【熊野古道】よみがえりの地を歩く

新緑と夏山

GWの前半に、長年ずっと行きたかった場所、熊野古道を歩きました。

熊野は、平安の時代から皇族も庶民も、数えきれないほどの老若男女が巡礼の旅をした聖地です。古来、人々は幾日もかけて、ひたすらに熊野三山を目指して歩きました。三重県・奈良県・和歌山県にまたがるその路は「熊野古道」と呼ばれます。

2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として「世界遺産」に登録されました。

今回、満を持して、ヘッポコ相棒な夫と二人、熊野三山を含むハイライトシーンを2泊3日で歩きました。

熊野三山と熊野古道

旅の指南役はこの本!まずは基本をお勉強(^^;)

熊野三山

熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社に祀られる三神を熊野三所権現という。古来神が住むとされた熊野は仏の浄土として崇められ、熊野に参れば現世安寧と極楽往生を保証してもらえると信仰された。 ―大人の遠足「熊野古道を歩く」より

どうやら、熊野本宮大社では未来(来世)の安寧を得て、熊野速玉大社では過去(前世)の罪を浄め熊野那智大社では現在(現世)の縁を結ぶのだそうです。

熊野古道は、京都からつながる紀伊路、熊野三山を巡る中辺路(なかへち)、海沿いを通る大辺路(おおへち)、高野山から続く小辺路(こへち)、伊勢からの伊勢路の5ルートがある。

全ての道は熊野本宮“聖地”へとつながるのだ!

私たちの旅

何年か前には、メインルートである中辺路を端から端まで歩こう!と計画してみました。けれど、都内からのアクセスも含め、とにかく時間がかかり過ぎてしまい、お休みも少なく断念していました。そんなこと言ってる間にアラカンとなり体力も減退、なのでもう無理をすることは辞めて、膝腰にもやさしい古道トレッキング+熊野三山詣で、2泊3日を計画しました!

熊野古道は「魂のよみがえり」を図れる場所、つまり「とてつもない癒しの聖地」であります。何しろヘッポコ夫婦そろって、穢れにまみれた年月を長く生きてしまいましたので、一度リセットを図らねばなりません。そしてこの度、やっと出かけることができました。

いつもの登山やハイキングとは違う「熊野古道」。美しい石畳に苔の道緑深い杉林熊野灘の青い海にも心洗われて、慈悲深い熊野三山に参拝し、大変素晴らしい旅となりました。初日はしっかりと雨に打たれましたが、熊野古道だからこそ雨が似合う。2日目3日目はGWらしい清々しいお天気にも恵まれて、晴れ晴れとした「よみがえりの旅」になりました。

交通機関と旅程

東京からは何しろ遠い。そのため往復飛行機を利用しました。旅の玄関口は「南紀白浜空港」。空港にレンタカーを予約しました。そのため車をトレッキング出発点や帰着点に停車させ、ちょこっとバスや鉄道も利用して効率的に巡りました。(バスや鉄道はとっても本数が少ないのであらかじめ調べておかなくちゃ!)

《私たちが歩いたコース》

◆1日目/杉林の石畳から永遠の聖地へ
 発心門王子から伏拝王子を経て熊野本宮大社
 詳細➨https://howamowa.com/?p=32417

 ◆2日目/青い海辺から苔むす森へ
 熊野速玉大社から王子ケ浜を経て高野坂
 詳細➨https://howamowa.com/?p=32488

 ◆3日目/木漏れ日の石段から大滝へ
 大門坂から熊野那智大社を経て那智大滝
 詳細➨https://howamowa.com/?p=32575

おおよその地図はこんな感じ(和歌山県のサイトから拝借しました→https://www.wakayama-kanko.or.jp/features/kumano)。訪ねることができたのはホントにほんの少しの場所ですが、それでも束の間、熊野路の魅力に浸ることができたと思います。

※熊野三山めぐりには順番がある?特に絶対な決まりではなさそうですが、熊野本宮大社→速玉大社→那智大社の順に回ると良いそうです。なので、それに従ってみました。

私たちが感じた熊野古道の魅力

①巡礼の路・プロセス

登山やハイキングでも目的地はあるし道中の自然に触れることが楽しみであります。けれどここでは、歩くこと全てが「巡礼」なのです。熊野古道は、神と人々の壮大な物語なのだと思いました。

③悠久の歴史を刻む杉木立に苔の道

歩く道はとにかく「古道」。苔むす石畳に石の階段、そこここに現れるお地蔵さんや王子の祠。長い年月を育んだ道を踏みしめる快感がたまりませんでした。

④陽光きらめく熊野灘

鬱蒼とした森や杉木立の林の中ばかりではありません。青い大海原さえもプロセスの一環であることに、神と自然はつながっているのだと実感します。

④雨さえも必然の神域の森

紀伊半島は雨の多い地域であります。聖地は雨を神からの授かりものとして受け入れて来たのではないかと思うほど、古道に雨が似合います。

⑤「ごくろうさんです」

地元の人々は誰もが「ごくろうさんです」と声をかけてくれました。熊野路を歩く人々を古来より向かい入れ手を差し伸べてくれようとする、そのお気持ちさえも聖地の魅力でありました。

⑥祈り

信仰があるわけではない私たちです。お詣りすることは初詣ぐらい。しかし、ここにある巡礼の物語には素直に従いたいと思いました。すると最後には、ほっこりと満たされた気持ちになりました。

《私たちが歩いたコース》

 ◆1日目/杉林の石畳から永遠の聖地へ
 発心門王子から伏拝王子を経て熊野本宮大社
 詳細➨https://howamowa.com/?p=32417

 ◆2日目/青い海辺から苔むす森へ
 熊野速玉大社から王子ケ浜を経て高野坂
 詳細➨https://howamowa.com/?p=32488

 ◆3日目/木漏れ日の石段から大滝へ
 大門坂から熊野那智大社を経て那智大滝
 詳細➨https://howamowa.com/?p=32575

今回歩いたコースは、登山経験なしでスニーカーでも歩ける道でありました。けれども少し残念だったのは、神社や滝には観光客が大勢いらっしゃいましたが、古道歩きですれ違う人はあまりありませんでした。古くから「伊勢に七度、熊野に三度」と言われているようです。もし体力が続き機会ができたら、今度は伊勢路や小辺路も歩いてみたいなと思います。