営んでおりますお店の閉店(個人的な引退)を間近に控えて、大忙しの秋が始まりました。近頃は家に帰って家事をこなすとソファから起き上がることができません。
わが家のヘッポコ相棒は益々多忙になる私に「病気になっちゃうんじゃないか」と心配し始めるようなことで…。こうなったら、圧倒的に癒される場所に行きたいわ・・・
ダラリと寝そべりスマホをいじくっておりましたら、湖上プラネタリウム「星空ボート」という、聞いたことのないフレーズがあらわれました。
「白駒の池へボートで漕ぎ出しましょう。湖面に映った星と、頭上に広がる星空。まるで宇宙の中心にいるような、プレミアムな星空を体験できます」
なになに?なんと!
その池とは、北八ヶ岳「白駒池」だ!
山登るの?池を見たいの?と戸惑うヘッポコでしたが、わかんない、とにかく行くのよ!宇宙だから‼
下調べもそこそこに、9/25(日)の夜のお天気予報は上々、行くしかない。で、夫婦そろって取るものとりあえず、北八ヶ岳へと向かいました。
本当なら紅葉シーズンに突入してから行きたかったわけだけど、その頃お店は「さよなら感謝祭り」の真っ只中となり東京を離れられない💦今しかないの!と迫る私に重い腰を上げるヘッポコはしがないサラリーマン、仕方なく翌月曜日のお休みを取得してもらい、都内はまだ暑さの残る9/25(日)、その“圧倒的に癒される”ハズの別天地入口へと向かいました。
というわけで、今回は「北八ヶ岳・白駒池・高見石・麦草峠」を散策し、ロマンティックな星空とファンタジックな朝焼け、そしてここならではの「苔の森」を堪能してまいりました。
《1日目》白駒池、到着
マイカーだと東京都内から3時間ぐらい、電車ではJR中央本線の茅野駅または佐久平駅から便利なバスが出ています。私たちはヘッポコ・マイカーにて!急遽の山仕度と途中のトイレ休憩が長引いて、到着したのはお昼を過ぎてしまいましたが、標高2100mを超える別天地は気持ちの良い秋風と圧倒的な緑が迎えてくれました。
駐車場からはなだらかな木道。たぶん白駒池までだけだったら、登山準備不要、スニーカーでお散歩できそうです。
なんたって、ここは苔の森。樹齢100年を超える原生林の足元には、緑のじゅうたんを敷き詰めたように約450種類を超える苔が生息しているそうです。わおっ!!
うひょっ、そうそう、こんな場所、大好きです!
本当に15分で池に到着しました。
「北八ヶ岳の広大な原生林の中に、満面に清水をたたえた神秘的な湖。標高2,100m以上の湖としては日本最大の天然湖」だそうです。
どうでしょう~素晴らしい。ここが2000mの高地だってことにも感動します。
今宵のお宿「白駒荘」です。山小屋ですが、お風呂もあります。石鹸類の使用は禁止だったりしますが、きれいな個室もトイレも洗面所もありました。大部屋・風呂なし・トイレ外の山小屋に慣れている私には、もう十分なおもてなし!
※白駒荘サイト➨https://yachiho-montblanc.com/
なんてったって、「星空ボート」はこの宿のサイトで見つけたんですから(^^v
宿のすぐ目の前に広がる豊かな池。池というよりは湖。もうしばらくすると、色づいた山肌が湖面に映る様子は素晴らしく、紅葉の名所としても有名な場所です。何しろここまでなら、楽々散歩で来られます。白駒荘はランチも人気なようですから。
白駒池には「ホソバノウキミクリ」という浮草が生息していて、どうやら絶滅危惧種なのだそうです。ぼくたちが絶滅危惧?だなんてつゆ知らず、悠々とのびやかに水面に揺れていました。
白駒湿原~白駒池一周へ
さて、小屋に荷物を預かってもらって、必要なものだけチビリュックに入れ替えて、ちょこっと森の散策に出かけましょう!
