夏休みの山歩[横手山頂ヒュッテ~志賀高原~万座温泉]

新緑と夏山

山ノボラーな我が家は、いつもの夏なら高山登山に出掛けるところなのですが、私の腰の調子が悪くて、長時間かけて上へと登ることができそうになく😢。でも、それでも、山の上へ行きたいよ。そこで色々思案した結果、そうだ、あそこはどうかしら。志賀高原「横手山」

群馬県と長野県の県境にある横手山は標高2305m。けれどスキーリゾートでもある志賀高原は、道路もリフトも充実しており、横手山頂にあるヒュッテ雲上のパン屋さんとしても人気の宿(宿泊できることがあまり知られていないようですが宿であります)。しかも一歩も登らなくても到達できる!これまでは候補に上がることなんてなかった。けれど、現状では、ここが最善の場所に違いない。

そこで、この夏は「横手山頂ヒュッテ」に泊まって、翌日は志賀高原ハイキングコース「池めぐり」を楽しみ、おまけに膝腰養生のため秘湯「万座温泉」で温まる。という2泊3日を過ごしました!

志賀高原は長野県の北部、群馬県との県境にあり、万座温泉は群馬県嬬恋村です。位置関係はこんな感じ(グリーンラインをハイキング)。ただ東京からはとっても遠い。だけど、夏休みだし。マイカーにて6-7時間をかけてゆるゆると行ってきました。

横手山頂ヒュッテ 夕日ディナー

というわけで、朝9時に都内の自宅を出発。関越道の渋滞をくぐりぬけ、SAでの休憩を挟みつつ、上信越道の横川ICで降りて軽井沢を抜けて嬬恋から万座温泉を通り抜け、群馬と長野の県境にある渋峠を越えて、横手山頂ヒュッテ到着は午後4時。

山頂ヒュッテは、とはいえ山小屋なのだろうと思っていましたが、それが!良く知る山小屋と大違い、お風呂がある。それに個室ツインベッドルーム!昼間はリフトや車で上がってきた人にカフェ営業やパンの販売もしています。しかもパンはここで手作り。日本一標高の高いパン屋さんで有名です。けれど午後4時~翌朝9時までは宿泊した人だけの至福の時間。

実は到着した時刻には雨が降り外は真っ白で、ヒュッテの方の話では雷も鳴っていたとのことでした。日没時刻になり、夕日は無理だな~と思っていたところ、沈んだであろう太陽が空を押し上げて、いつの間にか雲は茜色。ここは標高2300m!マジックアワーの始まりです。

太陽の姿は見えないけれど、雲海の上の空にはオレンジ色の筋ができています。笠ヶ岳が雲の上に円錐形の頂をのぞかせていて、まるで雲の中からせり上がる神秘の世界みたい。

宿泊者用のレストランは窓が大きくて、こんな景色を見ながら夕食タイムなのです。

まずはカリッと焼かれた野沢菜のピザパン。パンナイフと一緒に出されるので、切り分けながら食べます。とっても美味しい。

そして、サラダやお惣菜の小鉢と、名物「きのこスープのポットパン包み」に鳥もも肉のロースト。お酒は数種類の「志賀高原ビール」を選ぶことができて、私たちは「ペールエール」というのを頼みました。その後もちろん赤ワインも🍷。なんだかスイスの山小屋のような、ほっこりとした気分を味わいつつ、香ばしくて美味しいパンにお料理を堪能。デザートにはスイカを頂きました。

ほろ酔いになった頃、雲に沈んだ太陽の光は燃える様に赤くなり、波打つ雲海の水平線を眩い光で染め上げていきます。

みるみるうちに、もっともっとと染まる空。赤に金色を混ぜるとこんな色になるのではないかと思う。

やがて、闇が世界を飲み込もうとするのに、水平線を燃やす光は最後まで残り続けてくれました。

残念ながら太陽が沈んだ空は、また厚い雲に覆われて星空は見ることができませんでしたが、夕日の残照がいつまでも瞼に残る夜となり、明朝5時の朝日鑑賞のために早々に眠りにつきました。

横手山頂ヒュッテ 雲上の朝

早起きしてヒュッテの外に出ると、うわっ、昨夜は波しぶきを上げていた雲海は静かに漂って、水平線が染まり始めている。こんな色を曙色っていうのだよね、と眺めていると

雲の水平線が、ちりちり、ちりちりと燃え始め太陽が顔をのぞかせました。この瞬間を何度も目にしているのに、やっぱり今回も胸が熱くなる。

じわじわ、じわじわ、と姿を現す今日の太陽。

そしてその全貌が空に浮かび、雲海の表面はほっこりと温められているみたい、なんとも幸せで嬉しそうな色に染まる。

ヒュッテの前の広場に咲く高原の草花も、少しずつ目覚めていくみたいです。

昨夜夕日の沈んだ西の空には、清々しい雲海が広がっていました。

ここまではリフトで上がってこられます。でも、リフトの営業は午前9時ごろから。

早朝の空色を映す、たっぷりの雲海にうっとり💗。

朝ごはんは、焼き立てのクロワッサンと山型パン。サクサクもっちりとした美味しいパンにスクランブルエッグとサラダとソーセージ、そしてヨーグルトにコーヒー。充分に満ち足りた幸せな朝食でありました。今日はこれから、志賀高原に下りてハイキングを楽しみます!

