紅葉の「月山」をたずねて

今年はいつまでも夏日が続き、秋風はどこの山を染めているのだろう。紅葉登山はいずこへ行こう。9月からずっと考えていました。

長年夫婦で登山に親しんでいますが、やわな山ノボラーのヘッポココンビもすでにアラカン!最近の山歩きのモットーは「辛いことはできません!ゆとりの山歩き希望」。とはいえ「非日常の世界にどっぷり浸りたい」(^^;)v。

過去ブログをサクサク見てみると、もしかして、東北がいいんじゃないだろか?例えば、「秋田駒ヶ岳」の幻想的なムーミン谷は素晴らしかった、「栗駒山」の錦繍の絨毯は大絶景でした!

そうだ!ならば、行きそびれていたあの山があるじゃないか!

月神さまの使者である兎が住むというあの山。その名は「月山(がっさん)」

「月山」は、過去にも度々計画したものの、悪天候で何度も断念してきました。今年こそ!頂上に泊まろう!(頂上小屋の営業は9/21まで)9月連休にそう決意して計画したのに、またしても台風で流れてしまいました💧

しかし、今年は諦めません!なんたって今年からの私はゆとり時間がたくさんありますから💦。

そして、10月中旬の連休初日、小屋には泊まれませんでしたが、満を持して決行しました!

おかげで、例年ならば雪もちらつくという10月中旬ですが、今年は見事な赤と黄色の山懐に浸ることができました!!

そんな、記録をダラダラ書いてみようと思います(*^^*) だって何しろ、とにかく大絶景↓↓↓

前日はお下見ハイク

月山(がっさん)は山形県の真ん中にある標高1984mの山です。一般的なコースは「八合目から登る羽黒山口コース(鶴岡からアクセス)」と「志津リフト口コース(山形からアクセス)」の二つです。東京からアクセスが便利なのは「志津リフト口コース」です。

私たちは、新幹線で山形下車、駅前でレンタカーを借りて向かいました。山形駅からリフトのある姥沢(うばさわ)までは高速道路を利用して車で1時間強。(路線バスと高速バスを乗り継いで行くことも可能)

というわけで、登山前日、リフト口姥沢の宿に宿泊することにしました。朝のんびり起きて、のろのろブーンと向かって午後3時頃に宿着。(宿は利便性優先で:月山リゾートイン)

まずは、明日の下見とまいりましょう。早速リフトに乗ってみました。

リフトは午後4時半まで。あまり時間がありませんが、「下見」と思えばぶらぶら行ける。

リフト下駅の標高は1265m、登山開始地点の上駅標高は1520m。リフト所要時間15分。いっきに標高をかせげます。が、この日の山は雨が降ったようで、その時間に下山されてくる人は随分と寒そうでした。

午後4時ごろはすでにもう誰もいない!と言っても過言でないほどでしたが、リフトを下りて少し歩くと、やさしくて大らかな山容に感動を覚えます。

雲の間から見え隠れする山肌は、おお~っ、みごとに紅葉しているではないですか!やったね❣

少しだけ登ってリフト上駅を振り返ると、これまた、おぉ~っ、真っ赤な秋🍁🍁

明日の登山に期待を膨らませつつ、4時半の最終リフトに遅れないように、ひとまず今日はトコトコと宿に戻って静かな夜を過ごすといたしましょう。

Let’s go! 快晴🌞

翌朝は雲一つない秋晴れ。リフトの始発は朝8時です。宿からは徒歩10分ということで、8時を過ぎてからのんびり向かったら、なんと、スゴイ行列ができていました。(リフト営業は10/14三連休最終日までなので、この連休は大賑わいでした)

待つこと15分、ようやく乗車。リフトで足をぶらつかせていると、うふふっ、山肌の美しい草紅葉が目に飛び込んできました。

私たちが歩いたコースはこちら。登りは右下から(リフト上駅→牛首下分岐→牛首→登頂)下りは左上から(山頂→牛首→姥ケ岳→リフト上駅)。片道3時間ほどののんびりコースを、長い休憩こみでたっぷり6時間かけて歩きました。

まずは、リフト上駅からなだらかな木道を登ります。やや肌寒いのですが、日差しが強くてすぐにジャケットを脱ぎたくなります。

登山道は昨夕とは違い、とても大勢の人が数珠つなぎで登って来られました。ちょこっと登って振り返ると、昨日も目にした上駅周辺の紅葉がきれい。もうこれだけでも十分な美しさに思えます。

黄金色の大草原

姥ケ岳への分岐地点までリフト上駅から10分ほど。そこから私たちは、牛首まで草紅(黄)葉の草原歩きを楽しみます!

