ヘッポコ喧嘩道中~錦織りなす赤城山

紅葉の山
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秋の連休が終わり、随分と空気が冷たくなりました。日に日に彩りを増す街の木々とともに、深まり行く秋がジンワリと身に沁む季節です。

連休なか日の日曜日、山の秋の様子が気になって行って参りました山歩きレポートです。

山の秋はもう麓まで下りてきていましたが、それでも上空から見る、錦織りなす景色は圧巻でございました。

この度は、都心から気軽に目指せる百名山!としてとっても有名な山、群馬県「赤城山」への、日帰り登山でございます。標高差も500m弱と気軽で、登山初心者さんにも充実感あふれる山です。

赤城山は火山でできたカルデラ湖である「大沼(おの)」や「小沼(この)」を望むことができ、豊かな山容と湖と、深まり行く秋の彩りを堪能してまいりました。

(歩いたコースはこちら↓)

大沼からスタートして、最高峰「黒檜山(くろびやま)」~「駒ケ岳」を経て下山し、その後「覚満淵(かくまんぶち)」という湿原を散策します。所要時間約5時間の~んびり山旅です(*^^*)

朝5時半にマイカーで自宅を出発し、登山スタートは9時半。まず「大沼」に浮かぶ「赤城神社」の赤い朱塗りの橋「啄木鳥橋」が出迎えてくれました。イイ感じに色づいた山肌を眺めて深呼吸。今回もハリキッテ!Let’s Go‼

黒檜山の登山口までは、大沼の脇の車道の落ち葉を踏みしめながら、テクテク進みます。

実は今回は、とんでもない忘れ物をして、この後大喧嘩となり、急坂の登りは怒りに任せて、標準タイムをグッと上回るスピードで駆けあがってしまいました(-_-;)が、まだここでは、ゆらゆらのんびり(*^^*)

登山口からはいきなりの急坂ですが、ストックを持つよりも、手を使った方が登りやすくてイイ感じ。みんな山の中に吸い込まれて行くようです。

少し上ると、上空から大沼だ!

と、いきなりヘッポコ夫婦にここで大問題発生💦

実は、この日は山頂でラーメンを食べようと話していて、私はラーメンやコーヒーを詰め込み、頂き物のおリンゴもたくさんむいて、暖かいお茶も作り、せっせと持参していました。バーナーなどはヘッポコ相棒の担当のハズ。それが、急坂の前を登るヘッポコが突然振り向いて言うのです。

バーナーってそっちのリュックに入ってんの?

はぁ?ちょっとあんた!それはそっちの担当でしょっ!と言うと「えっそうなの」と来たもんだ!つまり何ですか?持ってきてないってことですか?

なんと、ヘッポコ相棒は、車中で快適に音楽を楽しむためにと、前日に、車のオーディオに接続させる新しいiPod を調達していたのです。そもそも前日の土曜日そっちは休日、私はお店で夜までお仕事。なのに、何をしていたんだ!?音楽よりも大事なのはご飯のハズ!どうしてそんな単純な準備ができてないのだ!しかもまさかの責任転嫁!怒り心頭となってしまい。もう帰る!やめる!の大騒ぎ、大喧嘩勃発です。

なのに登山道は大渋滞!とにかく前しか進めない。怒りってすごい起爆剤になるみたいで、1時間半かかるはずの急登りを1時間で突破!

こういう時は黙っているに限る、とモクモクと前を行くヘッポコ相棒に腹が立つと言ったらありゃしません(-_-;)

すると、多くの登山者さんが立ち止まっている視線の先に「富士山」。

「富士山、富士山だ」とヘッポコが話しかけてくるので、ますますイライラがつのる。でも、空を見ると、富士山。いいなぁ富士山は、いつもデンと構えていて、凛々しいです(^^;)

急登りはあっという間に過ぎてしまい、草原の小道のような柔らかな登山道に変わります。

怒りが汗となり噴出して流れ出し、頂上に到着する頃には、出来損ないのヘッポコ野郎!に、ため息連発。

赤城山1,828m頂上です。あれ?「絶景スポットまで2分」の表示。これは行かねばなるまい。

なるほど~ここが「絶景スポット」です。見事に色づいた山肌を見渡せるこの景色に、思わず「うわぁ~」と声を上げてしまいました。口も聞かない程怒っていたはずなのに、いやもう、どんなに凹んだ気分さえも一瞬にして変えてしまう、山ってすごいです。

