月居山と袋田の滝。紅葉と滝の低山ハイク🍁

紅葉の山

今年の紅葉はちょこっと遅れている?なんてことを耳にしていました。

営んでいたお店を閉じたとはいうものの、忙しさは終わらず、積年の疲れもドッと押し寄せて、紅葉遅れてるのか~でもねぇ…思い当たる山はすでに冬化粧を始めているわけで💦

あ~ぁとソファに沈み込んでいた私のかたわらで、テレビを見ながらスマホをいじくっていたヘッポコ相棒が、「おっ!ここだ、今見頃🍁って!」と、いきなりやる気満々で立ち上がって見せつけてきたスマホ画面は「奥久慈袋田の滝、紅葉見頃。おすすめハイキングコースはこちら」。するするスクロールすると、なんと!美しい画像が並んでいるではないですか。

でも奥久慈ってどこだっけ?茨城です!茨城?行ったことないよ、遠いの?3時間ぐらいです。えっ?3時間!?八ヶ岳より遠いじゃん。大丈夫、運転するのは僕だから、寝てていいよ。起きたら絶景、お連れします😁

てなわけで、先日の日曜日、朝5時起きでヘッポコマイカーに乗せられて、常磐道を北へとひた走り、秋が燃えているという山、轟音を響かせる清流の名瀑があるというそこへと向かいました。

この度向かったそこは、茨木県大子町。日本三大名瀑の一つでもある「袋田の滝」その背後を守る紅葉の山「月居山(つきおれさん)」を登り、名瀑を上からも堪能するという、スニーカーハイクOKのお手軽低山歩きです。

思えば、何しろ滝好きのヘッポコですから、おそらくスマホ検索のキーワードは「滝」であったのではないか?と思うわけですが、まぁまぁ、紅葉登山に出遅れてしまいましたので、道中ひと眠りさせて頂きつつ、起きたら絶景🍁を楽しみにお出かけしました。

歩いたコースはこちら。いやいや山を歩かなくても「袋田の滝」は関東の方ならば一度は耳にされたことのある有名な観光スポットでもあるわけですが、山ノボラーとしては登りたい。ぐるっと半時計回りにおよそ3時間の山旅です。

月居山(つきおれさん)ってお月様がいるの?

紅葉シーズンの日曜日、朝9時台に到着したというのに無料駐車場は満車!どうするの?とノロノロ走っていると、有料駐車場がいっぱいありました。一日300円とか500円とか。

多くの観光客の皆さんが滝の方角へと向かう中、駐車場の係の人に「気をつけていってらっしゃい」と声をかけられて、ハイキングコースへと向かいます。

うっそうとした山道に入りました。むむむっ、この道を歩けば燃える秋に出会えるのだろうか?ともかく、しんと冷えた山の中では寝不足の脳みそに、忘れていた新鮮な空気が流れこんでくるようです。

険しい山道ではありません。のんびりとした歩きやすい、ゆるやか~な道。登山というより山歩(さんぽ)。

落ち葉を踏みしめると、どこからか“鐘の音♪”が絶え間なく聞こえてきていました。なんだろう?どこから?鐘の音。

月居山は標高404mで、大きな山容の山とは違い、こじんまりとした里山です。こんなロープ場が一カ所ありますが、ロープを使わなくても上がれるぐらいです。

登りきると、あっ、頂上!登山口から1時間足らずで到着してしまいました。

おぉ~まさに紅葉真っ盛り。

この山頂にはかつて「月居城」というお城があったそうです。

なんとお城が?ってことにも驚きですが、戦国の世には戦いの舞台にもなっていただなんてこと、今では想像できぬほど、大木が静かに季節を彩り、多くのハイカーさんの憩いの場所になっていました。

で?月居山にはお月様がいるの?ずっと考えて登ってきましたが、どうやら、居るそうです。でもそれは、麓から見上げる山の肩にお月様が腰かける姿だそうで、なるほど、この辺かしら?山頂の三角点。

この場所を今でも毎夜月が照らすのかと思うと・・・まさに、兵どもが夢の跡。

山頂は紅葉真っ盛り

今年は紅葉を諦めかけていたのですが、なんと、なんとの絶景を堪能させて頂くことになりました。

山の中ならではの、燃える秋。

大木の下を陣取り、のんびりとお昼ごはんにいたします。

もしかすると、もう一週間後ならば真っ赤に色づいていたかもしれませんが、緑と黄色と赤と、あまりに可愛らしい色どりを、しばし無言で眺めました。

どうでしょう、この景色。

毎年この色に包まれて始めて、冬を迎える心構えができるような気がします。

秋くれて ふかき紅葉は山ひめの
そめける色の かざりなりけり(藤原定家)

