はるかな尾瀬 遠い空 ♬(天上の楽園「アヤメ平」)

渓谷と夏山

 “天上の楽園「アヤメ平」その時そこには多分あなたしか居ません”
 魅力的なコピーを発見して、関東地方梅雨入りとなった6月最初の日曜日、出かけてまいりました。

 近ごろ、ヘッポコカメラマンの写真撮影枚数が無駄に増え、さらに歩く距離も長くなって、この山レポ長くなりがちですが、私たちは誠にヘッポコで、できるだけ楽ちんに、できるだけ楽しく、基本日帰りで、サクッと歩ける場所を選んで出かけておりますので、もしご参考になれば嬉しいです。

 今回は、尾瀬♪♪
 そうそう、水芭蕉に会いに、尾瀬!
 でも、2度目の尾瀬ということもあり、今回はうんと人が少ないレアコースを選択しました。

 「鳩待峠」(標高1591)~「アヤメ平」(1969)~「富士見峠」~「八木沢道」~「見晴」(1410)~「尾瀬ヶ原」~「山ノ鼻」~「鳩待峠」(1591)に戻るコース、反時計回りにぐるりと約20キロちょっと、標準タイム約8時間を、訳あって、休憩ご飯タイム込み約7時間で一周いたしました!(「山と高原地図~尾瀬」より)

 このところずっと忙しかったり体調が思わしくなかったりしていたのですが、そういう時は行かねば!なのに前夜に足の小指をぶつけて腫れ上がり、痛い(;_;)歩けるかな?でも尾瀬だしね、心配を勇気に変えて頑張って早起きしたら、やはり調子が悪く、サービスエリアでトイレに駆け込んだりしていたために、スタート時間が遅延。しかし、帰りのバスの最終便は17:10と終了時刻を決められており、なので、使える時間は7時間しかありませんで、でも・・・きっと行けるよ、もし遅刻しちゃったら小屋で相談しよう、相変わらず根拠のない甘い読みで、今回もレッツゴー♪

 あっ、そうそう、尾瀬はマイカー規制があり鳩待峠まではマイカーは入れないので、戸倉というところの駐車場にとめてそこから連絡バスで約35分ぐらいで鳩待峠です。前回は東京から電車とバスで行きました。渋滞さえなければ車の方が早くて便利な気がしますが、都内から電車バスでも十分に日帰り可能です。

 さて、調子悪いわりには現地に到着すると不思議なぐらい元気復活で、今回もハリキッテLet’s go!!
 鳩待峠は尾瀬ヶ原に向かう老若男女で大賑わいでしたが、私たちは「アヤメ平」を目指して、人っこ一人いない静かな登山口からスタートです。本当にびっくりするほど、誰もいない!

 なので、急坂・ぬかるみ、クマ笹に覆われた所も多く、ちょっと真面目に登山になってますけど、それもそのはず、約400mの標高差を登るんでした。でも、ここは尾瀬!しばらく歩くとちゃんと木道が整備されています。木道で・・登る(^_^;)新緑が深緑に移りゆく頃、日焼けの心配もない清々しい登山道です。

 小一時間も歩くと、視界が開けてきました。ここは「横田代」。おぉ~っ、やっぱ尾瀬だよね♪♪

 ここでやっと人に出会い、そして、この日初めての水芭蕉です。
 まさに、水芭蕉の花、♬ 夢見て咲いている水のほとり♬ です。

 体調不良は一気に吹き飛んで、足の小指は痛いけど、走りたくなって叫びたくなりました。うわぁ~(^O^)

 みんなが歩く「尾瀬ヶ原」の木道もとっても素敵ですが、ここは標高が高いということもあり、清々しさは半端ないです。天上の楽園「アヤメ平」への期待も膨らみます。あれ、地平線!?

 これを登り切ると、楽園「アヤメ平」です。
 実は「アヤメ平」はかつて高度成長期の登山ブームの頃、心無いハイカーたちに踏みつけにされて荒廃がすすみ、現在は湿原の再生が試みられています。山歩きは楽しいけど、ちゃんと自然の生態に敬意を払い、素晴らしい環境に身を置かせて頂けることに感謝して、マナーを守って歩かねばいけませんね!

 で、ここが天上の楽園「アヤメ平」。

 空に浮かぶように見える山は、尾瀬の百名山「燧ヶ岳(ひうちがたけ)」です。
 本当に、空に浮かんでいる島にたどり着いたような錯覚を覚えます。しかも・・・ホントに人が居ない。360度のパノラマが広がり、ここに居るのはヘッポコ二人組みのみ!