皆さま、美味しそうな山ご飯を食べていらっしゃいました。しかし我が家は、おリンゴと朝ご飯の残りのパンだけ。おリンゴいっぱい持って来て本当によかったですが・・・(-_-;)

それでも、ご飯よりもおいしい絶景が広がっていました。この湖はカルデラ湖「小沼」。

これからは持ち物チェックリストを渡してやる!と心に決め、絶景を眺めている間に、ラーメンに諦めがついてきて、記念撮影は微妙な笑顔で(^^;)

赤城山の木々は広葉樹が多くて、一斉に紅葉するようです。なので、山が一面、秋の色。

よぉく見ると、秋色のグラデーションです。

可愛いパッチワークみたいに見えて、自然の色合いながら、ため息の出る錦織。

一応、表面上は機嫌を直して、黒檜山~駒ケ岳への周回ルートをゆっくり歩いていると、天空からの落とし物の鏡みたいに、小沼。

小沼の向こうには、やっぱり富士山が浮かんでいます。

赤城山のコースは、登山道がとっても良く整備されていて、親切な歩きやすい山道です。そのため、小さなお子様連れのご家族ハイカーもとても多くて、道迷いのない気楽な山道が続きます。

一応、今後は持ち物チェックリストは自ら作りモレのないように致します、などと反省を口にするのも今のうちだけの、相変わらずやっぱりヘッポコな相棒です。

振り返ると、先ほどまで居た「黒檜山」が可愛らしい秋の色に包まれていました。

周回コース中間点「駒ケ岳」到着。

駒ケ岳山頂からも、紅葉に染まる山々の景色が広がっていました。

もうすぐこの葉を散らした枯れ山になる手前、たくましくもあり、はかなげでもあり、自然の織りなす色合いに、しばし目の保養。

大沼に赤城神社が浮かんでいます。

女性には頼もしいご利益一杯の赤城神社、縁結びの神様でもあるようです。

小沼も大沼も湖ですが標高は1,300m以上あり、火山でできたカルデラ湖です。山に間に浮かぶ神秘的な湖の姿。ススキの穂が手を振ってくれました。

下山道は、立派な木や鉄の階段が整備されています。この長い長い階段を降りると、あっという間に下山でき、なんだか名残惜しいですが、登山というよりもハイキングの楽しみを満喫できる山旅です。

この後、車道を少し進んで、「覚満淵(かくまんぶち」という湿原に足を伸ばしました。小尾瀬などともいわれているようですが、湖の周りをきれいな木道が整備されています。

ラーメンにはありつくことが出来ませんでしたが、覚満淵へと歩く途中の茶屋で「忠治切込みうどん」を食べて、とりあえずお腹もおさまり、気分もおさまり、赤城山と言えば国定忠治、忠治に感謝して、ほっこり佇んでみました。

何しろ、このフワフワの水草の草紅葉は圧巻です。幼い頃のアニメ「アルプスの少女ハイジ」の中で、ハイジが寝るふかふかの藁のベッドが羨ましくて仕方ありませんでしたが、まるでそのベッドのようにも見えて・・・でも飛び込んではなりません。その下は沼(^^;)

あっ、鴨?。おしどり夫婦のように二羽が並んでスイスイと泳いでいました。まぁまぁ、とりあえず今日も無事に山歩きを終えることができて、良かった良かった。そう言ってくれているようでした(^^;)

今回はハプニングを背負っての山歩きでございましたが、そんな身も心も、山はいつも懐深く包み込んでくれます。

「仲良しなご夫婦ですね」とお客様には時々褒めて頂けるのですが、仲良しでいられるのも、懐深い山あってのこと!もしこの事件が下界で起きていたならば、そんなに簡単には不問に付すこともできぬわけでございましたが、そんなことも、あんなことも、山の中に置いてまいりました。

赤城山は、まもなく深い深い雪に覆われ静かに山肌を休める時期へと突入します。そしてやがて季節が巡り、春、雪が溶ける頃なると、私たちの置き土産は、可愛い春の花芽となって新しい季節を向かえるのでしょうか。そんなことを想像すると、ちょっと楽しい。

帰りの山道では、益々紅葉は色濃くて、どんどんと麓に秋が降りてきていました。

都心の街の中も、もう間もなく、こんな彩りの世界がやってまいる頃でございます。深まり行く秋を味わいながら、どうぞゆっくりとまた、新しい季節を向かえる準備をしてまいりましょう。