素敵すぎるので、動画を撮影してみました。

観音様の鐘を鳴らして

山に入ってすぐから、ず~と気になっていた鐘の音。その正体を見つけました。

なんと、鐘楼に石仏。ここには昔お寺があったそうで、この上には観音堂があり、かつて源義家が先勝祈願にこもった場所でもあるそうです。なんとここでも兵たちが駆け巡る。。

この鐘、登山者さんたちが次から次へと鳴らしていました。なるほど、山の中に響く音色はここから。

私たちには先勝祈願よりも長寿祈願が大事なお年頃になりましたが、何かしらの病に勝つ、という意味でも鳴らしておきましょう。

思いがけず、心癒される、イ~イ音でした。※こんな音、聞いてみて(*^^*)♪

コースは鐘楼の脇を超えて、観音堂へと続きます。

現在は立ち入りは禁止されていますが、山の中に映える朱色の立派なお堂でありました。

小さな山でありますが、紅葉に鐘楼と、飽きることのないご利益満載の山歩きが続きます。

滝へと続く長い階段が下山道

さて、登りつめた月居山、ここから滝へと向かってひたすら長い長い下り道、急な階段の道を下りて行きます。(ここから滝までたぶん40分ぐらい)

途中眺望が開けて「生瀬富士」が見えました。山肌が紅葉しています。ここからあっちまで縦走するコースもあるようですが、無理せずに、それはまたの機会に。

はい下りて!撮影係のヘッポコに促され、底の見えない階段をひたすら下りる。

まだまだ下りる。。。

でも、どこからか滝の水音が聞こえてきます。登りには鐘音、下りは滝音です。

下り道に見つけた紫色の実。コムラサキ(ムラサキシキブ属)です。そろそろ山は冬仕度。

生瀬滝~袋田の滝

目的地の「袋田の滝」に下りる前に、袋田の滝の上流にある「生瀬滝」が見られるハズでした。が、展望台への道はただ今進入禁止。遠くに見える生瀬滝をズームしてみました。もうこの辺りでは、激しい水音が心地よいまでに響いていました。

そして、名瀑「袋田の滝」を上から見る!というハイカーならではのお楽しみ。

うひょっ💗

名瀑の素晴らしい水音をぜひ♪

天狗が滝見をしたという「天狗岩」

あれよあれよと下山してくると、多くの観光客の皆さんが吊り橋に向かって歩いておられました。ということは、あそこが滝見の場所に違いないです。行かねば!

おおお~っ。まさに、名瀑ここにあり。

袋田の滝!堪能

袋田の滝は、日光「華厳の滝」、熊野「那智の滝」と並んで三大名瀑と呼ばれています。高さ120m・幅73mの大きさを誇る滝です。轟音を響かせる滝の周囲の山肌は、まさに紅葉見頃🍂。

こんな間近でその迫力を堪能することができます。

滝の流れが大岩壁を四段に落下することから、別名「四度(よど)の滝」とも呼ばれていました。その由来は、その昔、私の好き西行さんもここを訪れてくれていたようで、「四季に一度ずつ来てみなければ真の風趣を味わえない」と絶賛したことからだ、とも伝えられています。

花もみち経緯にして山姫の
錦織出す袋田の瀧(西行法師)

春若葉の頃はきっと優しい香りがするでしょうか?夏には盛大な水しぶきが岩壁の草木を潤し、人里までもひんやりと癒してくれるでしょうか?冬になると滝の水が凍り、氷瀑となるそうです。

それはきっと圧巻であるに違いなく、西行さんの教えに従って、またいつか、訪ねることができたら良いなと思います。

まだまだ引退後の新しい人生を歩み始めるに至ってはおりませんが、それでも、疲れ果てて傷んだ心身を癒してくれる、変化に飛んだ魅力満載の山旅を堪能いたしました。

どんな山にも、古からの人の営みが根付いていて、草木は絶えることなく、いつの時代のどんな人々にも逞しく寄り添い、時に自然の驚異ともいえる名瀑を造り、様々な想いを包み込んでいるように思います。

私たちは勝手だから、自分勝手に都合よく自然の営みを享受しているに過ぎませんが、それでも、大自然ともに生きているのだと思わせて頂けることに、ヘッポココンビ揃って感謝して、晩秋の空気に浸ってまいりました。

これからも、できれば、できるだけ長く、足腰労わりながら、ゆっくりと歩いて行ければいいな、と冬間近の紅葉の山を後にしみじみと語り合いつつ、晩秋の山旅を終えました。