◆横手山頂ヒュッテは、ツインベッドルームと和室があり、私たちはベッドのお部屋に泊まりました。室内にトイレも洗面所もありTVもあります。手ぬぐいタオルも常備されていますが歯ブラシセットはありません。お風呂にはリンスインシャンプーとボディーシャンプーがあって、ドライヤーは貸し出してくれます。歯ブラシセットさえ持参すればその他は普通の宿と変わらない。一般的な山小屋を想像すると、それは全然違う、とても過ごしやすい心地よい宿でありました。とにかく景色も食事も最高!

志賀高原ハイキング「池めぐり①」ひんやり涼しい湿原歩き

さて志賀高原。

志賀高原は国立公園、そしてユネスコエコパークにも指定されています。広大なエリアの中で選んだのは、志賀高原を代表するトレッキングコース(森林セラピー認定コース)である「池めぐりコース」です。標高1800~1600mの高原歩き&森林浴&池めぐりは、とっても涼しく、のんびり歩けて、膝腰にも優しい!嬉しいコースでした。

◆総距離:約10㎞/標高差360m(前山→大沼池の順路では下りのみ)

◆所要時間:通常タイム3時間半ですが休憩その他で約5時間

横手山頂から渋峠を越えて「ほたる温泉」駐車場まで車で下山。そして「前山リフト」という可愛いリフトに乗って標高1796mの前山湿原からトレッキングスタートです。

清々しい青空、豊かな湿原、整備の行き届いた道、腰にはしっかりサポーターを巻いて、ゆっくりと歩き始めました。

歩き始めて5分で「渋池」到着。

浮島が浮かぶ池。絵本の景色のような愛らしい池です。この浮島、少しずつ動くのだそう。

渋池を通り過ぎると、まさに森林浴なセラピーロードが始まります。

森の中をぶらぶらと2-30分歩くと「四十八池湿原」が見えてきました。

ここは四十八もの池のある湿原だそうですが、実際は六十ほどの池塘があるそう。

開けた湿原の中、木道を歩く。

両脇には何やら可愛らしい湿原植物が咲いています。

空は青く、湿原は夏の緑を茂らせて、汗をかくこともない広々とした場所。

のんびり歩いて湿原が終わると志賀山神社の鳥居がありました。この先は志賀山へと登る分岐ですが、今回は一礼して通り過ぎました。

志賀高原ハイキング「池めぐり②」コバルトブルーな大沼池

四十八池湿原からしばらく森の中を歩きます。森の中はひんやりとして、日焼け知らずの道でした。ほどなくすると、あっ!何だろう!!眼下にコバルトブルーの池が見えてきました。

あれが大沼池。志賀高原を代表する美しい池です。

随分と下に池があるということは、そこまで下りて行くということなのか。その通り、この先は長い階段の道が続きます。けれど歩幅にあった歩きやすい道。とにかくゆっくり進みます。

随分と下って来たようで、木々の間からブルーの湖面が見え隠れ。

すると、池へと下りることができる分岐がありました。この先に赤い鳥居がある。

大沼池には「大蛇と黒姫」の伝説があるそうです。それはどうやら悲恋の物語。思いの叶わぬ二人でありましたが、大蛇はその後もずっと志賀高原の守り神です。

ようやく池の畔に辿り着きました。ここにはレストハウスがありましたが現在は営業していない様子。でもトイレは使用可能です。

池の畔にはベンチがたくさんありますので、お昼ご飯にしました。大沼池は弱酸性で魚は住んでいないようです。近くの赤石山から流れる赤石沢に硫酸イオンを含む強酸性の鉱泉が湧き出しているからだそうで、そのおかげでコバルトブルーの美しい色になるのだとか。

たっぷり休憩した後は、大沼池の周りを巡って池尻という池の端っこを目指します。

途中にはこんなに美しく池の望めるポイントもあり、太陽が照るとますます色合いが濃くなります。

よぉく見ると、先ほどの鳥居が見えました。

そして、池尻に到着!おっ、おお~と声を上げてしまう、素晴らしいコバルトブルー、いやエメラルドブルーと呼ぶべきか。

大沼池は酸性ではあるものの(環境省の平成3年度の湖沼調査によれば)透明度は13.5mと長野県でトップなのだそうです。

足元を見ると、本当に透明。森も空も雲もくっきりと湖面に浮かんでいます。

先ほどのレストハウスの場所よりも、断然こちらの方が美しく感じました。ベンチもあり、またしても休憩。

真正面に鳥居が見えます。泳いで行きたい気分になりますが、ダメダメ!大蛇の怒りを買ってしまうに違いない。しかも体がコバルトブルーに染まってしまいそうですから。

とりあえず、居合わせた方に記念撮影をして頂きました。ありがとうございます。

ここからは、とても歩きやすい林道を進み、ゴールの「大沼池入口(清水口)」を目指します。

実は、ハイキングマップでは、この道沿いで「アサギマダラ」という渡りの蝶に会える場所があると記されていました。でもな、まさか会えないだろうと思っていましたが、実は会えたのです。

