八甲田山スノーモンスターと酸ケ湯温泉

今季の冬は暖冬、山の雪も少ないのかな~と心配しつつ、それでも、引退後初のヘッポコ山行遠征は、これまで日程や天気の関係で断念し続けた場所、東北青森【八甲田山】へ。何しろ、日本一いや世界一の豪雪地帯でもある青森。素晴らしく有名な“温泉”もあり!ワクワクしながら、2月後半の連休3日間、東北青森の雪景色にまみれてきました。

八甲田山は「八甲田山」という山があるわけでなく、たくさん(=八)の甲状の峰々からなると言う意味で「八甲」。雲上は広くて高原のようで、そこにいくつもの山がポコポコ連なっているのです。

深田久弥“日本百名山”には、「これほど美しい高原は滅多にない。豪華な絨毯を敷いたようなその原には、可憐な沼が幾つも点在し、その脇には形のいいハイマツが枝を広げている。周囲には丈の低いアオモリトドマツが風情を添え、その結構な布置といい、背景の効果といい、まことに神の匠を尽くした名園のおもむきあがる」と記されています。

そりゃぁもう、行かねばなるまい!

これまで夏や秋にと計画したこともありましたが実現せず、この度はもう気が急いて、何しろそのアオモリトドマツは、厳冬期には見事な樹氷と化し「スノーモンスター」として、多くの登山者に感動を与えているのですから、初めての八甲田、まずはこの厳冬期にレッツゴー❣なのだ☺

雪の酸ケ湯温泉到着!

新幹線で3時間、新青森駅からバスで1時間半で終点「酸ケ湯」。やっと到着したのは正に雪国でした。ここは、一度は訪ねたい温泉場「酸ケ湯(すかゆ)温泉」です。

一年を通じて湯治客が途絶えることなく…、あっ、そういえば行きの新幹線の三人席で私たちの隣に座った若い男性が私たちのいで立ちを見て「もしかして山へ行かれるんですか?どこへ?」と話しかけられ、青森八甲田と言うと、僕もです!ということで、しばし話が盛り上がり、な、なんと彼はここ「酸ケ湯温泉旅館」に宿泊予定だとのこと。

しかし私たちは、いつも計画が遅くて、連休中の酸ケ湯温泉はすでに満室でした。でも、日帰り温泉はいつでも入れます。お隣の「八甲田ホテル」に宿泊しましたが、経営が同じということで、シャトルバス(所要5分)があり入浴無料!期間中2度も入りに来ました。

終点「酸ケ湯温泉」でバスを降り、自宅から6時間強もかけてようやく到着!。

ここから初日宿泊の八甲田ホテルまではシャトルバスで5分だ。なのに!明日の練習と称して、歩く!?となり…、いや、でも結構な風雪なんですけど…。「豪雪の山をなめてはいけない!」という、ヘッポコ相棒(夫)のビビりな忠告に従い、目の前の温泉を素通りして、まず特訓、とな(-_-;)。

実は、豪雪地域の登山と聞いて、この度は「ワカン」と「アイゼン」を組み合わせて履くことにしました。「ワカン」は昔のかんじきで雪の上で沈まず浮かせる役割、アイゼンは爪のある道具でアイスバーンな急坂で滑り止めの役割。

青い紐のアイゼンを履いて、その上から赤い紐のワカンを(爪があるのでひっくり返して)履くという💦つまり、登頂すんでの急坂にさしかかったらワカンを外してアイゼンでGO!というわけで、こちらがヘッポコ見本↓

「こうなるんだな<(`^´)>」とな。

今年はこれでも雪が少ない方、と聞いていました。でも、寒さが違う!これまで色んな雪山を訪ねてきましたが雪山手袋をしていても、風雪のせいで、すぐに手先が凍るように冷たくなってきました。地図には徒歩15分とありましたが、あたり一面雪道で、目指すホテルは影も形もないではないか!

ほどなくすると、すごい硫黄の匂い!八甲田山は火山地帯。雪の中に緑色の池が登場しました。「地獄沼」です。火山活動でできた沼だそうで、どうやら熱湯が湧き出ている?もうここでいいから入りたい気分でしたが、硫化ガスが噴出していて危険につき立ち入り禁止(^^;)

やっとホテルの看板発見!ですが雪に埋もれている…まさか、ホテルも雪の中だったりして?と妄想してみたり。雪質はふかふかのパウダースノー。もうこれでもかと積もっている雪にまみれて彷徨うこと30分。