 ♬ はるかな尾瀬 遠い空 ♬

 燧ヶ岳にズーム。次回はあそこに登って、天空から尾瀬の湿原を眺めてみたいな、それはまた今度。

 ということで、私たちしかいない楽園に大満足で、おかげ様で体調も完全復活となりました。イエイ(*^^)v

 もっとゆっくりしたいのですが、タイトな時間割のため、急いで次の分岐点「富士見峠」へと下ります。

 途中の山肌があまりに美しい緑のグラデーションで、これもまた猛烈に気持ちの良い景色でした。

 こんな色彩の帯ってありかな(^-^)

 富士見峠の手前の「富士見田代」、足元に、水芭蕉の白い花。

 実はこのあと気づくことになるのですが、今年は暖冬で5月も暑くて、尾瀬ヶ原の水芭蕉の見頃は5月中旬だったとのこと。このあと行く尾瀬ヶ原の水芭蕉は殆ど終わりになっていましたので、今回は偶然にも標高の高いこのコースを選んで、水芭蕉に出会えて本当に良かったです。

 さて、富士見峠から、尾瀬ヶ原のメイン通りへ出るため、「八木沢道」を通って「見晴」を目指します。しかし、この「八木沢道」につきましては、まったく想定外でした。何しろ今回は下準備不足、もうホント、尾瀬を侮ってはいけません。ジグザグのケモノ道のような登山道、しかも、しかも、真面目に誰も居ないのです。この道間違ってない!?大丈夫?500mも下山しなくてはならないため、結構な勾配の下りとなり軍手必須。

 間違ってません!とヘッポコガイドが自信満々に言うので、仕方なく先を急ぐわけですが、地図を見ると「見晴」まで2時間強もかかる(ーー;)昨夜ぶつけた足指が痛い、無理、でも行かねば、若干無口に…休むとバスに遅刻するからむしろ駆け足~って、えぇ~(>_<)ちょっとだけ撮影を言い訳に大木の下で休憩。

 そんなケモノ道を小一時間も歩くと、ようやく沢沿いの歩きやすい登山道へ。

 でも、クマ笹に埋もれたりもして。。もし本物のクマさんに会ったら何て挨拶すればいい?

 そして、もう、やぁ~っと、「見晴」到着です。遠かった。ふ~。でも、まさに、これぞ尾瀬!

 「見晴」には数件の山小屋があり、ここでおそいお昼ごはんを食べました。そして、早速にも尾瀬ヶ原ハイクのスタートです。尾瀬ヶ原は2度目の経験ですが、前回は雨のハイクとなりましたので、この素晴らしいお天気に感謝です。振り返れば、あそこが「見晴」、そびえるのは燧ヶ岳です。

 向かう「山ノ鼻」には尾瀬のもう一つの百名山「至仏山(しふつさん)」が座っています。あの山の麓を目指して快適な木道歩きの始まり!どこまでも広がる心地よい湿原の小道に遠い空は青々と美しく、元気を出して、さっ行くよ(*^^)v

 竜宮十字路を過ぎ下ノ大堀川から望む燧ヶ岳。


 尾瀬ヶ原にはたくさんのハイカーさんが歩いていますが、とにかく広い尾瀬には渋滞はありません。快適、快適です。

 水面に写る空は遠くて高くて、素晴らしいロケーションでした。

 至仏山が大きくなってきました。至仏山は花の山とも言われる素敵な山、ここも今度登ろうね!

 残念ながら尾瀬ヶ原では水芭蕉はもう終わってしまい群生地などを見ることは叶わなかったのですが、その代わり一足早く夏の花「ワタスゲ」が咲き乱れていました。

 意外にもとても可愛いワタスゲ。

 触れるとホワホワのワタスゲ。

 ほどなくてし、「山ノ鼻」に到着。予定時間よりも早めに到着できて、アイスなんかも食べちゃって、ここからは鳩待峠へ。水芭蕉の群生地では残念ながら葉っぱが生い茂り、お花は辛うじて一輪のみでしたが、早い夏のはじまり。

 さて、バス発車まであと30分、バス停までの登り階段駆け足!!
 そして、何とか最終バスの発車前に帰還でき、足の小指は腫れ上がってしまいましたが、尾瀬での長い一日が無事に終了となりました。

 それにしても、今回は、尾瀬の色んな表情を見ることができました。
 尾瀬といえば、広い広い湿原にどこまでも続く木道ですが、でも、そればかりではないのです。尾瀬はうんと広いのです。標高差500mの高原は、山道あり、天上の楽園あり、ケモノ道あり、沢沿いの道あり、盛りだくさんに楽しむことができました。

 尾瀬ハイクはご経験のある方も多くいらっしゃることと思いますが、もし機会がありましたら、天上の楽園「アヤメ平」も本当におすすめです。ぐるりと周回しなくても、鳩待峠からのピストンや、尾瀬沼への縦走も可能かと思いますので、時間と体力にあわせて、色んなルート計画が立てられるのも魅力です。

 またまた、おまけに恐縮ですが、まだまだ未熟なヘナチョコカメラマン&ヘッポコガイドの山友です。睡眠時間4時間でも眠くない、尾瀬はスゴイな!って平凡な感想を申しております(^^;)

 梅雨入り前、わが家では、ひと足早い「夏の思い出」づくりとなりました。

 とはいえ、夏はまだまだこれからでございます。
 このところ、疲れが溜まり過ぎの店主でしたが、美味しい空気も、お空のパワーも満タンに充電してまいりました。また元気にお店番をしておりますので、ぜひ皆さまにお会いできますのを楽しみにお待ちしております。