今年は長引いた梅雨のおかげで、急に来た夏の高温はこの身を預けるには厳しすぎて、涼を求める気持ちがひとしおの毎日です。
この時期、涼を求めるのならば、天空の楽園か、はたまた列島脱出か?なんてことを考えねばならぬわけですが、まさかそんなこと気軽にできるわけもなく、我が家では雨に打たれ悶々とした7月を過ごしたせいで、ウルトラCの妙案を思いついてしまいました。
酷暑の中の山登りとなりましたが、しかし、それが意外なことに、こんなところで、こんなふうに「涼」を頂けるなんて、都心からほど近い気軽な山の中で、意外なことに身も心も涼んでまいりました。
8月4日の日曜日、都心では猛暑となったこの日、向かいましたのは飯能市と奥多摩町にまたがる標高969mの山「棒の折山」。天空の楽園ではないのにどうやって涼をとることができるのか!?それがそれが「沢を歩く」というウルトラCがあったのでした!
マイカーなら都心から1時間半、電車では西武線飯能駅からバスで45分。ほほぉ~近い(*^^*) やっと☀マークの日曜日、朝8時半、登山口のある日帰り温泉「さわらびの湯」隣の駐車場へとピットイン。
とにかく都心では暑すぎてどうにかなりそう、でも飯能だって暑いでしょ?と思うのですが、これが素晴らしいことに沢ってこんなに涼しいのだ!なので、周回コースをとらずに、沢歩きでピストンいたしました。
しかも、ずぅ~と森の中、モリモリに茂った深緑の草木は暑い日差しを遮ってくれて、緑の森の沢での贅沢な一日のはじまりはじまり(*^^)v
有間ダムを回り込んで「白谷橋登山口」より、ヒンヤリ快適登山に期待が膨らみます。うふふっと気が急いて、今回もハリキッテLet’s Go!
あっ、あの小さな小鳥のポストは登山届け提出箱です。ちゃんと届けを出さなくちゃ!
知る人ぞ知る涼風登山、初級コースでもあり、たくさんの人が登っていました。なんてったって森の中。いきなりの急坂ではさすがに汗がタラタラですが、とはいえすでに涼しい。
道は良く整備されていて歩きやすいです。しかし、沢はまだ?登り始めて15分もすると目の中にも汗が入って来て、早く沢で顔を冷やしたいです。
もし木の葉が居てくれなかったら、私たちは真っ黒に焦げ上がってしまっていたでしょう。何層にも枝葉を拡げた木の間からは、ギラギラの夏の太陽もニッコリ優しく感じます。
登山口から20分ほどで、着きました!サラサラと気持ち良い音を立てる沢の水。これからしばらくずっと、この沢を歩いて行くのです。
ちゃぷちゃぷ歩きます。
適度な水流と水量のあるこの沢が、緑のドームの中をヒンヤリ冷やしてくれて、信じられないかもしれませんが、本当に涼しいです。
水の音と小鳥のさえずり、いやもう、夏の間はここに住まわせて欲しいものです。が、森の精は許してくれるだろうか?なんて(^^;)
ただ登山なので、ひたすら登り坂ではありますが、沢音が汗ばむ気持ちも癒してくれて、何度も何度も休憩したくなります。
沢を渡り、水でタオルを濡らしてみたり、腕をお水に浸してみたり、お顔もひんやり冷やしてみたり、ゆっくりゆっくりまいりましょう。濡れているので足元だけ注意♪
岩にこびりついた緑の苔がフワフワした絨毯のように見えたりして、とにかく緑と水の別世界です。
岩壁が迫って狭くなった場所(ゴルジュ帯)天然クーラーの中のようです。
時々足元注意ですが、足首まで水の中に入ったってへっちゃらです。だってとにかくヒンヤリ気持ちが良くてたまりません。
難所らしい難所はありませんが、ここだけちょっと要注意かな、しかしハイライトシーンでもある鎖場です。
もし難があるとすると・・・お尻が重いことでしょうか(^^; それさえなければ二本足で歩けたかもしれません(-_-;)
流れる水はおかまいなしに勢いをつけて、空気も風も冷やしてくれているわけなのに、すみません踏みつけて(^^;
ちゃんと石の階段になっており、普通に上がれますが、一応、大事をとって四つ足で(^^;
足も岩も濡れているので、ロープに頼って危険回避。こんなアトラクションも涼しい森の中ではちょっとワクワクします。
ちゃぷちゃぷ、ちゃぷちゃぷ、気持ちよく沢登りは続く。
長らく沢遊びをした後は、山頂を目指して森の登山。
途中「岩茸石」という大きな岩のある分岐では、涼しい風が通り抜けます。なるほど、やっぱりこの山は水だけじゃなくて風も心地よいのだと知り、ちょっとまた休憩。
頂上までのラストスパートは、丸太の階段をせっせと上がります。いつも思うのですが、こうやって登山道を整備して下さる方々には頭が下がります。
そして、風の子が渡り歩く木根の道。
あちこちに表示の立て札があり、道迷いがないのも嬉しいです。もうすぐ頂上!