ようやくホテルに到着して、チェックインを済ませて身軽になったら、お風呂の準備をして早速シャトルバスに乗り込み「酸ケ湯」へ舞い戻ってチャポン♨!酸ケ湯温泉初体験で生き返り、そしてなんと、こんな閉ざされた雪国の夜だというのに、フレンチのフルコースに酔いしれて、ホテル内の大きな温泉も堪能し、止まぬ雪を恨めしく眺めつつ、明日の登頂を目指します。(一泊目:八甲田ホテル泊)

酸ケ湯~仙人岱避難小屋!吹雪につき大岳登頂断念

これまで長い休みの取れる夏に何度か八甲田山を計画しましたが、台風やら線状降水帯やらで断念してきました。なので八甲田山は天気が難しいというトラウマがあり、今回は二日間のチャレンジを準備しました。

酸ケ湯~最高峰の大岳を目指す
②ロープウェイを使って田茂萢岳~大岳を目指す

というわけで、歩いたコースはこちら。なのですが、なぜ途中が行けていないのか?については、話せばこんなに長~くなりました…(^^;)。

てなわけで、青森2日目、①チャレンジを決行しました。

でも・・・朝から雪がしっかりと降る中の出発となり、傷んでしまった膝にはしっかりテーピング、そして温タイツに温サポーターに冬ズボンに、さらにゴアテックスズボンも履く。上は通常インナー+保温の機能性インナーにシャツ着てフリース着て冬ジャケット、首にはイザとなれば目の下まで引き上げられるネックウォーマーという重装備です。

それでも、ものの10分ぐらいで手先、足先、顔、冷たいというか痛い!これまでの雪山とは何か違う、まずたぶん気温が違う?そして雪の量も違う?さらには風が四六時中冷たい?いやいや、まぁまぁ、大丈夫よ!

連休ということで、スキーを担いだバックカントリーの人や(夏山に比べれば少ないかと思いますが)登山者さんたちもいます!

おかげ様で、来た甲斐のある、素晴らしい豊かな雪化粧の木々に出会います。

トレース(前の人が歩いた跡)もしっかりしているので、道迷いもありません。それに今回は雪中の八甲田ということで、健さん(高倉健)さんのあの映画(八甲田山)のことが何度もチラついて、私たちは決して彷徨してはならぬわけなので、YAMAPの登山アプリもダウンロードしてGPSにも道案内してもらっています。

うひょ~冷たい、でもキレイ✨雪すごい~!!と、感動すると言葉も単調になるのか(^^;)同じ単語を何度も発しつつ、幻想的な樹林帯を歩け歩け!

樹林帯を抜けると、ここは「地獄湯の沢」。こんな雪に覆われた場所なのに、どこからか硫黄の匂いがしてきます。どうやらここでは、硫化水素ガスや炭酸ガスなどを噴出しているそうです。八甲田、火山地帯なのですね。

樹林帯を抜けてますます風雪が容赦なく吹き付けてきます。しかも意外に斜面もキツイ。

あっという間に、こんなことに・・・。えっえ~、トレースが風に飛ばされる~「大丈夫だ、この斜面と斜面の間を登れば迷うことはない」と思えるのではありますが、辺りは真っ白というか、白グレーの靄の中。

行きの新幹線でスマホをいじくっていて目にした「雪中行軍遭難事件(八甲田山死の彷徨)はなぜ起こったか」~八甲田山にはシベリアからの風が直接あたり、しかも津軽海峡から吹き上がる風が乱気流?吹雪を巻き起こして云々…」が思い浮かび、今まで雪山で感じたことのない恐怖で身が凍りそうになりました。

でも、地獄湯の沢を登り切った頃、グレーの空の一部が明るくなって、まさかの太陽?

目の前に無数のスノーモンスターが現れました!

おぉ~君たち。ここに居たのですね。厳しい風雪にさらされて、分厚い雪の衣装に身を固め、じっと立ったまま冬眠するトドマツ。それでも今年は雪の衣が薄手だそうですが、十分に感動的でありました。

仙人岱避難小屋への分岐に到着。行く手の霞んだ山肌が八甲田山最高峰の大岳であるに違いありません。しかし、ちょっとあまりに天気が厳しくて、分岐で出会った登山者さんたちと話し合い、とりあえず「仙人岱避難小屋」を目指すということに。雪まみれの分岐ではGPSアプリが大活躍!

