。なので、のんびり歩くか腰を下ろして空を見るか、持参したサーモスの温かいお茶を飲みながら、久しぶりの森を堪能いたしました。

狭山丘陵の真ん中には、狭山湖という貯水湖があります。東京都の水源として整備され、この湖いっぱいで東京4日分の水をまかなっているのだそうです。感謝m(__)m

トトロにちなんで、可愛い名前のついた場所もあったりします。

どんぐりの小道に咲くノムラモミジの新芽は真っ赤っか。やだ、ノムラ?野村?わたくしたちも野村でございます。挨拶完了(^^;)

「クロスケの家」は残念ながら休館中(^^;)。中には古民家を改装した建物があるそうで、もしかするとサツキとメイがお父さんと移り住んだ家なのでしょうか‥。

塀から中を除くと、里桜が見えました。春から新緑の季節へと、家の中では、クロスケたちがのんびりとお留守番中ですね。

狭山湖畔へと戻ると、民家の庭先に、なんと大トトロが笑っています。

土手の向こうは湖で、そろそろ夕日が落ち始める頃、急がなきゃ!トトちゃん、またね(*^^)v

そして堰堤に上がると、な、なんと、美しい!

ここは埼玉県の「自然百選」にも選ばれた場所だそうです。すぐお隣に住んでいるというのに、初体験で申し訳ないです。しかも、この景色を眺めている人はわずか。誠にもったいない時間をありがとうございます。

堰堤はきれいで歩きやすくて、ところどころにベンチもあり、湖は広くて静かで、夕陽が遠くの山々の稜線を浮かび上がらせてくれています。

まもなく日没を迎える時間となりました。湖岸のベンチに並んで座り、静かに落ちる夕陽を眺めることに。

目の前に、太陽へと続く道が光り輝き始めました。もしや、この道を歩いて来い!と言われているのかもしれません。どこに辿り着けるのでしょう。チリチリと煌く光を見つめていると、わたしたちの前には、まだひたすらに道が続いているのだと、教えられたみたいで、手前勝手にジンワリと嬉しくなりました。

あっ、なんと、雲。ちょうど太陽が沈む場所に現れた雲。光の道が消えてしまいました。空と地上の間を赤く染めて、今日という日が雲の中へと落ちていきました。

「ナショナルトラスト運動」とは、かねてより耳にはしていましたが「豊かな自然を利活用しながら次世代につなげる活動」のことです。なるほど、トトロの森の活動は1990年から始まり、少しずつ広がって来ているようです。いつもは大自然の森の中、山の中を歩いていますが、雑木林は人の手が入った森林、里山の温もりを感じるお散歩になりました。

ただ、その中にファッションホテルが乱立する景色にも幾度も遭遇し、経済活動と歴史や自然保護、その両立はいかに難しいものかと目の当たりにすることにもなりました。色んな思惑が交錯する中では、どうしても確固たる意志が必要になるのだろうと、胸を痛めつつあれこれと想いをはせる休日でございました。

でも、空だけは、誰に支配されることもなく、全てを包み込んでくれることに、ひとまず心から感謝して、リハビリ散歩完了です。

しばらくは都内から脱出することはできませんが、それでも日常の中にも、清々しい新緑の香りを感じて、心豊かに過ごしてまいりたいと思います。