夏休みの雲上山歩「立山」

あの頂きへ

2023年の夏は、山旅相棒である夫が事故で肋骨骨折を負い、完治半ばの状況でお盆休みに突入することとなってしまい💦、直近には台風までやってきて!急な日程の見直しもやむなくなるなど、変更につぐ変更に翻弄されましたが、なんとか工夫して、負担少なくのんびり歩ける「立山」に行くことにしました!

ただ、本当はお盆期間に室堂山荘が予約できていたのに、日程を変更するにあたり、あっという間に満室となってしまって、止む無く二泊をホテル泊と奮発することに。でも、なんとかかんとかお天気に恵まれ、雄山登頂も果たすことができ、素晴らしい夕陽も堪能できて、思い出に残る夏休みとなりました。

・一日目:東京の自宅~立山室堂平散策(ホテル立山泊)

・二日目:雄山登頂~弥陀ヶ原移動(弥陀ヶ原ホテル泊)

・三日目:弥陀ヶ原散策~室堂平見おさめ~一路東京へ!

イザ、立山へ

立山は実は3回目!

◇12年前にはちょこっと避暑して(→標高2450mからご挨拶申し上げます |)、

◇9年前には無謀にも「雄山」雪山ピッケル登山に挑みました!(→立山 雪山登山 |

いやいや、どちらの時も若い!しかし、うんと大人になった今回は、たっぷりの時間を雲上で過ごすことにしました。

東京からは、北陸新幹線で富山経由が便利かなと思いきや、重いリュックが骨に堪えるとヘッポコが申すもので、ならばマイカーで。とすると東京から富山は遠い!そのため、長野側「扇沢」駐車場から、バスやケーブルカーを乗り継いで、イザ立山室堂へ!!

途中、黒部ダムを歩いて通過。青空と猛烈な放水、夏休みなんだ~、気持ちがぷはぁ~と解き放たれます。

そして、ケーブルカーとロープウェイをごとごと乗り継いで、室堂平、到着!

えっ???ガスってる。なんで?ようやく到着した天空の楽園は、真っ白な霧の中でありますが、とりあえず、到着確認。ハイ、来ました!

みくりが池・・・💧

地獄谷は、ぼこぼこ噴煙と硫黄の匂いが立ち込めています。この脇の山小屋「みくりが池温泉」も調べたのですが、8月いっぱい満室という人気ぶりでした。

とにもかくにも、こうなったら、雨が降らなければヨシとして、と散策しているうちに、ざざざ~っと大粒の激しい雨が降りつけてきて、あっという間にずぶ濡れに・・・うっ、またか。毎年お盆期間の山行はとにかく雨に泣かされてきました。

山はいつだって、予報も希望も軽々と裏切ってくれるわけなので、とりあえずホテルに戻り、お風呂に入って長旅の疲れをいやしますか!?

温泉ではないけれど、古の面影を残したホテル。お洒落な風でもないけれど、必要十分な設備と、心やさしいサービスにあふれていました。がんばって奮発してよかったです。

そして、夕方5時。さっきまで激しく降りつけていた雨が突然に上がり、高原に陽射しが下りてきました。やったね!神様のご褒美!?こうなれば、せっかく汗をながしたものの、行かねば!

みくりが池(もとい)。ね!こうでなくちゃ!!

おお~、立山連峰。V字の底には「一の越山荘」があって、左の上が明日登る「雄山山頂」です。

山頂には雄山神社のお社が見えます。

実は、私は膝が悪くて、この10年の間ジワジワと深刻度を増してきているため、「今回はもし痛みが心配ならば見るだけでもいいよ!」なんて、ヘッポコ相棒が優しそうな?声をかけてくれて(だって、ぼくも骨折中だし)というわけで、ギリギリまで悩みました。でも、せっかく来たしね~、結論はお天気とあわせて、明日へ持越しへ。

まずは、だんだんと傾き始めた太陽を浴びて、じわじわとパワーを充電☆

室堂平の夕日

夕方5時半、いよいよ雲海が立ち込めてきました。

標高2500m、夕陽のショーの始まりです。

そして、今日という日をくれた太陽が、ゆっくりと雲の海へと下りて行きます。

日差しの道筋が、ここ立山の山肌をもれなく照らしてくれているのだとわかります。草原の色が幻想的なオレンジ色に輝き始めました。

室堂平は360度、山と高原。ストレスなんて言葉は存在しない別天地でもあるわけで、▽▽スマホで動画も撮ってみました▽▽

いよいよ、だね!空の雲まで赤くなり、今日の日のフィナーレに心を熱くしているようです。

落ちる、というよりも、ふわふわの雲海に、ほんわかと着地するみたいに、やわらかな日差しが心地よい日没です。

山のぼらーにはたまらない、これこれ!チリチリと雲の表面が燃え始めるこの瞬間。

太陽が居なくなった空にも、そして私たちの胸の底にも、ほのかで幻想的な光の残影が暖かくしみいる時間、夜7時頃でした。

霊山「雄山」登頂

「立山」「富士山」「白山」とともに、日本三名山・三霊山の一つです。立山とは、雄山(おやま)、大汝山(おおなんじやま)、富士ノ折立(ふじのおりたて)の三つの峯からなる連峰です。室堂平から最も手軽に登れる「雄山(3003m)」は、初心者でもチャレンジできる3000m峰であり、手が届くほどに迫る山肌に、せめてタッチしておこう。二日目の朝は、謙虚に始まりました。

