お花見ハイク(栃木県太平山周遊)

春風の花を散らすと見る夢は

夫婦で山歩き!毎年、桜色の季節には、山の桜を楽しみにお出かけしています。何しろ桜、花の時間は短くて、あっという間に新緑を迎えてしまうから、そわそわ、そわそわ。

「栃木県の太平山の桜はきれいですよ」と教えて頂きました。行きたい、行かねば。桜色の景色を思い浮かべてドキドキ、なのに、開花と同時に気温が上昇し、花が散り急ぐのではないかと不安で夜も眠れなくなり(とは大げさですが💦)

春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸のさわぐなりけり
(西行)

・・・

というわけで、東京の桜が満開を迎えた翌週、夏日となった日曜日、勇んでお出かけしてまいりました。

この度は、栃木県栃木市の太平山(たいへいさん)~晃石山(てるいしさん)尾根道のハイキングコースをぐるりと一周。一帯は県立自然公園に指定されており、道中には、厳かな神社やお寺、ところどころ開ける眺望の良さも魅力で、見どころテンコ盛りの山行となりました。(満点過ぎて画像が多くなりました💦)

しかも、ちょっと欲張りすぎて…。本当は、心身ともテンションが低空飛行気味のため、全行程3時間程度ならばと予定していたのに、余分な思惑で迷子になったりして、結局6時間弱の長丁場となりましたが、新緑の風と散り際の桜を心ゆくまで堪能してまいりました🌸そして、なんだか元気になりました。やっぱり、自然の治癒力はスゴイ!と感謝する桜登山です。

歩いたコースはこちら。「謙信平(けんしんだいら)」から左回りにぐるりと一周

謙信平にマイカーを停めて(スタート)→太平山神社→富士浅間神社(太平山山頂)→ぐみの木峠→晃石山→晃石神社→桜峠→清水寺→歴史民俗資料館前をスルーして→大中寺→謙信平(ゴール)(※スマホの万歩計では約2万3千歩)

「謙信平」~「太平山」の桜景色

自宅からマイカーで約2時間。例年の桜まつりの時期には交通規制があるという太平山ですが、お祭り期間が終了したためか、謙信平の駐車場に停めることができました。(無料)

車を降りるといきなりの桜景色と、上杉謙信もその景色に目を見張ったという広々とした眺望が開けました。

満開を過ぎたといえ、伸びやかに枝を広げる山の桜に、ちょっぴりウルウル。

謙信平には茶店も多く立ち並び、お団子や卵焼き、そして焼き鳥が三大名物なのだとか。でも、私たちはこれから周回せねばならぬので、帰ってからのお楽しみということで。

さて、ここから石段を上がって太平山神社を目指します。「天狗の投石」とな?天狗さんが投げたのかな💦ということは天狗がいる?標高3~400m、天狗が空を駆けるにはちょうど良い高さなのかもしれません。

境内には見事な枝垂れ桜。まさに今この時、満開でありました。

ソメイヨシノたちが新芽の葉っぱをつける中、この後のお寺でも、この時期の枝垂れ桜はとにかく見事でした。絵にかいたような、とはこのことかと、感動しきり。

可愛い💗💗

この「撫で石」なるものをナデナデしてから参拝。霊験授かりますように。

枝垂れ桜は、ソメイヨシノがお姉さん🌸だとすると、可憐で無邪気な妹ちゃん💗のようであります。

神社の脇から、縦走路の登山道が始まりますが、ちょこっと脇道に寄り道して、奥宮に参拝してから。

で、いよいよ縦走路入りました。おお~っ、これこれ、久しぶりに緑の傘の下、山の春の匂いに包まれました。

ほどなくして「富士浅間神社」着。

山の中に赤い小さなお社がほっこりと佇んでいました。

その裏手が、「太平山(たいへいさん)」(標高341m)山頂です。

「ぐみの木峠」眺望爽快な尾根歩き

さて、尾根歩きの始まりです。このコースは標高500mに満たない里山のんびりコースでありますが、これまでの経験でも「里山って意外にもアップダウンが多い!」この尾根道も、所々で足腰使います💦

