天空の散歩道(達磨山)

富士山を臨む

お正月2日に、今年の運勢を占うべく、富士山に会いに行ってまいりました!

新年の空にそびえる富士山。

向かいましたのは、伊豆市~沼津市にまたがる、伊豆山稜線歩道を歩いて達磨山(だるまやま)。頂上から望んだ、今年初の富士山です。

初空に うかみし富士の 美まし国(虚子)

元日にはダラダラと暴飲暴食に甘んじて過ごし、重い体で目覚めた2日の朝、今年こそはの想いをを込めて、新幹線で三島まで。そこからは、こちら伊豆箱根鉄道で修善寺までまいります。

謹賀新年列車に乗り込んで、一年の希望をたくすあの山へ、今年もいざ(よろしければどうぞご一緒に)Let’s go‼でございます(^^)

お正月ということで、しんと静まった修善寺駅からバスに乗り「大曲茶屋」という、ひっそりとしたバス停に降り立ちまして、いざ今年の第一歩をはじめます。

実はこの日の空は、白い雲に覆われて、これじゃあ、お出ましになるのは難しいかもしれないよ。それでも、相変わらず新年早々もバタバタな我が家は、今日しか行かれないのだ!と息巻くいつものヘッポコ相棒と、無口なスタートとなりました。

今回歩く「伊豆山稜線歩道」は全長43キロほどありますが、全部全部歩くには、体力も時間も足りず、その一部およそ12-3キロほど(地図の赤線を下から上へと)歩きました。真ん中の5キロほどはずっと富士山を眺めて歩ける、大絶景の天空散歩(のはず)。-

なのですが、なんと、なんと、あらがうことできぬ、空模様(^^;)。ただただ、祈るばかりです。。。

歩き始めは、斜度のある車道を40分程てくてくと登ります。

あっ、山が見えたよ!しかもちょこっとだけ青空。う~ん、お願い、助けてお日様。そんな気分で登山口へ!

長い車道歩きを終えて、いよいよ「船原峠」という登山口に到着です。この階段を上ると、伊豆山稜線歩道へ合流です。

おっ、木漏れ日。寒さのしみるお正月でしたが、太陽のありがたさが身にしみます。

枯れススキに赤い椿も青空を欲しがっているのに違いない。でももう、ここまで来たんだから、歩くことを楽しもう!富士山が見えなくても、そこに居てくれると思うだけでもいいじゃんね!きっと富士山は私たちを見捨てたりしないよ。なんて健気なことを言いながら。。。

稜線というと、平地歩きというイメージですが、意外にも、ちゃんと登り坂。だらだら坂とも呼ぶべきか。ただきちんと整備されていて、歩きやすい登山道でありました。

やっぱ、でもね~会えないんなんてな~と、足取り重く、山道に入ったり、車道に出たりを繰り返します。というのもこの稜線は、西伊豆スカイラインと並行しており、時々車道歩きを余儀なくされます。

そして、標高800mの土肥峠に到着した時・・・前を行くヘッポコ相棒が、突然に飛び跳ねて、大はしゃぎで叫んだのです。

「あれ、富士山だから!」

うっそ~!(^^)!

うつむき加減でふてくされていたわりには、急に駆け足になり、胸が高鳴りました。土肥峠からは山道発進です。早く、お隠れになる前に、行かなくちゃ!

しかも、いつの間に、お空は真っ青に。ちょっとウルウル、心臓バクバクしてきました。

そして、ドキドキしながらせっせと登ると、見晴らしの良い稜線に出ました!!

おっお~駿河湾❣これまた、猛烈な感動です。

そ、そうなのです、今回の富士山は、駿河湾を隔てて臨む予定なのです。

しばらくこの景色を背に、登っていきます。

なんと、素晴らしい稜線歩きです。この先の山を越えると、富士山に会えるはず!

ちょっとね、このクマ笹が視界を遮るのです。もしかして、君たちの向こうに富士山見えるかもしれないのに!

