ムーミンに会いに、秋田駒ヶ岳

紅葉の山

 先日、母を見送りました。実は、昨年からの病院や施設生活の慰めにと、なぜだか私、ムーミンのぬいぐるみを見つけてプレゼントしていました。それから母は枕元で可愛がってくれていたのですが、先月の旅立ちの際には、その場にいられなかった私を気遣ってか、看護師さんがムーミンをお供にと添えて下さっていました。そのまま彼は母の旅立ちの付き添いをすることと相成ったわけですが・・・

 あれから、それで、ムーミンはどうしたのだろ?ちゃんと、あっちへ送り届けてもうムーミン谷に戻っているのだろうか?なんて、またアホな妄想をしておりました。ところが、割と近くに、「ムーミン谷」を見つけたのです。

 あっ、ムーミン!ムーミンはご存知のとおり、北欧に住むという妖精の仲間。ムーミン一家の物語は幼い頃の定番のアニメでした。近ごろではカフェなどもできて、世界中で愛される、優しくて気のいい仲間たちです。

 そのムーミンたちの暮らす谷、実は秋田県に見つけましたv
 本日の山レポは、そのムーミン谷のある、秋田県「秋田駒ケ岳」でございます。

 ここが、その「ムーミン谷」。
 本日は紅葉を始めた花の名山「秋田駒ケ岳」の爽快な景色を歩いてまいりました。

 この谷にたどり着くためには、山あり谷ありのロングコースを歩かねばならぬわけですが、やっぱりちゃっかりヘッポコ山ガールとしては、八合目までバス!という選択でございます(^^;
 
 コースはこんな感じ。
 秋田駒ケ岳八合目(1,310m)→片倉岳展望台(1,456m)→阿弥陀池(1,530m)→男女岳(秋田駒ケ岳山頂、1,637m)→男岳(1,623m)→ムーミン谷・駒池(1,350m)→大焼砂分岐(1,350m)→大焼砂横岳(1,583m)→阿弥陀池(1,530m)→片倉岳展望台(1,456m)→秋田駒ケ岳八合目(1,310m)

 実は、標高はそんなに高くないのですが、何しろアップダウンを繰り返しますので、なかなかに大変でした。でも東北秋田、やっぱりスケールが違いました。大きな景色に包まれて、それはもう別天地!という感じでしょうか?色々あった夏でしたが、ここで一度、身も心もリセットです。

 では、本日も山歩き、Let’s go!!
 八合目登山口をスタートすると、びっっくりするほど山が紅葉していることに感動しました。まずは、あそこまでのぼるのネv 気温も低くてフリースなんか着込まないといけないほどでしたが、登山には丁度イイ。

 紅葉登山とは思ってもいませんでしたが、もうこんなに色づいています。

 片倉岳展望台を過ぎると、色とりどりの草木が優しく登山道を導いてくれます。

 標高差200mぐらいを1時間ぐらいかけてゆっくり登ると、木道に出ました。ちょっと別世界。

 この先は、「阿弥陀池」という池です。池の周りは、男女岳、男岳、横岳などの山に囲まれた谷になっているのでガスが発生しやすくて、なんだか幻想的です。

 それもそのはず、実は秋田駒ケ岳は花の百名山としても有名で、本当は初夏~夏にかけては一体は高山植物のお花畑になります。そしてこのあたりは、「阿弥陀池」とか「浄土平」なんて名前もつけられていて、雲上の楽園、誰もが簡単に到達できる極楽浄土っていうわけです。なので、ちょっぴり、タイムスリップ気分を味わえるのですv ガスはあっという間に晴れて、美しい浄土の池のお目見えです。

 で、極楽浄土で水遊び(^^; 

 さて、とはいえ、山頂も行っとこ!秋田駒ケ岳の山頂「男女岳」はあそこ!

 阿弥陀池からは標高差100mという感じなので、サクッと登頂です。

 山頂から見る、阿弥陀池、その向こうに見えるのは男岳と横岳ですが、目的地の「ムーミン谷」は実は、あの山の向こう側なんです(^^; 降りてまた登って降りなくてワ。

 向こう側へ行くための、登山道・・・行かねバ!