どうでしょう~!あれに見えるのが「月山」。多くの山の頂上はヒュンと尖っていることが多いのですが、月山はとにかく柔らかくて優しい山容が魅力です。

まずはここ、牛首に向かう大草原は、黄金色に輝いていました。多くのハイカーさんは姥ケ岳経由で行かれるようです。こちらから歩く人は少なくて、とても快適な木道歩きが小一時間続きます。

尾瀬に似ているけれど、尾瀬よりも山に抱かれているのだという実感がわきます。やわらかで広大なこの草原の魅力は、どんな言葉を尽くしても足りなく思えるほどでありました。

いや、もう。

本当に、素晴らしい別世界です。

錦繍の山道は大賑わい

牛首分岐に到着して、振り返ると歩いてきた木道が見えました。うひょい♪なんと素敵な道なのでしょう。

が、ここ牛首分岐は姥ケ岳から来た人との合流地点、ここから山頂までは一本道です。なので、登山道は大渋滞💦

牛首から山頂までの小一時間は登りになります。でもでも、みんな同じペースでゆっくり登れるのと、何しろ傾斜がゆるやかなので息が上がることもありません。足元の岩場だけ気を付けて。

すぐに、カエデやナナカマドの赤々とした紅葉が目に飛び込んできました。みんな大歓声です。

振り返ってみました。姥ケ岳から湯殿山への稜線が誠に美しい!!

2~30分登ると開けた場所についたので休憩してみました。だって、この景色!

ここに来られたことに、心の底から感謝です💓

みんなで連なってドンドン登る。こんな大賑わいな登山道も久しぶりですが、日々刻々と変わる季節を誰もが追いかけたくなるのでしょうね。

標高を上げると、ますます稜線が美しく空に映えます。

山頂直下のカエデもこんなに真っ赤でありました。

この岩場をゆるゆる登りきると、もう山頂かいわいです。

山頂かいわい散策

山頂は広い広い高原です。そしてそこに、守護神「月読命」が祀られる月山神社が鎮座しています。月の精である兎は悪運から逃れるお守りでもあり、ホントはここで記念のウサ子お守りを手に入れたかったのですが、神社は9月中旬に閉じられていました。残念。

あっ、右の小屋が泊まりたかった頂上小屋。ここも営業は9月中旬まで。

そして芭蕉の句碑がありました。

雲の峰いくつ崩れて月の山(芭蕉)

月に照らされた山はどんなにか神々しいものであったでしょう。いつか頂上で夜を過ごしてみたいものだと思います。

神社の入口。

これより先は撮影禁止×なのだそうで、ひとまず謙虚に記念撮影(^^;)v

この神社の裏手に月山頂上の一等三角点があります。神社からぐるりと回って15分ぐらい登ったところ。

で、来ました!月山1984m。お疲れ様!

頂上からの眺望もまた清々しくて、いくつもの峰々が連なり合う、爽快な景色でした。こりゃぁ、空が飛びたくなりますね。

下山道も大絶景

いやぁ~下山したくありません。だけど、頂上の高原が広くて、お弁当を食べたり、ぶらぶらしているうちにあっという間に時が過ぎていきます。

下りなくちゃ!最初は石ころゴロゴロのザレ場です。でもゆるやかなので大丈夫。

見納めと思いつつ、何度もカメラを向けてしまう。

姥ケ岳(うばがたけ)へ

間もなく牛首分岐。そこから私たちは「姥ケ岳(うばがたけ)」方面に向かいます。

道が分かれると、多くの人は草原方面へ向かって行かれました。おかげで姥ケ岳ルートはガラガラ快適。

振り返ると月山!大きく手を振りました。

「ありがとう~月山」

山の時間は早くて、午後2時頃には西日が差します。おかげで黄葉した草が煌いていました。

湯殿山への分岐地点に着きました。山肌は誠に美しい。

振り返ると稜線の美しいことと言ったらありません。あっそうか!私たちは振り返って稜線を見るけれど、こっちから登ると目の前に稜線を見ながら歩けるのだな。ふむふむ。でも、人が少なくて何度も振り返ることができるのも楽しいものです。

月山に雲の影が落ちていました。ここは空の一部なのですね。

姥ケ岳山頂到着。ここは360度美しい景色が堪能できます。広場と木道があり、ゆっくり休憩もできます。もしもう一度、月山にもどって来られたら、ここでお昼ご飯にするものいいかも。そして、月山をながめながら、牛首から草原地帯をぐるりと一回りのハイキング。今度はそうしよう!と思いました。

ここからは木道を歩いて、もうすぐ出発点へと戻ります。「あ~もう少し、あともうちょっと、ここに居させて欲しい!」と思わずにはいられませんでした。

ありがとう月山

あっという間に、ロープウェイ上駅が見えてきました。なんだか朝よりも赤色が増しているのではないか?もしや黄色も増えている?紅葉が急ぎ足で進んでいるようです。

冬の月山は豪雪の山となります。もう間もなく、赤や黄色に緑の色彩は神秘的な白銀の世界に包まれるのですね。そんな季節にも思いを馳せつつ、「きっとまた帰って来れますように、きっとだよ、ネ💛」。

前夜にほろ酔いで宿の近くを散歩したら、満点の星空でした。山の中は空の中、空の中は宇宙の中。壮大な世界に身を置けていることを、いつもながら、山に教えてもらっています。