氷上散歩へ赤城山(長七郎~地蔵岳)

白銀の山

コロナがジワリと日本列島を蝕み始め心配なニュースのあふれる日々です。何となく気持ちが疲れてきた定休日、気分転換ということで、やっぱり山へと向かいました。

ドンヨリ気分を払拭すべく都会を飛び出して青と白の世界へと逃避行!!

今回の目的は登山よりも「湖の上を歩く」❣

ここは群馬県赤城山にあるカルデラ湖「小沼(この)」です。なんと冬季はカチカチに凍る湖の上を恐る恐る歩けるのです。

今度どこへ行く?と何気なく山雑誌を開いたら凍った湖の写真がありました。眺めているうちにムムムっ歩きたい。どうしても行きたくなりました。

赤城山は噴火でできたカルデラ湖「大沼(おの)」を囲んでいくつもの峰々が連なる山岳で、昨年の秋にはその中の黒檜山~駒ケ岳を紅葉登山しました。「小沼」は火口湖で山の中腹にあります。

昨秋の私は駒ケ岳から小沼を見つめておりました。鏡のように見える小さな湖が小沼です。小沼の左側が「長七郎山」右側の電波塔が建つのが「地蔵岳」。今回は、画像左から右へ、長七郎山~小沼~地蔵岳~大沼へ降りる空中散歩を楽しんでまいりました。

昨秋の紅葉登山レポ「錦織りなす赤城山」⇒こちら

前橋駅から直通バスが出ており小一時間で赤城ビジターセンターに到着します。雪道のハイキングですが、都心から日帰り簡単で初心者さんにも安心な雪山であり、またこの時期の大沼では凍った湖で「わかさぎ釣り」が楽しめる観光名所となり、この日も多くの人が訪れていました。

でも相変わらず私たちは山の中へとまいります。何しろ大沼は自家用車で行くことができますが小沼はシーンと静まる山の中!

ビジターセンター~鳥居峠~長七郎山~小沼~地蔵岳~大沼~ビジターセンターぐるりと休憩込みで約5時間半の雪上ハイク、今回もハリキッテLet ‘s go‼

出発地点の鳥居峠は標高すでに1197m、最初に目指す長七郎山は標高1579m、ということはたったの380mです。

夫婦で登山が趣味なんです!なんて言いながら私たちヘッポコは試練と危険が苦手です(^^;)どうしたらラクできるかばかり考えています。とにかく楽しく絶景に辿り着きたい。いつものことながらその欲望を満たしてくれる山選びがモットーです。なので今回の雪上ハイクはココ!

装備は「軽アイゼン」を使いました。今年は雪が少なくてアイスバーンな箇所もありアイゼンが安心でした。たったの380mなんだから、楽しみながら参りましょう!

雪山が好きです。

瑞々しい緑の季節も美しい紅葉の季節も好きではありますが、白銀の季節は圧倒的に人が少ないです。そして膝の悪い私にとって雪はありがたいクッションになってくれますし、何よりも何よりも、この真っ白に覆われた景色に心がひんやりと癒されます。

お砂糖みたい。うひょっ!(^^)!

ほどなくして木々の間から小沼が見えました!あっ人が歩いてる!!早く歩きたいよ~❣ あの氷上に行くためには長七郎山を越えて行かねばならぬわけで、もう少し雪上を楽しみましょう。

春が早いようです。例年は雪深い赤城山の木々も春の芽吹きが始まっていました。

尾根道の雪はシャーベット状になり始めていましたが、気持ちよくシャリシャリ。

サクッと登頂。長七郎山到着です。

この日のお天気はピカピカの青空で、青と白のコントラストの中に春がムクムク顔を出す。巡る季節を肌で感じられるのは山歩きの醍醐味です。

頂上から見える街は春霞の中。雪上を春風が渡っていきました。

雲一つない。青空~。あっしまった、これたぶん日焼けしますね(^^;)

小沼は標高1470mの場所にあります。長七郎山から100mほどスルスルっと駆け降りると、今回どうしても来たかった場所、湖畔到着です。

どれどれ、うわぉ♪凍ってる!湖って本当に凍るんだね~!胸が高鳴り感動しきり。

湖面に立ちました。そうそう、こんなことしている写真を見て一目散にここへと来てしまったのです。だって、しつこいですが、湖が凍るんですよ!

湖面はうっすらと雪に覆われていますが、足跡をこすると氷だ。この氷どのくらいの厚みがあるのでしょう。10㎝ぐらいかな。。。

とにかく、今回の目的!ただ今より氷上を横断、しますっ(^.^)ゝ

とその前に、目的地到着の感動を味わうために湖畔でランチにいたしました。氷を溶かしてはならぬのでバーナーは使用せず持参したパンにサーモスに入れた熱々のお茶。

なんか南極に来たみたいだよね~って言うノー天気なヘッポコ相棒に、え~そうかなぁペンギンいないけど。実は私ネもし海外旅行に行けるなら最も行きたい場所は「南極」。そう進言したところ、しばしの沈黙。。。

では南極探検のレッスン1ということで、氷上を歩く練習、スタートです。

すると足元が何となくグラッとしたような・・・これ、溶け始めてるってことないよね?