室堂平の朝日は立山連峰の山の向こうから昇ります。明け方にご来光登山が出来たら良かったのですが、肋骨と膝に悩みを抱えるヘッポココンビは、山肌から微かに感じる朝日を拝んで。

とりあえず、V字の真ん中、一の越山荘まで行って調子を見てみよう。いつでもリタイヤしていいんだからね。そんな弱気な決意の一歩からそろりと、にっこりと、レッツゴー♪

お盆は開けていましたが、8/18週末土曜日、大勢の人が雄山を目指します。

この石道がね、膝にくるよね~と言いつつ、でも、山登り経験も長くなると、それほど息が上がることはなくて、登りはゆっくり。年甲斐もなくそういう体力はあるのかもしれませんが、膝はね…💦近頃は、テーピングの技も身に着けて、膝サポートベルトも併用し、うん、まだ大丈夫!もうすぐあそこは、一の越山荘です。

標高2705mの山荘のある稜線で一休み。空は青空、眼下には室堂平。みくりが池もみどりが池も青々と輝いて、地獄谷の噴煙も景色に彩りを添えています。

とりあえず、ここまで!と登ってきましたが、テーピングとサポーターのおかげか、ヘッポコの骨も私の膝も持ち堪えられそう?うん。せっかくだし、もうちょっとだけ行ってみる?なんて、気持ちの良い風が後押ししてくれたのかな。

一の越から見上げる長い急坂には、多くの登山者が列をなして登って行かれました。とにかく、ゆっくりをモットーとした今回の山歩きには、この渋滞も少しありがたい。

おお~見下ろすと、一の越の小屋が眼下に!

思えば、9年前のGWに雪山の雄山を登った際にも、こんな景色を見ましたね。

(2014.GW

なんてことを思い出しつつ、あの日と違って、道があることがありがたく、一歩ずつ踏みしめてまいりましょう。あっ、ガスが昇ってきました。

相変わらずお尻は重い。よいしょ。

もうすぐ、頂上。

そして、なんやかんや戸惑いつつも、あっという間に頂上直下のお社に到着です。なんとも大勢の登山者さんで賑わっています。雪山では埋もれていた社の中では、お守りが販売されていました。そして、あの上のお社ではご祈祷が行われているのだそうです。

はい、ヘッポココンビ、無事登頂!よくできました。

では、3003mのテッペンでご祈祷を頂きましょう。この鳥居も、雪の季節には一番上の端っこが見えるだけで、またいでよいのか?と戸惑いながら、またいで!登頂したな💦と思い出しつつ。

(2014.GW↓)

まいりましょう!

頂上には宮司さんがいらっしゃいました。そして、ここは、この世とあの世の境目で、皆さんはあの世にタッチしています(え~!)。でも、私たちは大事な使命を持って生まれてきたのだから、この世を精一杯生きるために無事に下山しなければならないのだよとお話しを頂き、安全祈願もして頂いて、宮司さんの合図で全員で万歳三唱をするという、楽しい登頂体験となりました。

思いがけず、ちょっと得した気分になりました。ありがとうございます。

山頂から見下ろす山肌には、雪渓がありました。頂上はテーマパークのように賑わっていましたが、実は立山は北アルプスの険しい山岳地帯の一部なのだと実感します。

本当は山頂から「剱岳」を仰ぎたかったのですが、ガスが立ち込めて、ちょっと残念。

足元のイワキキョウが風に揺れていました。

さて、下山。上りは岩の赤い印が目印で、下りは黄色い印、ちゃんと上り下りの道が区別されていて、登山者さんが多くても、事故がないように工夫されているのもありがたいです。

下りは膝に厳しいから、とにかくゆっくりまいりましょう。

画像で見ると怖い感じがいたしますが、それほどでもないのです。足の置き場がきちんとしているから、しっかり踏みしめていけば大丈夫。見晴らしは最高、時折横切るガスも幻想的で、なんとも気持ちの良い下山道でした。

悩みに悩んだ結果、結局登らずにいられない私たちでしたが、大事なく、楽しい登山ができました。厳しい山岳エリアでありながら、雄山は神様に守られている山なのかな、とシミジミしつつ、無事下山完了。

若い頃には、いつかきっと、立山連峰を縦走するのだ!と思っていましたが、仕事に追われ休みが取れずに、どんどん歳を重ねているうちに、膝が縦走に見合わなくなってきてしまい、残念です。それでも、その端っこにもう一度来られたことに感謝して。嬉しい体験でした。