アサギマダラは春から夏に北東へ移動し、秋から冬に南西へと移動する渡りの蝶。鳥でもないのに1000キロ近くの長距離を移動するというとても珍しい蝶で、しかも美しい蝶です。アゲハ蝶ぐらいの大きさですが、羽根の黒い輪郭模様の中に白っぽい浅葱色が美しく(だからアサギマダラ)、パタパタと忙しく羽根を動かさず優雅に風に乗っかるように飛びます。

出会いが突然すぎて写真に収めることができませんでしたが、この花ヨツバヒヨドリの蜜を好むらしく。出会った場所に、ちゃんと咲いていたヨツバヒヨドリ。アサギマダラはどこへ行ったのかな…

名残惜しいのでありますが、帰りのバスの時刻も迫っており、先へと足を進めました。

ゴールの清水口からはバスに乗って「山の駅」経由で「ほたる温泉」の駐車場にマイカーを迎えにまいりました。

秘湯「万座温泉」

ハイキングを終えてこの日は万座温泉に宿泊しました。志賀高原から万座へ向かうには、横手山の「渋峠」を越えて長野県側から群馬県嬬恋村へと下りて行きます。その途中、日本国道最高地点を通過しました。

最高地点から見える景色。右前方、山肌に木々がなく岩が露わになっている場所が万座温泉。

20分ほどで万座温泉街へ到着です。お盆前の週末でしたが、どこも満室で、なんとか予約できたのはここ「万座亭」。温泉はとても心地よく、三度も入らせて頂きました。万座は、強い酸性の硫黄泉が中心で、日本有数の高濃度硫黄泉なのだそうです。かといって、ピリピリする感じはありません。

お料理は素朴で優しい味わい。

実は少し前にテレビで、万座温泉が「温泉総選挙、秘湯名湯部門」で一位になったという情報を知り、今回初めて訪ねてみたのです。

夜は満点の星空☆なのですが、温泉宿の灯が明るすぎて、天の川は微かに認知できる程度でありましたが、それでも星空は美しい。もう一度お風呂に浸かり、お部屋で晩酌をしながら、ハイキングの疲れを癒しました。

翌朝は周辺の散歩を楽しみました。万座温泉にはそぞろ歩ける温泉街はありませんが、散策を楽しむことができます。

宿の近くには湯畑がありました。硫黄の匂いが立ち込めていて、それだけでもう何かしら体に良さそう。

この川は酸性の川だそうです。白根山から流れ出す川。酸性が強くてやはり魚は住めないのだそう。

熊四郎山遊歩道という散策路があり、見晴らし台に登ると万座の町が望めるということで歩いてみました。

途中の岩場には熊四郎岩窟という岩窟があり、大蛇に襲われた狩人を助けたという熊と白という犬がお祀りされているのだとか。

上からみた湯畑

上までしっかりと階段が作られているので、よいしょと登る。たぶん標高差100mぐらい。

上まで登ると、風穴がありました。

おお~。

ここは「牛池」。ここも酸性の池だそうで、透明度も抜群でした。

帰り道には、岩場から水蒸気を含んだ火山性ガスが勢いよく吹き出す「空吹」を眺めました。なるほど万座、荒々しい岩場に囲まれた、まさに秘湯なのだな、と納得したのです。

万座温泉にゆるりと浸かり、膝や腰に効き目があったのかどうか…たぶん、それにはもう少し連泊が必要なようで💦

この後、長い道のりを東京へと帰路につきました。

とその前に。。。

高原の花たち

高原で出会ったお花たち。ほんの一部ですが…(名前が間違っていたらごめんなさい)

横手山山頂で朝日に照らされていた「べニイタドリ

池めぐりの最中、足元に「アキノキリンソウ」

ドライフラワーにすると大変に可愛い「ヤマハハコ」

涼やかな佇まいが魅力的だったキキョウ科の花「ソバナ」

湿原にそっと咲いていた「イワショウブ」

大沼池の池尻では足元にいっぱい咲いていた「ウツボグサ」

万座温泉を出発し、嬬恋村を抜けると浅間山がデンと見える場所がありました。間もなく雨がやって来る。急いで軽井沢を通り越し、横川SAで「峠の釜めし」を購入し、東京へと戻りました。

今年の夏の「山と高原」は、とにかく“のんびり”と過ごそうを目指してみましたが、割と歩いてしまったのか、帰ってからは筋肉痛。けれど、歩けた!と思うとちょっと嬉しい。

だんだんと膝や腰に痛み抱えるお年頃になり、そんな我が家でありますが、これからもゆる山歩きを目指して、また次の素敵な場所を見つけてまいりたいと思います。

お盆は天候不順が続きました。どうかご無事で、ご自愛くださいますように。