ふっと見ると、一組の登山者カップルが、足を留めている私たちの脇をすり抜けて、躊躇することなく大岳に向かって歩いて行かれましたが、何かを決意したかのように突き進む後ろ姿が、この後の突風に消え入りそうでありました。

仙人岱避難小屋はスノーモンスターの林を抜けて行きます。ザワザワと、風に雪の衣装を震わせて、天気が悪くなるよ気を付けて、と言われているみたいで…。

仙人岱避難小屋到着。実は見えているのは2階部分。一階は雪の中?なので2階の窓から入る人の姿が見えました。しかし、このワカンやアイゼンを外さねばならぬだろうことを思うと、感覚の無くなった指で、しかも吹雪の中で、もう一度装着するなんてできそうもなく💧(この時点でもう大岳登頂をほぼ断念しました)

仙人岱避難小屋を早々に後にして、モンスターたちが示す道を戻ります。こっちだよ。そっちじゃないよ。あっちだよ。どっち~(^^;)。ウロウロしながら先ほどの分岐へ。

分岐に戻ると、大岳方面は真っ白で、ホワイトアウト状態でした。あのカップルはどうしたであろうかと思いつつ、トレースなし、吹雪強め、とにかく本日は来た道を撤収!温泉に向かって、急げ!!

下山中には登って来られる色んな人からすれ違いざまに声をかけられました。「この先どうでした?」には、「かなりの吹雪でしたよ~これから止むかどうかわかりませんけど~」と答えたり、はたまた辛そうに「避難小屋どっちですか?」と聞かれた女性には、きっちり丁寧にお教えしました!また中には「これで三度目の挑戦だけどお天気に恵まれないんですよね~」なんて人もあり。

やっぱりそうなのだ!さすが八甲田山。簡単には晴れてはくれないのだな~と思いつつも、明日があるさ。戻ろう!!

樹林帯を抜ける時には、バサッと木々が頭上に雪を落としてくれたりして、もう私がスノーモンスター⛄になりそうでありましたが、ようやく酸ケ湯の建物が見えてきましたよ!

温泉入りたい~♨♨

というわけで、装着に苦労したワカンもアイゼンも脱ぐ時は早い!ヘッポコ相棒と代わりばんこで荷物の番をして、ちゃっぽん&じわーー♨とありがたいお湯につかって命拾いの気分でありました💦

ちなみに、酸ケ湯温泉の大浴場は混浴💦です。だけど安心!記事の最後で温泉事情をご紹介(*^^*)v

(二泊目:八甲田リゾートホテル泊)

ロープウェイ使います!田茂萢湿原~赤倉岳へ

チャレンジ①で途中リタイヤを止むなくした青森3日目は、用意していたチャレンジを決行!②ではロープウェイを使って標高を稼ぎ、できることなら「大岳」にタッチしたい。

がしかし、朝8時、ホテルチェックアウト時にいきなり問題発生!(ちなみに八甲田リゾートホテルは家庭的で素朴なホテル。温泉も抜群でまた2度入りました。ロープウェイ下ということもあり大勢のスキーヤー、ことに外国人がたくさん宿泊されていました)

で、その問題とは、「ロープウェイは朝9時が始発です。それに、このシーズン土日は標準90分待ちです」な、なんと下調べ不足。もうその時点で、帰りのバスや新幹線を考えると大岳まで行って帰って来られないではないか!なんとなんと(-_-;)。。

「仕方ない。だからといって挑戦しないという選択肢はないわけで、上が吹雪いてるかどうかもわからないけど、行けるところまで行く」ということになり、すでに長蛇の列となっているロープウェイ乗り場に並びました。さすがとにかく外国人が多い!9割がスキー客。

結局、朝8時半に並んで1時間強でようやく乗車。けどこのロープウェイ、えらいこと凍っているではないか!?上はどうなっているんだろう…💦

天気は曇り。雪は降ってない!もうお願い八甲田山。私たちを登らせて!

ロープウェイから見える樹氷の山肌は、まあなんとも美しく、何か雪の精が潜んでいると思われる神秘的な景色でもありました。観光客の方も大勢乗車されていて、歓声もあがっていました。

ロープウェイ山頂駅到着!おっ、天気、晴れではないけど、まずまずです。

海の向こうに北海道が見える。お詳しい人がそう教えてくれました。あの半島の先の、あの大地かな。北海道!だなんて、そうか、そこは津軽海峡♪

そして、スノーモンスターたちがお出迎え。ここまではスキーや登山でなくても、長靴を履いた観光客の皆さんも楽しんでおられます。

今年はやっぱり雪が少なくて、例年ならばもっとモッコリと頑丈なモンスターが立ち並ぶようですが、それでも、アオモリトドマツの皆は、あちこちから吹きすさぶ風に身を耐えて、長い間、この八甲田を生きているのですね。

