雨の乗鞍岳!高山植物と滝めぐり

渓谷と夏山

夏休み!東京のとんでもない暑さから脱出して、涼と大自然に包まれたくて、恒例の山歩きへとまいりました。

しかしそれが、何ともお天気に恵まれず、涼しいというより寒さに震える修行となってしまいました。それでも、嵐に耐える高山植物に出会ったり、麓ではアルプスの水浴び滝巡りなんかもしてみました。

ヘッポコ夫婦で珍道中、非日常時間な夏を過ごしてきました。

目指したのはココ (^^ゞ

ここは、北アルプス最南端、岐阜県高山市と長野県松本市にまたがる、標高3026mを最高峰とする、乗鞍岳です。

実はまだ骨折が完治していない私で、この夏はガッツリ登山ができないのですが、ここなら2700mまでバスで運んでもらえる!大絶景で、涼しくて、楽ちんな山旅ができるはず。

上空のお天気を心配しつつ、初日は麓の乗鞍高原滝めぐりからスタートしました(*^-^*)

日本百名滝「三本の滝」へ

お盆後半の渋滞をかいくぐり、都心からマイカーで到着した別天地の森では、生まれたての清流が出迎えてくれました。

冬にはたっぷりの雪に覆われる標高3000mの乗鞍岳は豊かな水源となり、標高1500-1800の乗鞍高原の各所では、豪快な水流が絶え間なくしぶきをあげ、森の木々は逞しく命を育んでいます。

ゆらゆら揺れるつり橋の下は滝から流れる激しい水流。うわぉ、これいいじゃんと心は踊りますが、骨が再生できていない足指が不安定であることを忘れずに、気を付けて渡りましょ!

ちょっとした岩場を登りきると、おお~日本の滝百選にも選定されたという「三本滝」が眼前に現れて、ちょっと息を飲みます。

すると、いきなり豪快に雨が降り始め、周りの人々があっという間にいなくなったところで、ヘッポコ相棒のカメラタイムです(^^;)。

水源の異なる三つの沢から流れ落ちるダイナミックな滝は、落差5-60m。雨なのか水しぶきなのかわかりませんが、初日からすっぽりと濡れました。

う~む、素晴らしいなり!ぜひにも、この水が生まれる場所、このずっと上へと行かなければ!明日はきっと雨は止んでくれるハズ。

が、しかし、翌日の乗鞍高原は朝から雨が降りしきり、山お天気も雨雲レーダーも、不穏な状況でありました。でもでも、小さな期待を胸に、乗鞍高原からバスに乗り(乗鞍スカイラインは自然環境保護のため平成15年からマイカー通行禁止)、標高2702mの畳平へレッツゴー!

道中バスの窓に打ち付ける雨は止むことなく、標高があがるにつれて激しさを増し、真っ白の世界「畳平駐車場」到着してしまいました。降りてみると寒すぎる。リュックの中の衣類を全て身に着けてゴアテックスを全身にまとい外に下り立つと・・・こんなことに💦

うっっ。。。(>_<)

登山装備のない観光客の皆さまは、畳平のレストハウスから外に出られない様子で、帰りのバスを待っておられましたが、いや、山のぼら~の私たちは、ここで諦められないわけで、って、げっ、すごい風雨。雨が顔に、、痛い💧

登山案内所の係員さんに、今日は登頂はムリと言われたわけですが、とりあえず、とにかく外へ。

そうそう、畳平には高山植物の咲き乱れる「お花畑」があるのです。お花畑は木道が敷き詰められて、って、ヤバい風が雨が、と時折しゃがみ込みながらも、一周ぐるりと歩いてしまいました。

おっウメバチソウの花畑、こんな嵐の中でも、高山にしか咲かない可憐な花たちが季節を彩っているのです。ちょっと感激して、たくさんのお花をカメラにおさめました。

畳平お花図鑑はこの記事後半で、お名前もちゃんとご紹介していますので、どうぞ森林限界のその上に咲くファンタジックなお花たちを見てあげて下さいませ(*^^)v

ということで、係員さんのアドバイスに従い、とりあえず、明朝再挑戦することにして、宿で持たせて下さったおにぎりを濡れそぼりながら頬張り(これがとってお美味しかったのですが)やむなく下山。

1500mまで降りると、なんで?晴れてるじゃん!うふふっ、ならば、高原散策と滝めぐり、続きを歩いてまいりましょう。

休暇村乗鞍高原から善五郎の滝へ!

