世界遺産「熊野古道」とは
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初日はまず、神域の入口「発心門王子」から、未来(来世)の安寧を祈る「熊野本宮大社」へと向かう、中辺路(なかへち)のハイライトコースを歩きました。
★発心門王子から伏拝王子を経て熊野本宮大社まで(7キロ約3時間)
ただこの日は雨予報。到着直後はまだ降り始めてはいませんでしたが、発心門からの行程はずぶ濡れのトレッキングとなりました☔でもでも、おかげで大変神秘的なパワーを感じる古道歩きになりました。
アクセスと行程
朝一番の飛行機で羽田から南紀白浜空港へ向かいました。約1時間、あっという間に紀伊半島の先っぽへ到着し、空港であらかじめ予約しておいたレンタカーに乗車。
まずは、熊野本宮大社前の「和歌山県世界遺産センター」を目指します。空港からの所要時間約1時間半。世界遺産センター裏の熊野川河川敷が広大な臨時駐車場になっていました。ここからバスでスタート地点の「発心門王子(ほっしんもんおうじ)」まで15分。
★歩いたコースはこちらです。2時間のタイムになっていますが、雨の中をゆっくり歩いて茶屋で休憩すると3時間はかかるかな。

永遠の聖地「大斎原」
バスの本数が少なくて、1時間ほど待ち時間がありましたので、その間に、本宮前にある「大斎原(おおゆのはら)」を散策してみました。(本当は歩いた後で眺める景色でありますが💦)

なんと、田んぼの中に忽然とあわられた大きな鳥居⛩に息を飲む。ここは、熊野本宮大社がもともとあった場所ですが、明治22年の大水害で流されてしまい、近くの高台に社殿を移したのだそうです。だけど、古来、神々が降臨した聖地はここなのです。長い旅路の果てに辿り着く場所。
鳥居をくぐり木立を抜けると小さな石祠、流されてしまった神々が祀られていました。


発心門王子~水呑王子
バスの中でついに雨が降り出してしまいましたが、無事にスタート地点の「発心門王子(ほっしんもんおうじ)」に到着しました。
※熊野古道の道しるべには「王子(おうじ)」の名前が付けられています。参詣者たちの道中守護のため建てられた祠のことで、熊野古道にはおよそ100か所以上もあるそうです。あまりにも多いと言う意味で「九十九王子」と呼ばれています。

発心門王子は本宮神域の入口とされています。「発心門(ほっしんもん)」とは、つまり「悟りの心を開く入口」。ふむふむ、頑張ります!ということで、雨の日トレッキング用のゴアテックスを着込み、まずはご挨拶。

しばらくは里山歩きとなり、見渡すと幻想的な雲が立ち上って来ていました。いよいよ神域突入です。


ここから、森の中へと入ります!という道しるべに「ヤタガラス(八咫烏)」の標識。ヤタガラスは三本の足のあるカラス。熊野の神様のお遣いで、熊野三山に共通する「導きの神」として信仰されているそうです。熊野古道では至る所にヤタガラスさんがいらっしゃいます。

いよいよ、ザ・熊野古道を体感できる森の道が始まります。

最初は舗装路。熊野古道では、どこのコースでも空まで届きそうな杉木立が立ち並びます。先端は雨に煙っていました。とても良く整備された道なので、ストックいらず。その代わり傘をさすことができました。

ほどなく舗装路が終わり地の道がはじまりますが、とにかく歩きやすく、清浄な空気に包まれていました。この日は雨のせいか、歩く人はとても少なくて、鳥の鳴き声が降り注いでいました。

熊野古道には雨が似合う、そんなイメージを持っておりましたが、まさか本当に雨の中を歩くことになるとは…。ですが、相棒ヘッポコは、“やっぱり雨がイイよな~いや雨で良かった~”と。まさか悟りを開き始めたのであるまいか?まさかね💦