ちょっとあんまし近づかないでよ!一か所に二人分の重みがかかると万一バリって割れるといけないしっ。とヘッポコに注意したところ、えっそんなことで割れるの?と申すので、改めてビクビク。

もこもこ、なんだろう。これは自然の造形美!ですね。

行ったり。

来たり。

向こう岸に渡るよ~。

私たち、湖の上横断しちゃったね~。とニコニコ岸辺に近付く頃、ヘッポコが大声で「危ない」と叫ぶので、飛び跳ねてしまいました💦

割れてる割れてる。水が見えてる。ヤバいよヤバいよと大騒ぎ。

なるほど、ホントだ。でももう岸辺だからじゃないの?ビビり過ぎですよってバ。

なんやかんや騒ぎながら、ペンギン気分でついに上陸です。

そういえば、今季は南極でも最高気温20度を記録した日があったそうで・・・ここの氷も例年よりも溶けるのが早くなるかもしれません。

さて今度は、この凍った小沼を上空から眺めてみたい!そのためには、もう一つの山「地蔵岳(標高1674m)」を目指します。とはいえ標高差はたったの200m。ただ赤城山の山たちはちょっと勾配が急なように感じます。もう少しなだらかに登らせてくれるとありがたいのですが、がんばってせっせっと200m突破です。

これも自然の造形美。午後の日差しが木々を照らし、白いキャンパスに美しい姿を描いてくれていました。背景の青空がまた素晴らしいです。もし絵心があれば、こんな絵を描いてみたいものです。

先ほど歩いた長七郎山と小沼。見えました。真っ白に凍る神秘の湖。

地蔵岳山頂です。ここは電波中継基地のようです。

その名の通り、お地蔵信仰の山だそうで、お地蔵さんたちも鎮座していました。

地蔵岳からの眺望は素晴らしいです。紅葉シーズンに歩いた黒檜山に駒ケ岳、大きな湖は大沼です。

この日は祝日にもかかわらず、誰も居ない山頂でヘッポコと二人で座り込んで絶景堪能です。

夫婦で山登りを始めておよそ10年。すごい気持ちイイね。うん僕らっていい趣味だよな。なんて言いながら、自画自賛(^^;)

氷に浮かぶ赤城神社。ミニチュアのお社みたい。

おっ、ワカサギ釣りやってますね。色とりどりのテントもまた可愛いおもちゃのように見えました。

向こうに見える白銀の山並み。何度か訪ねて登った尾瀬の至仏山や燧ケ岳も見えます。でもまだ行ったことのない山ばかり。今度どこ行く?もっと空に近づきたいね。遠くに想いを馳せながら山頂二人じめです。

そろそろ降りてワカサギ釣りの見学にでも行きますか?なんて気楽な気分で下山道探しをしてみると、ない、どこ?どうやって大沼に降りるの?

するとヘッポコがこっちだよ、ほら。と坂道を指さすのですが、マジですか?めちゃくちゃ急な雪坂ではないですか(@_@。想定外すぎる!今までのラクチンハイクは何だったのやら。

こっちの斜面は昼間に陽が当たらないから雪が溶けてない!しかもすごい斜度。怖くて思わず座り込んでしまいました(´;ω;`)

座っちゃダメ!立つ時にバランス崩して滑落するよ!とたしなめられるのですが・・・(>_<) どうやらこの下山道は初心者には試練の道のようです。足跡のトレースは歩幅がでかく、きっと山男さんたちが駆け下りたのでしょう。

ヘッポコが小幅な足跡をつけてくれるというので、その足跡の上を踏みしめて降りることに。山ではたまにヘッポコが係の人のように見えてきます(^^;) まず立ち上がるのに数分を要した後、係の人の言いつけどおり、かかとに重心落として足跡を踏みしめることに。

まるで直滑降に大沼まで下りるような気分でした。それでも春の日差しが背中を押してくれまして、通常タイム少しオーバーで無事下山(^^;)

大沼に辿り着く頃には陽が傾き始めていました。地蔵岳から大沼を照らす西日。

赤城神社まで氷の上を進んでたどり着けそうに見えます。子供たちがソリにひかれて遊んでいました。今日のワカサギは不漁とのことでしたが、この後湖畔のお食事処でワカサギの天ぷらを頂きまして、今回の山旅も無事終了です(#^.^#)

この度も長々と勝手な山レポにお付き合い下さりありがとうございます。おかげ様で素晴らしいお天気に恵まれた休日、山の中はマスク要らずの美味しい空気に満ちていました。

下界では心配事が蔓延して気持ちの晴れぬ毎日ですが、山の中では着々と春の芽吹きが始まっています。山の命が育てた春風がふわりと麓へ下りて来る頃には、きっと、晴れ晴れとした日々が戻ってきていますように。

雲一つない空を見上げて、もしかして空がこんなに青いのは、青が希望の色だからかもしれないな。なんて思いました。