シラビソやオオシラビソなどの針葉樹、ダケカンバやシラカバなどに囲まれた清々しい道。

やがて牛留池(うしどめいけ)にたどり着きました。

湖畔に生えるねじねじの木。幹が一回転してます。これも自然のなせる業。

善五郎の滝到着です。

落差20m幅8メートル。この幅の広さいっぱいに均等に滝が落ちる、端正な迫力のある滝です。晴れているのに、頭上から水しぶきを浴びて、今回は濡れそぼる山旅ですな💦

轟音を響かせて叩きつける水を滝つぼは静かに受け止めていることが、ちょっと不思議に思いました。

森の中にコバルトブルーの水の色が良く似合う、幻想的な世界が目にしみました。

帰り道、お猿の家族に出会いました。近づくとみんないなくなるのに、この子だけ何か考え事でしょうか。大自然の中のお猿はおおらかです。

マイナスイオンに包まれて、気分転換もできたことですし

滞在最終日、乗鞍岳、再チャレンジへ。

お願い、晴れて!

ですが、、願い空しく、大粒の雨こそ降っていませんでしたが、畳平は今日も霧の中。そして、すさまじい突風が霧雨を含み、昨日以上に吹き付けてくれるわけで…(-_-;)

でも風が強いせいか、一瞬「鶴ヶ池」が姿をあらわしました。

とにかく、登山道を前へ進もう!目には見えませぬが、ここは大絶景の広がる場所。

見える?

うん、

見えるような気がする。。。

歩いた甲斐があり、この日はコマクサに会うことができました。コマクサは畳平のお花畑には咲かないのです。こんな砂礫地に咲く逞しくも可憐な花。風が強くてピント合わず(-_-;)

近づいて、もっと近づくと、雨雫を蓄えたピンクのお花がブルブルと震えていました。高山でしか会えないコマクサは、個人的にとても愛しい花でございます。こんな日でも、会えて良かった!

お隣には、イワキキョウ

おつ、トウヤクリンドウも咲いてます。

突風が足元をすくうように吹くのでしばしばしゃがみ込みながら、登っていくと、不消ヶ池(けいずがいけ)が見えました。その先には雪渓があるはずですが、あるかな?

乗鞍岳「肩の小屋」に到着しましたが、数メートル先が真っ白なので、突然に表れた小屋に驚きます。しかも突風が山の神のうなり声のように激しく鳴り、とにかく休憩!

小屋から山頂「剣ヶ峰」への登山道はこっち。

どうする?行く?やめる?

またしても全身をゴアテックスに包み、しばし協議の末、足が踏ん張れないのでは風にさらわれて滑落するかもしれん。最悪なことになってはダメだ!仕方ない、ここでリタイヤだな(~_~;)涙。。

実は私たちヘッポコ夫婦は、ここ「乗鞍岳」に8年前にもチャレンジしているのです。しかしその時にも大荒れの天気で登頂を断念しており、まだ一度もこの山の絶景を見ることができずにおります。

(2014年、その時のヘッポコぶりは⇒⇒「夏休み、北アルプスは大雨でした」

そのため、無念極まりないわけですが、少し気を緩めると、けっこう重量のあるハズの体が一瞬に風に持っていかれそうな始末でして、下山中に見つけたバスの立て札にしがみつき、やだ帰りたくない!などと叫びつつ突風にあおられながら、泣く泣く今回の山業終了でございます。

それでも、こんな日でも出迎えてくれたお花たち。次のチャレンジまで、どうぞぜひ、待っていて!

《標高2700m「畳平」お花畑の花たち》

コウメバチソウ

チングルマの綿毛

チングルマのお花は白い花びらに黄色い花芯で、とっても可愛い高山植物です。八月中旬にもなると、子どもの遊ぶ風車のような綿毛になり(稚児の風車)それがお花名の由来だそうです。綿毛もとっても可愛いのですが、今度はお花の時期に会いたいよ!

ミヤマアキノキリンソウ

ヨツバシオガマ

ガンコウランとミヤマハナゴケ

オンダテ

ミヤマゼンコ

ウサギキク

ハイマツ

ハイマツの茂みの中では、しばしば雷鳥が子育てをしています。あまりの悪天候でたぶん、茂みの中から出られないに違いないですが、親子が羽根を寄せ合う姿を妄想してしまいました。

やむなく下山すると、この日も高原は晴れ間が見えました。

そして、夏の花オニユリが緑の中に色を添えて

その向こうでは、秋を知らせるススキが穂を揺らし始めていました。

山はもう、夏から秋へと移りゆく頃。季節の変り目には嵐が吹くのかな?山の神様が一気に秋を下ろそうとして、うなってるのかな、そういえば「風の音にぞおどろかれぬる」って言うしな、なんてことをグルグル思い巡らせながら、いつかきっと再々リベンジを胸に誓い、一路東京へ!

おっとその前に、この度お世話になった宿は、乗鞍の麓に湧く乳白色の湯「白骨温泉」です。

湯元齋藤旅館は、文筆家「中里介山」が小説の構想を思い描くために滞在したという宿だそうで、色んな露天風呂にも入らせて頂き、夏休みらしい旅を満喫いたしました。

宿の渡り廊下から見えた源泉。

お湯の道の脇に、可憐な菊が咲いていました。

秋、近し、ですね。