さて、本日も、YAMAP登山アプリGPSを立ち上げて、スキーヤーの皆さまを横目に、高原をスキップしてあの山へと向かいましょう。

目の前には、八甲田山系「赤倉岳(1548m)」「井戸岳(1550m)」「大岳(1584m)」が見える。

もうすでに大岳を往復できる時間はない、でもせめて、最も手前の山「赤倉岳」登頂を目指そう❣(実はよく見ると、山の頂上直下がツルンとしてるのですが、それがどういうことか、この時はまだ気づいてもいませんでした)

まずは田茂萢(たもやち)湿原を行く。ここはすでに標高1300mぐらい。広大な湿原の夏を想像すると、どんなお花が咲いているのだろう、ここはきっと木道なんだろうな、ワクワクしますが、広々とした雪原と化した田茂萢湿原は、もうここだけで十分に楽しいスノーハイクの場所でもあります。

おっ、君は誰?真っ白なワンコみたいなモンスターが「行ってらっしゃい」をしてくれました。

ゆるやかに登って行きます。サクサクとした豊かな雪道は、ここが道ですよ!というトレースもまちまちで、好きなように歩いても大丈夫なぐらい雪が穏やかでした。

標高を上げてくるとモンスターの白さも増してきました。

青空とはまいりませんでしたが、前日の吹雪に比べるとどんなにか過ごしやすく感じたことでしょう!やっぱり風雪があるのとないのとでは大違い。今日の八甲田は気持ちが鎮まってくれているのでしょうか。サクサク、ペタペタ、キュッキュッと楽しい雪山登山が続きます。

モンスターたちもこの日は無邪気で、おしゃべりが楽しそうでもあり、なんだか嬉しい。

前を行くヘッポコ、その前を行く人たち。楽しいよね。うん、楽しいよ。

勾配が急になり、足元の雪がシャリシャリと凍っているような音がし始めました。間もなく森林限界を超えてモンスターが居なくなりそうなところで、いよいよ、ワカンを外しアイゼンのグリップを効かせて本格雪山登山へ。

ここで、後ろから登って来られたご夫婦と出会って、ちょこっとおしゃべりしました。ですが、どうしたわけか振り向くと下山を開始されていました。その様子を見て「えっそうなの?私は?行けるの?」と心の中に不安の種が宿りました。

しばらく登ると、遠くからツルツルに見えた頂上直下は、なんと!凍ってたんだ💦。不安の種が急ピッチで芽を出しそうになり、しかも画像よりも実際の勾配は厳しくて、とにかく怖いじゃないか!氷の壁じゃん!昨日の「彷徨」とは違う新たな脅威「滑落」のイメージと戦う羽目となりました。

「やめようかな」と言うと「えっダメだよ、ハイ登って~」しか答えないヘッポコ。「落ちてきたら受け止める」とな?いやそんなのできないでしょ、むしろ道づれ?ならば私が先に登るのだ(へへっ)。

この数分?数十分は、ただ足元のアイゼンだけを見つめ続けました。何も考えず、一歩ずつ氷に突き刺さして山肌を体に感じつつ、「大丈夫、できる」と唱えながら(大げさですが💦)。

ほどなくして、ほほほっ赤倉岳登頂!

やっぱり、やればできるのです☺。それに、いつものことながら、この爽快感。太陽はぼんやりとした気配しかありませんが、「そこに山があるから」と答えた人の気持ちが少しわかる。

赤倉岳山頂絶景堪能~田茂萢岳へ下山

山頂は360度ぐるりと天上に近づいた解放感に満ち溢れていました。

しばし、のんびり~としていたら、なんと先ほど出会ったご夫婦が上がって来られました。お気持ちが変わったのかな?やり切った笑顔のご夫妻とニコニコご挨拶しました。あ~良かった(*^^*)。

本当は目指していた「大岳」はもうすぐそこに見えるのに、でもそう見えて往復するには時間が足りない💧もう一泊できるのなら、大岳を超えて酸ケ湯温泉に下山したいワ、だけど今日は東京まで帰らなくちゃ。

うん、いつかさ、ぜひ酸ケ湯温泉に泊まって、紅葉シーズンを縦走しよう。てなこととなり、さて、帰りますか!

するとなんと、え~っ?ぎょぎょぎょ???

下から登って来る人影がめっちゃ小さくてスゴイ下の方じゃん。

こんなとこ登ってきたんだよね。つまり、ここ下りる。すごい急坂なんですけど!しかも凍ってるんだよね…めちゃくちゃ足がすくんでしまい、ヤバい!