発心門から本宮までは約7キロの道のりで、ゆるやかな下り坂であります。時々丁寧に敷かれた階段上の道を歩きます。

水呑王子~伏拝王子
ゆるやかに坂を下ると「水呑王子(みずのみおうじ)」に到着しました。水呑王子は古来湧き水のあった場所なのだそうです。古の人々もここで一休みされたのでしょうね。

隣に「腰痛地蔵」というお地蔵さんがあり、腰が痛い夫は、やたらに真面目にお祈りしておりました。

ここからは古道らしい石畳の地道が続きます。

熊野古道と言えばの一つ「石畳」にちょっと感激です。どれだけ多くの人がこの石を踏みしめて歩いたのでしょうか。

「蘇生の森 熊野古道」の石碑には、何度か出会います。まさに「よみがえり」の森なのです。

「蘇るということは、生き返るということ?」「いやまだ現世の路を歩いてる途中だからさ、といっても後半戦で疲れが激しいから、ここらで息を吹き返すということかね?」などと話しつつ…
アラカンの身の上の私たちには、「よみがえり」という言葉がやたらに心に沁みるのでありました。

林を抜けると、里山の集落に出ました。伏拝集落。

ここからは里山越しに果無山脈が望めるのだそうですが、雨に煙る峰々には、もしや神が舞い降りているのではないかと思うほど、しんとした静寂の世界でありました。

伏拝王子~本宮大社

伏拝王子(ふしおがみおうじ)には茶屋がありました。ずぶ濡れの体を滑り込ませ、一息つくと目の前に階段が!

階段の上に石祠があり、ここが伏拝王子。ここからあの大鳥居「大斎原(おおゆのはら)」が見えるのだそうですが、あいにく雨の中。古代の人々は、ここで初めてその聖地を目にして伏し拝んだため「伏拝王子」。

この橋を渡ると「三軒茶屋跡」です。昔は三軒の茶屋があったそうですが、今は休憩所。

この辺りは奈良の高野山へ向かう道との分岐点だそうです。高野山、いつか行こう💦。

その後も地道をゆるゆるとアップダウンを繰り返すと林を抜けて舗装路に出ます。集落の間を歩くと、このコース最後の王子「祓殿王子(はらいどおうじ)」があります。もうすぐそこに本宮の裏門があるという場所なため、ここで道中の穢れを払い身を浄めて参拝したのだそうです。現在は石祠しかありませんが、私たちの場合、道中の雨に穢れも浄化されたかもしれず、深く一礼して本宮へ向かいます。

熊野本宮裏鳥居。

本宮大社~雨の大斎原
しっかりと雨が打ちつける中を歩くこと、およそ3時間。ようやく熊野本宮大社に戻ってきました。ここでまず、未来(来世)の安寧をお祈りします。現世もままらない中、来世を願うことなどできるのかどうかわからないのですが、魂の再生を図り来世を祈る、その神秘的な営みに、この身を預けてみました。


熊野本宮大社、大きな神社ではありませんが、道中の物語も沁みる、霊験あらたかな場所でありました。


そしてもう一度、あの大鳥居を眺めに行きました。

鳥居にはヤタガラスが、雨にすっぽりと濡れそぼっていましたが、やたらと神々しい。どうやら、ここまでの道のり、私たちを無事に導いてくれたのかもしれません。

熊野川の堤防から臨む大斎原。なんと威厳のある姿なのでしょう。永遠の聖地の佇まいを、深く心に刻んでおこうと思います。

そしてこの日は、熊野本宮温泉郷「湯の峰温泉」の「湯の峰荘」という温泉宿に宿泊しました。本宮から車で10分。早朝から活動し、雨の中をひたすら歩いたこの身をやわらかなお湯に浸し、フレンチシェフが作ったという地場産食材の和食を堪能して、雨の音を聞きながらほっこりゆっくりと夜が更けました。
※2日目に続く➨https://howamowa.com/?p=32488
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◆2日目/青い海辺から苔むす森へ
熊野速玉大社から王子ケ浜を経て高野坂
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◆3日目/木漏れ日の石段から大滝へ
大門坂から熊野那智大社を経て那智大滝
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