ということで、1泊2日でダラダラ歩いた散策路はこちら。北八ヶ岳にも色んな山があるのですが、今回は時間が限られているため、「白駒池と苔の森」メイン!と決めていました。歩いたコースは赤ライン。
(急に決行したわりには、八ヶ岳界隈はかつて何度も足を運んでおり、自宅の本棚に並んでいた八ヶ岳の山地図が「はい、私ココよ!連れてって」とニッコリ合図してくれました)
では、星空タイムまで、まだ余裕がありますし、夕食は5時半と言われたし、まだ3時間はあるね!ということで、「ニュウ」という山を目指すことにしました。
ここから原生林の森へと突入です。
どこまでも続く苔の森の間を抜けていきます。
おっと、森の樹木が開けて、湿原が現れました。
白駒湿原。日曜日の午後は歩く人影もなく、木道に腰を下ろして休憩、ふ~っイイね、ここ。
山の中の道は、保水率が高いせいかどこもぬかるんでいて、ゴツゴツ岩を超えて行きます。そして、背の高い樹木に覆われた森の道。
そこでハタと気づいたのです。これって帰り夕方になるよね、経験上、森って午後4時にもなると暗いじゃんね、あっヘッドライト小屋の荷物の中だ!まずい💦そもそも朝の出発が遅すぎだよとか、だって疲れてるもんとか、それよりトイレ休憩が長すぎだわとか、あれこれと一悶着した後、まあまあ、今回は登山メインじゃないしな、帰って日が暮れるまでに白駒池一周しよっ。と方向転換することに。ニュウ、お預け(-_-;)。
サクサクと池に戻ると、水面は午後の空色を映して、穏やかな湖面は鏡のようでした。
で、白駒池の周りを一周、約45分ですが、ゆっくりゆっくりね!
白駒池の周りは、ほぼ全ての道のりに木道が整備されています。観光気分でも歩けます。
白駒池のもう一つの山小屋である(山小屋らしい山小屋)「青苔荘」から眺める今宵の宿「白駒荘」。湖面に映るとまるで竜宮城のようではないですか!
9月25日、ちょこっと紅葉が始まっています。
湖面が映す山の景色を見ていると、もしや、この上を歩けてしまうのではないかと思うほど、息をひそめたように鎮まる水面が美しい。
この森は「もののけの森」というそうです。
あの、ジブリの世界さながらの森で、心優しいモノノケが潜んでいそうです。
本当は午前中の日差しが明るい時間に歩けたら良かったのですが、夕方近くは観光の皆さまが居なくなり、しーんと静まり返っていました。神秘的な霞に包まれて、何か不思議な物語の世界に迷いこんだようです。
そして池に戻ると、そろそろ夕方の色が漂ってきました。
小屋の夕ご飯はとっても豪華で、まるで旅館のようでした。夜にボートに乗る人は、缶ビール350一本まで、ワインと日本酒はお控えください、と言われましてが、夜ボートの後にお風呂であったまってからゆっくり晩酌してください!だなんて、サービス満点🍷
そして、そろりと夕焼けの時間となりました。
ロマンティックな夜の「星空観賞」
夕ご飯の後は、とりあえずお風呂で汗を流したり、お布団を引いてゴロゴロしていたら、夜の帳が下りてきました。
なんと、月が昇り、湖面にもお月様が浮かび上がってきてくれたようです。この日は上弦の月、半分のお月様。
星空ボートは定員3名。公園の池にあるボートと同じ。それぞれ自分で漕ぐのです。そしてガイドさんのボートと一緒に湖面の真ん中へと船出します。真っ暗闇なのでボートにカンテラを乗せてくれます。標高2100mの夜は寒く、しっかり厚着して、もちろんライフジャケット着用です。