木々がさぁ~と道を開けて、花道を作ってくれました。青空がのぞいて、頂上へようこそ!
棒の折山969m山頂到着です(*^^*) 着いた~❣
いつものヘッポコ相棒とのんびりブラブラお昼ご飯。
1000m登ると気温は6度下がると言われています。なのでこの日の山頂の気温は28度。食後はお昼寝するにちょうど良い、木陰の山頂です。
棒の折山山頂のこの大きな立派な木は、桜の木。春には大勢の人がここでお花見をするのです。今は深緑。
涼しい~と言っても、真夏の登山は汗だくです。ひと風呂浴びたような爽快感(^^;
山頂からの眺望も晴れやかで、山並みの続く広大な景色、青空と緑のコントラスト、白い雲も楽しかろう♪
山頂では11時頃でした。暑くなりきってしまう前にもう一度沢まで下りたいと思い、木根の道を下山開始。
すると、行きでは気づかなかった赤いキノコを発見しました。あなた誰?
この子は毒キノコに違いないと思いきや、「タマゴダケ」という名前、意外にも美味しいキノコなのだそうです。初対面!
そして、やっぱり沢。
名残惜しくて、ここで腰をおろしてペットボトルのお水を冷やしたりして、の~んびり過ごしました。
頭上を仰ぐと、苔に覆われた岩と背の高い屋根は深緑。マイナスイオンに覆われた森の中なのです。
ひゃ~気持ちいい。勢いよく音を立てて流れる沢の水。
こんなところを歩かせてくれる山に、森に、水に、心から感謝です。
弾ける水。山から湧き出るこの水は、あちこちから集まってこんなに豊かな水源となり、森の木々も動物たちも、そして私たちも、こうして元気に生かされているのですね。
勢いよく流れる水を何度も手にすくいました。掌の中で踊る清き水、身近に水があることを、こんなにもありがたいと思ったことはないかもしれないほど。
岩肌を見つめておりましたら、小さなお花を見つけました。
岩肌にイワタバコ。こんな歌がありまして
「山ぢさ(イワタバコ)の白露しげみうらぶるる 心も深くわが恋やまず(柿本人麻呂)」
そっか、こんな山の中でも、恋やまず。なんだか別れがたい花でした。
毎日コンクリートの中の酷暑で今にも干上がりそうなヘナチョコなわが身を、こんな中に連れてこられたことが、何だかちょっぴり嬉しくて、小さな充実感に満たされました。
沢の水はダムの水源となり、有間ダムは豊かな水を貯えていました。あの森の中に居たんだね、とシミジミと眺めながら、今日は一日ありがとう。
会うことはできなかったけれど、たぶんきっと住んでいるに違いない、森の精にも、いつかまたお会いできるのを楽しみにしていたいと思います。
帰りはここ「さわらびの湯」にて汗を流して、のんびりと帰路につきました。
遠出は出来なくても、近くにはこんな素敵な山があり、緑があり、水があり、この世界はコンクリートでできているわけではないのです。
たまにはこうして自然に身を任せ、身も心も労わって生きていきたいね、な~んて、毎度そう語り合いながら山を後にするのですが、なぜだかすぐに現実に戻り、冷や汗にまみれる日々が始まります。
それでもまた懲りもせず、揃わぬ足並みをぎこちなく揃えつつ、天と地の恵を頂きに、ヘッポコなりにゆっくりと歩いてまいりたいなと思います。