「登ったんだから下りれるって!」と気楽に言うヘッポコですが、後から来られたご夫妻の奥様も難儀していらっしゃいました。何しろ、ホント、怖いんです(-_-;)💦

「何でカニ歩き?真っすぐ前見て下りてよ!」「無理だから怖くて下なんて見られないもん!」

こんな写真撮ってる場合ではなかったハズなのに、証拠写真をよく見ると、後ろのご主人様は奥様に付きっ切り。だのに!うちのヘッポコ相棒は「カニ、カニ」と面白がって「このアイゼン、グリップ効くよな~」と駆け下りて行ったのでした。

なんとかかんとか氷壁ゾーンをクリアして、ようやくモンスターたちの待つ場所へ。

雪山の登山者は多くはないので、トレースがしっかり固まってはいません。ワカンを再装着した方がいいのではありますが、もう面倒で、パウダースノーに足を突っ込んで、雪と戯れながら下山しました。

前を歩くヘッポコ。どうしてもクマに見える!そうじゃなければ、ガイドというより「係の人」?しっかりトレースをつけて頂いて、その後を歩かせて頂きました(^^)

戻りは、田茂萢(たもやち)岳を経由して、ロープウェイ山頂駅へと向かいます。

深田久弥の言葉を借りるなら「八甲田山の風景を個性的にしているのは、その広大な高原性とそれを覆うアオモリトドマツの群れであろう」

とにかく広い広い高原にほっこりと盛り上がった小高い丘のような山々、青空には恵まれませんでしたが、圧巻の雪景色を堪能できた3日間の青森遠征は大満足でありました。

八甲田山からは円錐形の「岩木山」が見えました。なるほど美しい「津軽富士」です。思えば青森、まだまだ訪ねたい場所がいっぱいあります。白神山地もちろん、奥入瀬も、下北半島の恐山にも行ってみたい。雄大な景色を眺めつつ、希望だけは大きく膨らんでいきました。

帰りのロープウェイは空いてます。だってスキーヤーの皆さんは乗車しませんから。のんびり腰掛けて、白銀の樹氷の海をゆったりと下りてまいりました。。

てなわけで、厳冬期の八甲田山は厳しくも大きて、まだまだその懐の奥は計り知れない神秘の山でありました。もっともっと知りたい。そんな気持ちを揺さぶられる広大な場所、本当にありがとうございました。

で、「引退記念の旅、次はどこ行く?」「えっ、いつまで引退記念やるの?」「う~ん、じゃさ次は再スタート記念?とか?」「再スタートって?何??」「いや別に」なんて、適当な会話をしつつ、でもな、これからもとにかくゆっくりと、まだ見ぬ色んな世界を歩いて行きたいな、と思うわけでございます。何しろ、たぶん、まだまだ、これから、なのですもん(*^^*)v。

ありがとう!スノーモンスター

厳冬の強風に吹きさらされるアオモリトドマツの群れ。厳しい環境でも緑を絶やさず、そして冬場は雪と氷をまとい、その身を守るかのように、それでいて決してくじけずに立ち続ける木々。会いに来てよかった。しみじみと、いつまでもその感動をよみがえらせることができるのは、君たちが生き続けていてくれるからだと思うわけです。

モンスターの間を抜けるハイキングはとにかく楽しかったです。時々ツルツル滑るのは、今年の暖冬のせいかもしれません。新雪のすぐ下は固まったシャリシャリの氷の雪になっていて、滑るたびにちょっと笑える、楽しいスノーハイクでありました。

酸ケ湯温泉の思い出

今回の旅の目的の一つでもあった「酸ケ湯」。誠に素晴らしい温泉でした。東京に戻って10日が過ぎても、「あ~このマンションの下にあの温泉があれば」なんて叶うはずのない妄想を繰り広げています。

酸ケ湯温泉は、300年以上も前に、手負いの鹿が傷を癒したという逸話から、「鹿湯」しかゆ…→すかゆ、となり、酸性のお湯であることから「酸ケ湯」となったとか。

酸ケ湯温泉の大浴場は混浴です!かなり緊張してしまいましたが、親切な常連の女性が色々教えて下さいました。行ってみると、脱衣場は男女別になっていて、浴室の入口には衝立があり、そろりとお湯につかると、お湯は白濁。衝立の場所で肩までお湯につかってから移動すれば、首から下は人目にさらすことなく、しかも湯けむりがスゴイので、声は聞こえるからそこら辺にいらっしゃると思うけど、男性陣の姿は見えません。(湯あみ着というものも販売されていますが、いらないかな、と思います)

そしてお湯は結構な酸性!どうしてわかったかというと、何しろ痛いほど目にしみる。山から下りて凍った手足の先はピリピリとして、まるで治療されているみたいに癒されました。

また、本当に、もう一度じっくりと、あのお湯に浸かりたい!ぜひ次は酸ケ湯温泉に泊まろう!が我が家の合言葉にもなりました。