とはいえ、この春生まれたばかりの緑の葉っぱ、きらめく夏日の太陽をやわらかく受け止めてくれています。

「ぐみの木峠」到着。えっ、太平神社からもう1キロも歩いたっけ?と思うほど、道中は休憩ポイントがいっぱいなコースです。

春の木漏れ日は、日焼け用心ではありますが、心と体に優しくしみる、気がします。

まっすぐに天までも届きそうな木々の道。頭上では鳥たちの賑やかなおしゃべりが止まりません。小鳥も生まれたてなのかな(*^^*)

ちょっと疲れたかな~と思うと丁度良いタイミングで眺望の開けます。うわぉ✨

なるほど~これはもう、空を飛ばねばならぬだろう、いや飛べるかも、などと想像を巡らせてみたりして、、、

すると、ふっと目の前を、天狗さんが素通りしたような錯覚に…あっ、なぁ~んだ、ヘッポコ相棒でありました。

「ねぇ、空、飛べる?」「おぉ、まあな」とな?ま、まさか…(^^;)

山肌には山桜。赤い葉っぱは益々赤く、可憐な花を包み込み始めていました。

「駒形石」「駒の爪」?由来は定かではないですが、駒の爪は馬のひずめのことらしいので、もしかして、天狗さんって馬に乗るのでしょうか?そしてこの石にひずめをタッチしてジャンプした?ともかく、きっと、昔々、誰かが馬で空へと駆け上がったのだな~と妄想やまず(^^;)v。

そしてここ、パラグライダーの出発場所らしいです。ほらやっぱりね!この山からは空が飛べるのだ!どうやらこの日は、これから皆さんで飛び立つようです。皆さんは天狗??羨ましい!!

「晃石山」から桜峠へ、春を味わう尾根の道

間もなく晃石山(てるいしさん)到着寸前、またまた木根の登り坂。根っこを踏まぬように、よいしょっ。

そして、晃石山(てるいしさん)山頂(標高419.1m)到着です。

ここからも、広々とした爽快な景色が臨めます。

小さな祠と鳥居があって、山桜も見事です。道中たくさんの山桜に出会いました。登山道は桜の花びらがびっしりと落ちて、みんな散り際の様相でありましたが、それでも、背の高い山桜の優しい色に癒されます。

山頂のすぐ下に、晃石山神社

晃石山(てるいしさん)の由来になった鏡石。この石が毎夜煌々と輝いていたから、晃石山と名付けられたとか。月灯りに輝くのかな。天狗さんがお顔を映してお洒落したのかも、などなど、ここまでくると妄想が現実になりそうに(^^;)

尾根歩きも後半戦となり、ここからは「桜峠」へと下って行きます。

道中の眺望は相変わらず、とても和やかで、度々腰を下ろすことをおススメしてくれているみたいで、休憩多し!やっぱり、わぉっ❣

春色の山肌は夏山と違い、緑の色が若くて、ところどころが桜色、うっすら霞かかる様子も春なんだな~としみじみ、うっとり、します。「山笑う」

桜峠への下り坂、道中の頭上にはきらめく緑と山桜。足元には山ツツジが花を開き始めていました。新緑の季節へと向かう頃なのですね。

この長い長い階段を降りると、桜峠です。

「桜峠」にて森のランチタイム

桜峠は山桜の景勝地。山桜は葉っぱと同時に花を咲かせ、その赤い葉っぱも愛らしく、山に自生する山桜はとっても背が高くて、いつも惚れ惚れしています。が、今年はちょこっと会いに来るのが遅かったな。ごめんね。それでもギリギリ花を散らさず待っていてくれました。

あずまやの奥の道を少し入って、丸太に腰を下ろしてラーメンタイム🍜。この日はとにかく気温が高くてそれだけで疲れてしまいましたが、頭上には色とりどりの優しい傘が日差しを遮ってくれていました。ありがとう。

この「あずまや」に入り代わり立ち代わり、色んなハイカーさんが腰を下ろして休憩されていました。小さな物語がささやかれる森の中。

さて、ここからは、この森を抜けて、麓の「清水寺(せいすいじ)」の絶景桜に会いにまいります。

「清水寺」の桜景色に酔いしれて

清水寺(せいすいじ)たぶんこの時期、このコースの中で、最も桜が美しく映えた場所はここではないかと思います。太平山神社や謙信平に比べるとお花見客もうんと少なくて、なのに、ソメイヨシノに山桜、そして何と言っても枝垂れ桜が大変見事でありました。

菜の花も彩りをそえる、春らんまんな美しさです。

静かな山里に佇むお寺を覆い尽くすような桜景色は、長い道のりを歩いたご褒美みたいです。

というわけで、記念撮影。なんだか申し訳ない気分になり(^^;)

記念撮影なら、やっぱり君でなくちゃね💗

でもせっかくだから、旅の思い出に🌸すみません💦

この子にも、もちろんこんにちは!君は八重桜?サトサクラ?