いやいや、お楽しみはこの先に。クマ笹たちは、海からの強風を上手に遮ってくれているのですから。

で、なんと、満を持して、やっとお出ましです!

富士山、富士さま~❣❣

ねえ、ちょっと、見て!見た?見た⁉

富士山て、会えるとどうしてこんなに興奮してしまうのでしょう。

とにかく、ここからは、ずっとずっと、あなたと一緒。

しゃんと背筋を伸ばして、ゆらゆらと空に浮かんでいる、大らかなあなたと一緒。

スカイラインを横目に、山肌の稜線を歩いて行きます。

まるで絵にかいたような、新年の富士さまです。

クマ笹の間を縫うように続く稜線は、ほとんど人がいません。きっとみんな、スカイラインを車で飛ばして走り抜けてしまうのかと思うと、まことにもったいないです。

むむむ、青空へと続く道。

正面には富士山、左には戸田港。空も海も晴れわたり、見事な青です。

この景色の中を、ゆっくりゆっくり行きましょう。

相棒と二人占めの初歩き、嬉しさ爆発です。

ここは、天空の散歩道。

うっほっほ!

出発の時に頭上を真っ白におおっていた雲はどこへ行ったのでしょう?初春から、誠に縁起の良い、まぶしい空に感謝です。

このままずっと歩き続けたい気分ですが、あの上は達磨山(だるまやま)山頂です。

あっ、富士山の頭上に小さな雲、笠雲?発生!

「ねえ、笠雲って縁起がいいんだよね?」「おお、富士山だからな!」という、熟年夫婦にはあるまじき、知識のなさを披露(と言っても周りに誰もいませんが)しつつ、ともかく、こいつは春から縁起良し(^^;)

そして、達磨山山頂981.8mに到着しました。

駿河湾はまるで天の鏡のように輝いて、

笠雲をかぶった富士山は、どっしりと駿河湾に腰を下ろしているようです。

絶景に目を細めつつ、富士さまが、とてつもなく愛おしく感じました。

いやもう、これは大成功でしょう!お正月に富士山に会える、その感動が半端なく心にしみわたってまいりました。

頂上でお雑煮をつくりました。あまりの強風になかなかお餅が煮えなくて、ちょっと失敗してしまいましたが、時間をかけて柔らかくなるのを待ち、富士山に感謝して頂きました。

そんなこんなするうちに、笠雲が流れて、頂が顔を出しはじめてくれました。

なんと、この美しい自然の造形美に、息を飲む。

頂上からは、さらに稜線歩きが続きます。もうこれ、富士山を正面に見据えた、この世とは思えぬほどの天上の道です。

そして、傾き始めた太陽が海に反射して、鏡よ鏡、この宇宙で一番きれいなのは誰?

達磨山を越えた稜線は、さらにきれいに整備されていました。これぞ空中散歩です。

この道は、天空の散歩道。なのできっと夏場は炎天下となり燃え尽きてしまうかも。ということは、晩秋~早春頃がベストシーズンかな。

笠雲が流れて、端正な頂と目が合いました。背筋がシュンとして、なんて清々しいのでしょう。

そして、名残惜しい気持ちを胸に、だらだらと道は下り坂、バス停のある「だるま山高原レストハウス」にたどり着くと、そんな気持ちを察してくれていたのか、見納めの絶景が待っていてくれました。

麓にうっすらと西日を浴びた、富士山の全貌です。

ありがとう、富士さま。そして、どうか、2022年も何卒お見守り下さいますように、よろしくお願いいたします。手をあわせてしまいました。

そうそう、達磨山、この山の由来は座した達磨大師に似ていることから名づけられたそうですが、それよりも、この山には、滑っても転んでもすぐに起き上がれる、という意味もあるとのことで、なんとありがたい。

何しろ私たちは、今年もまた、あまりに頻繁に、数え切れぬほど、転倒を繰り返すに違いないわけで、それがすぐに起き上がれる!?、なんとも頼もしいご利益を頂けて、はじめの一歩を心強く刻むことができました。

どうか、もろもろ、良い年になりますように。