えっ?俺が漕ぐの?と何しろまずはビビるヘッポコ相棒ですが、ガイドさんに「漕ぎ手のご主人が先に乗ってください」と言われ、すごすごと従いまして・・・そして、満点の星空の下へ出発☆彡
この日のボートは日曜の夜ということだからなのか?私たちの舟と、もう一隻だけでした。ガイドさんのボートの後を一緒に湖面に漕ぎ出します。
ボートから見た岸辺。
な、なんでなのか、さっきまでの満点の空が見る見ると雲に覆われてしまいました。それでもガイドさんは一所懸命にレーザーポインターを駆使してお星さまのお話をしてくださいました。
これはこれで(星空が湖面に映る景色は見られませんでしたが)暗闇の中でのひと時は、ファンタジックな宇宙船の気分でもありました。
ボートが岸辺に戻ると、ええ~と思うほどの星空が戻ってきました。(星空撮影を研究できておらずに至りますが、な、なんとスマホで普通にこれぐらいなら撮れるのですね☆)
肉眼ではもっと素晴らしい星空でした。それになんと、流れ星かと思いきや、この夜「スターリンク」が見えました。(スターリンク=人工衛星が何機も並んで夜空を飛翔する様子、星ではないけれど、ちょっと感動)
そして、宿に戻ってお風呂につかり、お願いしておいた寝酒🍷を頂いて、ゆっくりと夜は更けていきました。
《2日目》感動しきりの「朝焼け」
お部屋は白駒池に面して窓があり、カーテンがありません。なので、夜が明け始めると明るい陽射しが差し込んで自然に目が覚めます。
おお~っ、見事な朝焼けです。
早速あれこれ着こんで外に出ると、太陽が昇り始めるところでした。
昨夜のボートが朝の水煙とモヤの中、おはようと漕ぎ手を待ち構えているようです。
朝5時半ごろ、森の木々も、苔たちも、虫も鳥も、私たちも、全ての生き物の目覚めの時です。
みるみるうちに、しっかりと朝が明けました。
水煙をたたえる湖面の美しいことと言ったら・・・朝って、立ち上がるって言葉がとてもふさわしくって、もしかして夜の暗闇では木々たちも横になって眠っていたのではないか?と思ったりします。
高見石展望台へ
2日目はちょっと歩きます。白駒荘にまた荷物を預かって頂き、チビリュックを背負って、白駒池~高見石~丸山~麦草峠~白駒池、とグルリと山歩き。苔の森を堪能いたします。
白駒池周辺の森にはいくつも名前が付けられていて、それぞれ特徴のある苔や草木が茂っています。ここは「高見の森」。
朝8時前、まだ日帰りのハイカーさんも到着していない時間は、山小屋に泊まった人だけのご褒美時間。誰もいない、しんと冷えた森の中、木の間から漏れる朝日に背中を押されて、テクテク歩きます。
夜はうんと冷えたようで、朝には霜が降りていました。朝日が溶かし始めると、森がしっとりと潤いに満ちてくるようです。
白駒池から高見石までは35分のハズなのに、体か重くて休んでばかり、小一時間もかかってしまいましたが、まあ、だぁれもいませんから、苔を踏まないように、お隣の岩に腰掛けて休憩と森林浴に励みつつ、ゆっくり登る(と言っても標高差200m弱)
何しろ膝が悪いのです。右膝の半月板は30年前になくなってるし、おかげで両膝の軟骨もすり減ってるんですってバ!だからストックで四つ足にして力を分散しつつ、そろりと岩を超えていく。。。
高見石到着です。ここにはランプの宿で有名な山小屋「高見石小屋」があり、その背後には小高い岩山があって、そこを登れば絶景が広がるという。。。ハイ!登る!!