弥陀ヶ原散策

雄山を下りて、次の目的地は、行ったことのないお隣の高原「弥陀ヶ原(みだがはら)」です。室堂からは立山駅側に高原バスで15分下りたところ。ホテルに預けた荷物をピックアップして、さあ、天空ロードへとまいります。

弥陀ヶ原はラムサール条約(湿原の動植物保全を目的とした条約だそうです)に登録された、国際的にも貴重な湿原で、険しい山岳地帯でありながら、こんな広大な湿原があることが立山の魅力でもある!という情報を得て、行ってみたくなりました。

到着して、さっさと一番風呂を頂いてから、のんびりと外に出ると、なんと、夕陽の時刻でした。

でも、見る見るうちに一面ガスに包まれてしまい、こりゃ夕陽鑑賞は難しいかな~と思いきや、こんなドラマティックな景色が広がり始めました。

なんと、どこか別の世界へと迷い込んだみたいに、幻想的で不思議な空間に、ヘッポコと二人きり。どうしよう、元の世界に戻れるかな?なんて言いながら、ベンチに座ってひとしきりボーー。。

しばらく無言で並んでボーとしていると、あれあれ?と言う間に、雲海が現れて、雲海の地平線が赤く染まりました。どうやら雲の海が太陽を飲み込んだ後なのでしょうか。

辺りは暗くなり、雲海は夕闇の色をたたえ、残陽を映した地平のオレンジは空の雲を彩り、夕暮れの青が沈みはじめると、かなたに月が顔を出しました。

上弦の三日月。こんばんわ。

ヘッポコ相棒のその後の目撃情報によると、明け方には満点の星空が見えたそうですが、登山も夕陽も堪能しつくした私は、星々に包まれていることも知らずに爆睡いたしました!

翌朝は朝ごはんをお弁当に代えて頂き、早々にホテルを出て、弥陀ヶ原散策へ!

朝7時、眩しい青空と緑と、やさしい木道も嬉しい、1時間半ほどの散歩道をまいります。

昨夕の雲海が見えた方角はあっち。雲海の下は市街地で、その頭上で繰り広げられたファンタジックショーでした。

おにぎり弁当を広げつつ、朝お部屋で作ったコーヒーも水筒に入れてきましたので、のんびりと朝食しました!朝ごはん、こんなに景色の中で、こんなにゆっくり食べられる機会なんて、まずないからね、堪能セネバ!

大日岳と池塘(↑)。尾瀬に似ていますが、もう少し自然の野趣感のある湿原です。

2000m近い高所でも、夏の日差しは朝から暑い!一気に日焼けが加速しました。

誰もいない木道は、歩きたい放題です。

あっという間に外回りコースを一周してきてしまいました。アップダウンはほとんどなく、広々とした草原の散歩道は、立山の旅の最後を締めくくる、清々しい散策路でありました。

立山の思い出

この夏はお天気に翻弄されながらも、素晴らしい体験をさせて頂くことができました。ゆっくりと、無理せず、謙虚な気持ちで大自然に対峙する、そうすればきっと、この世界の片隅に生きていくことを許されるのだな、そんな気持ちをジンワリと噛みしめながら・・・

帰り道は、時間調整のために、室堂平で小一時間を過ごし、立山連峰に別れを告げて、コツコツと下山いたしました。

いつかまたきっと、戻ってきます。それは雪の季節かな。今度はピッケルではなくて、ヒップそりとスノーシューで遊ばせて頂こうかな。その頃、私たちは、おじいさんとおばあさんになっているかもしれません💦でも、それでも、きっとまた来たいね!と話しつつ・・・

最後の鬼門、小仏トンネル付近で2時間の渋滞を耐えながら、灼熱の東京へと戻ってまいりました。

高原で出会ったお花たち

ハイキングや登山の途中では、可憐な植物が心を癒してくれました。(名前調べました。でも、もし間違っていたらごめんなさい)

ウサギキク 夏の高山で必ず出会う、この子の名前は忘れません。

イワキキョウ 険しい岩肌で心を慰めてくれました。

タテヤマアザミ 立派なアザミ、立山で命名されたそうです。

チングルマ 白いお花が終わり、そろりそろりと秋の装い。

イワツメクサ あなたの小さな凛々しさが眩しいです。

ミヤマアキノキリンソウ こんにちは、今回もお会いできて嬉しいです。

キオン 弥陀ヶ原の木道脇にたくさん咲いていました。

ハクサンボウフウ こちらも弥陀ヶ原で会いました。

ヤマハハコ 小さくても優美で、ドライフラワーになるお花。

シモツケソウ 緑の草原にピンクのお花がひときわ目を引きます。

などなど・・・

そして、そろそろ秋の兆し。ナナカマドの実が色づき始めていました。

暑い暑い毎日ですが、それでも山では秋の風が吹いていました。季節は必ず訪れてくれるから、いつかまた、違う表情のみんなに会える日を楽しみに、この先の日々も元気に生きてまいろうと思います。

さっ、ヘッポコ相棒よ、次はどこへ行きましょうか?