森林浴の山「大菩薩嶺」

渓谷と夏山

 「紅葉の名所は、すなわち、新緑の名所です」
 なんてことを耳にしまして、なるほどなるほど、ならば行かねバ!ということで、5月最後の日曜日、麓の甲府では今季最高気温34度を記録したというのが信じられないほど、抜群に爽快な日本百名山、「大菩薩嶺」に行ってまいりました。

 お取引様にイチオシの山!とおすすめされての山行、東京から日帰りも楽で、筋肉痛知らずで絶景が期待できる素敵な山でした。

 時々、随分とアクティブなご夫婦ですね、なんて言われますが、いえいえ、決してアクティブな面々ではございませんで、夫も私も、日頃は仕事三昧で、朝も早くから夜遅くまで、ただ家と職場を行き来するつまらない生活を送っております。しかしそれではイカンだろう・・と気づき始めたこの頃、思い切って時間を作っては山歩きを楽しんでおります次第です。

 今回も、とても気楽に非日常の世界を歩ける山でした。

 ご存知でしょうか?森林浴はガン予防になるってこと。なんでも、森林浴をすると、ストレスホルモンが低下して、抗がんタンパク質が増加するんですって、しかもマイナスイオンたっぷりの森の中は、身体や心の痛みも緩和してくれるんですって。スゴイ魅力的な効果があるそうなんです。

 なんてことも期待しつつ、今回の山行は、新宿からJR中央線2時間弱で甲斐大和駅、駅からバスで30分で登山口です。新緑シーズンとあってバスは満席でした。
 今回のコースは、小屋平→石丸峠→熊沢山→大菩薩峠→雷岩→大菩薩嶺山頂→上日川峠へ下山、という、無理なくやさしい「石丸峠コース」で参りました。全行程、お昼ご飯休憩入れて約4時間半ほど。

 登山初心者の方には上日川峠からの往復がおすすめということもあってか、小屋平の石丸峠登山口バス停で下車したのは私たちの他1組で、多くの人は上日川峠登山口へ向かわれました。

 でも、全然大丈夫です。むしろ、この石丸峠コースがおすすめ!です。
 さっ、今回も、気楽にLet’s Go!! あっ、その前に、森にはクマさんが住んでいるらしいので、クマ鈴は必需です。

 ちょこっと急坂もありますが、道がちゃんと整備されていて、案内板も多くて登りやすいです。

 とにかく、森林浴。下界が34度なんて信じられません。素晴らしく気持ち良いです。
 大菩薩嶺はシニアハイカーにも人気でとても多くの登山者の入る山ですが、この石丸峠コースですと、殆どすれ違う人もなくて、私たちの貸切の森って感じです!

 小1時間で、展望が開けます。あの湖は大菩薩湖(上日川ダム)。森の中からスルッと抜けると、絶景ですが、ただしかし、ここで富士山や南アルプスの山々に出会えるはずだったのですが・・・おかしいな・・・?

 な、なんと、それもそのはず、登り坂で随分と汗をかいて火照った体に、あれ?天然のミストが降り注いできました??何なに、スゴイ気持ち良いじゃん~見ると山肌から霧が迫ってきました。

 本当はもうここ、石丸峠の分岐です。ここからは、美しい山肌と大展望が開けて、爽快な場所のはずなのですが・・・。もしかして下界が温まり過ぎて、水蒸気が霧になったのでしょうか?良くわからないのですが、ものすごく細かくて冷たい天然のミストに包まれました。

 しかしこれ、めちゃくちゃ気持ちが良くて、思わず、もっとたくさん浴びたくて、走ってしまいます。ミストの中へ。とにかく、本当に気持ちが良くて、気分爽快、たまりません。

 画像で見ると、また道失い?なんて思われちゃうかもしれませんが、全然大丈夫。何しろとってもわかりやすい登山道。稜線歩きです。霧も山肌に沿ってスピーディーに流れるので、晴れ間も見え隠れです。
 ただ、石丸峠からの大展望には恵まれませんでしたが、ここから熊沢山へ笹原を進みます。

 この後、サクッと森をすり抜ける感じで熊沢山を通り過ぎると、大菩薩峠、介山荘に到着。売店も食堂もトイレもあって、色んなルートから到着した登山者で賑わっていました。

 ここはまだ標高1,897m、大菩薩嶺の頂上は2,057mなので、もうちょこっと登らなければなりませんが、ここからは、なだらかな稜線歩きです。天然のミストは気持ち良いけれど、介山荘を振りかえってみると、もうガスの中。

もう少しガスっていないと、大菩薩嶺の醍醐味の大展望が楽しめたはずなのですが、ちょっぴり残念ですが、稜線歩きは楽チンで楽しいです。

 ここ、賽の河原という場所です。ケルンというか、賽の河原の石積み・・・。

 そして、雷岩に到着。ここで、お昼ご飯。登山開始から約2時間ちょっとです。

 そして、今回も、「う~ん、俺の空は晴れている~!なのに富士山が見えぬとは、残念!」by夫。

 いえいえ、富士山は見えずとも、なんとも素晴らしい眺めではないか!

 ほら!ゔ、う〜ん、ちょっとガスってますが、でも広々爽快^_^

 大菩薩嶺山頂はここからすぐですが、展望がないので、サクッと往復してみました。がしかし、ここで思わぬことに巻き込まれ・・。実はなぜか私たち、色んな人に良く話かけられます(^^;この山は、シニアのハイカーさんのグループがとても多く、なんと夫、素敵な山ガールの団体さんとすれ違いざまに、記念写真係にとスカウトされてしまい、しばしカメラマンとして働くことになってしまいました(^^; で、小働きを大変喜んで頂いて有意義な登頂になりました。

 下山は、上日川峠に降りますが、ここは本当に整備が行き届き、とても歩きやすい登山道です。なるほど、こちらからの登山者が多いわけですね。でも、上日川峠から登ってこられた方は大菩薩峠から上日川峠に下山されるので、ここの下山ルートもとても空いていて快適です。

 帰りも勿論、マイナスイオンをたっぷり浴びて、小1時間で下山完了です。

 今回は雪山と違って、森林浴はもちろん可憐な花々が出迎えてくれました。山で出会ったお花たち。
 左上)ツルキンバイ、右上)サンリンソウ、左中)フィリフモトスミレ、右中)ミツバツツジ、左下)エゾタンポポ、右下)お花に誘われてアカタテハ。今の季節に稜線には白い可憐なお花サンリンソウが咲き乱れ、清々しい初夏の大菩薩嶺でした。

 上でサンドイッチを食べたというのに、上日川峠のバス待ちにロッヂ長兵衛にて、ビールと天ぷらそばを頂きました。山菜の天ぷらはとても美味しくて、気持ちの良い山行はストレス解消には効果テキメンですが、ダイエットにはならずという教訓も残しつつ・・・(^^; 可愛いお供、無事カエルちゃんもご満悦にて、今回の山行、終了でございます。

 もうすぐ雨の季節がやってまいります。緑の森はまた趣をかえて素敵なシーズンに突入ですね。ここ大菩薩嶺は、都内からも十分に日帰りのできる、しかも翌日の筋肉痛もフリーで、素晴らしい森林浴スポットです。

 きっと紅葉のシーズンもどんなにか美しいことと思います。