仏足石はお釈迦様の足型なのだとか。足腰が健全でありますようにというわけで、それはとても大事なことです!どうかよろしくお願いいたします。

境内には眺望を楽しめる「あずまや」もあり、こんな愛らしい春の山里景色を堪能できます。

桜と田園風景、ただ鳥の声だけが響く、何とも長閑で、そして心安らぐ景色を堪能しました。

清水寺を後にして、これからちょこっと山里を歩いて、田園側から“笑う山肌”を眺めよう!と思いたちました。

山笑う春景色~「大中寺」

まずは、こんな新緑のトンネルの道を歩き、瑞々しい若葉に感動!

誰も歩いておらず、アップダウンもなく、緑の散歩道はとても快適でした。

が・・・、このまま進めば次の目的地「大中寺(だいちゅうじ)」にサクッと到着できるはずだったのに、欲張りなことを考えたせいで、このあと大回りをしつつプチ迷子に💦。

里に出たのです。すると、田んぼの中に民家が点在し、道はきれいな舗装路になりました。「もう少し行けばきっと山がきれいに見えるんだよ!」と信じつつ…ですが、辺り一面同じような景色で、道を尋ねようにも人影もなく、今私たちどこにいるの?戻る?行く?

泣きごとを言い合いつつ振り返ると、おっ!おおおっっ。さっき歩いた山が笑いました!

恐らくもう一週間前なら、もっと桜色に色づいていたかと思うのですが、それでも十分に美しい、そして愛らしい山肌。

田園地帯に日影はなく、照つける初夏のような陽射しに体力を奪われ、ほとんど無口になって空を見上げると・・・

キターッ!!パラグライダー!さっきの人たち、いや天狗さんたち、空、飛んでる~💓ゆっくりと悠々と大空を舞う鳥のようであります。ホントに羨ましい!!!お~い❣

スマホの地図アプリでようやく現在地を確認し、山の中へと戻る道中、こんな池を通りました。もう十分に素晴らしい絵になる景色、でもそれが日常の情景であることに敬意を払い、しみじみと胸に焼き付けてまいりました。

日影のない舗装路を長々と歩いたことにより、膝が痛くなり、さらには厳しい暑さのせいで冷たい飲み物を補給をしようと途中の自販機に飛びつくと使用停止!とな。ついに事切れそうになる(おおげさですが)頃、大中寺(だいちゅうじ)到着!

石の階段の奥に佇む荘厳なお寺。ちょっとドキッとしました。

階段を上がり門をくぐると、桜。静寂の中にひっそりと存在感を放つ姿に心あらわれます。ようやく日影に辿り着き、ほっと一息。

ここからは、「関東ふれあいの道」を辿り、スタート地点の謙信平へと戻ります。

よろよろしながら、木々の優しさに感謝して、頑張れ頑張れ!

周回ゴール!謙信平で卵焼き

ようやく、長い一日のゴールに到着しました。謙信さんの「謙信平」。ノンアルコールビールに名物「卵焼き」を頂きました。ほんのり甘い卵焼きが「お疲れ様」と慰めてくれているようでした。

この日、見納めの桜。

一日じゅう、しっかりと暑い日差しを注いでくれた太陽が傾き始めて、立派な桜の木を照らしていました。

いやいや、ちょこっと予想外の冒険もしたけれど、これほど「盛りたくさん」なハイキングも珍しく、それはきっと古の時代よりずっと長い歴史の息づく里山であるからだよね~と遠い時代に思いを馳せててみたりして。

でもやっぱり天狗はいたんだよね?彼らが駆け巡ったであろう景色を、そぉ~と胸にしまってまいりました。

近ごろ使い始めた自撮り棒で記念写真。ハイポーズ✨お疲れ様でした!

おまけ:太平山といえば、マイカーで潜り抜けられる桜のトンネルが有名なのですが、この日はもう随分と葉桜になっていました。もうすぐ緑のトンネルになりますね。そんな季節もどんなに素敵なことでしょう。これからも、お互いを労わりながらめぐる季節を愛しんでまいりたいなと思います。