 一気に登りきると、やった、見えました~!ここがムーミン谷♪なんだろあの丘みたいなの?あれは小岳といいます。うずまきを巻いたお菓子みたいな山が可愛いです。ムーミン谷も紅葉が始まっていました。

 でも実は・・登るよりも、これから先、ムーミン谷にむかう、これから300mの急坂の下山が今回の山行の中で最も大変でした。下りなのに・・・

 浮石だらけで、石に乗ってズルリと滑り落ちてしまいそう、へっぴり腰で怖々降りると益々石が動くわけで、おかげで滑ること2回、コワイコワイを連発して・・・でもムーミンはへっちゃらかな(^^; なんて、で、無事に谷に到着して、木道歩きが快適です。ここからは、ムーミンたちを探さねば(^^; あっ向こうに見えるのはニョロニョロたちのいる池かな・・?(駒ケ岳では駒池という名前ですが)

 振り返るとさっき降りてきた男岳、もしやあれは「おさびし山」では?なんて(ーー;)

 この木道はとっても長くて、山に囲まれた谷の爽快なことと言ったらありません。ご飯を食べたりお茶を入れたり、歩いたり・・。意外にも阿弥陀池で折り返して帰る人も多いのか、人影まばらなムーミン谷では、山の空気を満喫できます。6月~7月にはムーミン谷の誇る「チングルマ」という白い花が咲き乱れるはずですが、今はそのチングルマの紅葉地帯です。ア〜気持ちいい、しばらく、できればこのまま、ここで過ごしたい・・。

 そうね、でもね、「いずれどっかへいくだろうさ…。それともどこへもいかないのかもしれないぜ…。どっちでもいいさ。このままで、とてもたのしいじゃないか。 」(byスナフキン)

 しかし、それが・・・この先驚くことに、穏やかな谷の出口を過ぎると、いきなりこんな場所。さすが・・・そういえば、ここは火山でした(ーー;) 大焼砂(おおやけすな)という火山砂のエリアへ、突然の別世界です。

 ここはきっとスナフキンしか来ないかもしれないなぁ~スナフキンさながらに・・・黄昏てみました。

 そして、長い長い砂利道を、大焼砂横岳へと登ります。思えば、さっき300m下って、今度は250m登るって、なるほど・・・谷だわ(^^; ガンバレガンバレ~♪

 振り返ってみれば、長い稜線の登り尾根ではありましたが、美しい景観です。

 さっきまで居たムーミン谷は、あそこ。お~~い♪♪

 で、ところで、ムーミンたちには会えたのか?へへっ実は、ちゃんと会えましたよ!ただ残念ながら、画像におさめることはできませんでしたけど。何しろだって・・・「なんでも自分のものにして、持って帰ろうとすると、むずかしいものなんだよ。ぼくは、見るだけにしているんだ。そして立ち去る時は、それを頭の中へしまっておくのさ。」 そんなことをスナフキンが教えてくれましたので(^-^)v 

 ありがとう~、ムーミン!!

 名残惜しいムーミン谷ですが、このあとは横岳を登りきって、もう一度「阿弥陀池」に下山して、そこから八合目登山口へと戻ります。来るときはガスがかかって見えなかった、日本最深の湖「田沢湖」が帰り道には銀色に輝いて、とっても綺麗でした。

 思いがけず、紅葉の登山となりましたが、ここではもうこんなに秋が進んでいます。

 何かと忙しい毎日ですが、「たまには休むのも、ひとつの仕事じゃない?」帰り道にまたスナフキンが手を振って、そう見送ってくれました。

 いよいよ紅葉シーズンの始まりでございますので、皆さまも、どうぞぜひ時間を作って、「休む」ってお仕事もちゃんとしてあげてくださいね。

 最後に、山で会ったお花たちと赤とんぼ。
 左列上から「ミヤマキリンソウ」「フジバカマ」「ヤマハハコ」「エゾオヤマリンドウ」、右列上から「シロバナトウチクソウ」「ウゴアザミ」「オクトリカブト」そして、赤とんぼ!もうすっかり山は秋が深まってきています。

 そして、いよいよ明日は、十五夜です。
 美しい季節のはじまりです。