なんと、本当に絶景でした。あの池がさっきまで居た「白駒池」です。左前方には浅間山系の山々。
とっても怖い岩場ですが、登ってみると爽快です。ベストシーズンは人であふれるらしいですが、何しろこの日は私たちだけ。しばらくテッペンで、朝の空気をお腹いっぱい吸い込みました。
あっ、登ったら下りねばなりません。これは下りが怖いです。足の置き場に迷ったら、とりあえず、座ろう💦それにしても、誰が積み上げたのやら?長い長い歴史の中で自然が成しえることは、人知を遥かに超えて素晴らしいのであります。自然の営みが、無垢で無謀で無意識であるほどに、感動いたすわけでありますな。
丸山~麦草峠へ
この先は「丸山の森」を通って「麦草峠」まで歩いてみようと思います。だって麦草峠って響きが可愛いから(^^)
スゴイです。ダケカンバ?の林。整然と並び立つ姿は圧巻で、その間のわずかな岩道をアップダウンを繰り返しながら緩やかに登って行きます。
そして、このあたりは苔が素晴らしくキレイで、今回歩いた森の中では、最も美しかったかもしれません。きっとちょうど朝日がしっかりと照らしてくれる時間になったからかな。
「丸山」頂上!2329mは、眺望はなし。なんとなく通り過ぎてしまいそうな場所でも、ちょこっと休憩。
ここから麦草峠へと向かう森は「丸山の森」というそうです。
午後10時も過ぎると、麦草峠から登って来る人とすれ違うようになりました。年配の男性が木の下にうずくまっていらしたので、大丈夫ですか?と声をかけると「いやね、私は苔が大好きなんです」と、見ると一所懸命カメラをかざしていらっしゃいました。
この苔たちにもちゃんといっぱい名前があるわけで、だって480種類ですよ!みんな同じじゃないんだから!それはもう想像を超える素晴らしい生命力なわけです。
ほどなくして、赤い屋根のお家が見えてきました。山小屋「麦草ヒュッテ」(麦草峠)です。ここは車道である「ロマンティック街道」にも面していて、ここに車を置いて山へと入る人も多いようです。
私たちもここでお昼ご飯にすることにしました。何しろ、朝が健康的過ぎるぐらい早かったので(^^;)v
白駒の奥庭~白駒池へ
さて、ここからはゆるゆると森を抜けて、白駒池へと戻りましょう。
お~イイ感じの森です。やっぱり苔が美しい。
「黒曜の森」というそうです。白駒池からここまでハイキングされる方もあり、考えてみれば、山を越えたくない場合は、それもいいですね。もう少し歩けなくなった時には、そうしたいと思います。
あまりに鳥がおしゃべりなので、後で翻訳しようかと、動画におさめてみました!あなたは誰?そして何ておっしゃっているのでしょう?お友達になる??
そして、「白駒の奥庭」を通ります。なるほど「奥庭」。ここは溶岩の上に木道が設置されているそうで、坪庭みたいなところ。
背の高い木々で覆われた森から突如開けた奥庭。ハイカーを飽きさせない、さすが北八ヶ岳の自然美にちょこっと感動いたします。
というわけで、午前中いっぱいかけて、ぐるりと一周してまいりまして、白駒荘へと通じる木道に戻ってまいりました。
2-3日前に寝転んでスマホを検索しただけなのに、ちょうど白駒荘がその日だけ空室があり、ちょうどお天気が良く、ちょうど相棒ヘッポコが仕事を休める日で、色んなちょうどが、ありがたい休日をもたらしてくれました。
思えば岩ゴロゴロの八ヶ岳には膝のこともあってか、なぜか雪山シーズンばかり訪ねてきましたが、緑の苔が一面にどこまでも生い茂る森は、他の山では味わうことのできない、瑞々し感動をもたらしてくれました。
そういえば、この池は冬には凍るのだそうです。湖面を歩くことができてしまう。なんとなんと、それならば私は、北横岳に行くあのロープウェイから縞枯山~茶臼山を経て、ここまでサクサク雪の上を歩きたい!そしてまた、ここに泊まって、今度は雪上から満天の星空を眺めるのだ!
と、引退後に行くべき場所リストがまた一つ、増えました(*^^*)
最後に白駒荘でソフトクリームを頂きました。濃厚でありながらさっぱりしていて、あ~あ、いい日でした!と、心の底から思える美味しい甘さを、ありがとうございました。