毎年2月には雪の中を歩いています。雪山へ行くなんて(*_*)と、周りの人に驚かれるのですが、実は一番ワクワクする季節と言っても過言ではなく、何と言っても、冷え切った静寂の世界の中で、たっぷりの雪をアイゼンやスノーシューでサクサクと踏みしめる感覚がたまらなく好きなのです。
とはいえ、雪山、天気が荒れた時には道迷いや滑落、危険と隣り合わせ。さらに我が家では、私の膝腰トラブルが問題となっていて、主治医にも難色を示されているため(とても悲しいことでありますが)これまでのようにガシガシ登ることは難しい~💧。どうしよう。
でも、行きたいのよ💦そこで、うんと検討したあげく、そういえば、北アルプス穂高連峰の一角を成すあそこ。あそこがあるじゃん。ピークまでは行かれないにしても、あそこなら。だってロープウェイでらくらく行けて、通年営業の山小屋あり。
というわけで、2月後半の三連休、西穂丸山登山へと行ってきました!本当は日帰り登山できちゃうコースですが、慎重に慎重を重ね、大事をとって山小屋「西穂山荘」に宿泊しました。おかげで、白銀の世界を堪能したことはもちろん、山肌を赤く染める見事な夕日、オリオン座が姿を見せる満点の星空、白い雪の斜面を眩く照らす朝日も、全部全部をこの目と心に焼き付けてまいりました。
★長~い山レポの前に、お天気に恵まれた稜線は、こんなに素敵。山荘にリュックを預けて、西穂高岳のピークを眺めつつ、サクサク散歩↓↓↓
アクセスと行程
【アクセス】 東京からは、新宿発のJR特急「あずさ」で→松本→高速バスで「平湯温泉」→路線バスで「新穂高ロープウェイ」着。都内の自宅から約6時間をかけて到着です。
なので、初日は(これまた無理せずに)ロープウェイの目の前にある「ホテル穂高」に宿泊しました。古いけれどアットホームなホテルで、大きな露天風呂あり。しかも翌日は山小屋泊ですが、戻るまで余計な荷物を預かってくれて、下山後の日帰り温泉も無料!(※残念なことに2026年5月には閉館なのだとか💦今回宿泊できて良かった)

【歩いたコース】こんな感じ(下の地図↓)。なんたってロープウェイで2,156mまで楽ちん移動できるから、目的地の「西穂丸山」2,452mまでの標高差はたったの300m弱です。
2日目の朝、ロープウェイ乗車→西穂高口駅~西穂山荘まで登り約1時間半。休憩ののち、山荘~西穂丸山往復約1時間。夜は山荘でまったり。3日目の朝、もう一度「西穂丸山」を往復してから下山。下山後ホテルにて温泉を堪能し、バスと列車を乗り継いで、都内の自宅帰宅時刻は夜9時って感じ。

新穂高ロープウェイで天空の世界へ
朝9時、新穂高ロープウェイ乗り場は長蛇の列でありました。どうやら登山者2割、海外からの旅行者8割という具合でしょうか。約1時間強並んでやっと乗車。第一ロープウェイで鍋平高原駅1305mへ。ここには自然散策路がありスノーシュー歩きが楽しめるみたい。

第二ロープウェイで鍋平高原駅横の「しらかば高原駅」から標高2156mの「西穂高口駅」へ向かいます。おっ、二階建てロープウェイ!

午前11時頃にやっと、登山口のある天空の駅「西穂高口駅」到着しました。登山開始前に、ロープウェイ駅にある展望台へ行ってみました。
なんと、真っ青な空に飛行機雲が「西穂高岳」山頂へ向かってる。

よぉ~く目を凝らすと、ちょこっと穂先を突き出しているあの尖峰は「槍ヶ岳」。

そして、反対側には「白山」の白い峰が美しい~のです。

とりあえず、記念撮影✨をしてから、さっ、行ってきます!

ゆっくり登って西穂山荘へ
ロープウェイ駅の外、周辺はきれいに雪かきされていて、たくさんの観光客の皆さんが雪と戯れていました。どうやらこの周辺は「頂の森」というらしい。

観光ゾーンの片隅、ここは「槍の回廊」と呼ばれていて、西穂高岳と槍ヶ岳の尖峰が良く見える。


さて、ここから先は「danger zone」の立札があり、登山装備がなければ踏み入れては駄目よ、と書かれていますが、そこが登山口なのだ(^^)(さほど危険はないけれど、アイゼンは必要)というわけで、あらゆる言語の喧騒がぴたりと止んで、静かな白銀の森のはじまりです。
今回は、とにかく時間はたっぷりあります。ゆっくりのんびり~歩いて行こう!

しばらくは歩きやすい雪道で、そうそう、ここ、ここよ~こんな感じが大好き!と大はしゃぎ。しかもお天気が良すぎて、ジャケットの下のフリースを脱ぎました💦
途中、歩荷(ぽっか)さんがガシガシと登って来られたので道を譲ると、あっ、山荘の支配人さんでした(気象予報士さんでもあるという有名人)!「今晩お世話になります」と言うと、「お待ちしてます」って笑顔でお応え下さりズンズン先を急がれて、すぐに姿は見えなくなりました。

しばらくすると緩やかな登りがあったり、(せっかく登ったのに下るという)山道「あるある」の急な下り坂。でも木の間に見え隠れする西穂の姿が美しい。

だけど、ちょっとどうよ!と気合いの必要な急登が始まります。アイゼンがなければ絶対無理!な雪の坂道。

ヘッポコ相棒は安定感抜群。私の荷物も背負って(だって重い荷物を抱えては駄目って主治医が言ってるから💦)サクサクと(いつものことだけど、まるで山ガイドさんみたいに)登って行きます。

真っ青な空は春の匂いがします。だけど、地面は足を取られそうな深雪。アイゼンのグリップを効かせてしっかり踏みしめて、歩け歩け!登るのだ!

歩くこと約1時間半。あれ?もう着いた?と思うほど、あれよあれよという間に、西穂山荘到着です!すごいことに、1階は雪に覆われている。けど、雪山としてはかつて見たことないほど大勢の登山者がいらっしゃいました。

西穂山荘は標高2367m。ロープウェイ駅からの標高はたったの200mほど。なるほど近い!
山荘前に大きな雪だるまが鎮座していました。「まもちゃん」というお名前のようです。きっと、皆を守っているから「まもちゃん」。ありがとう!こんにちは。今晩よろしくね💖まもちゃんの後ろ側、あの壁面を登って行くと、西穂丸山~西穂独標~ピラミッドピーク~西穂高山頂へと進む稜線に出るのだな。

あったかお宿の西穂山荘
雪に埋もれる季節に多くの山小屋が休業する中、西穂山荘は、北アルプス南部で唯一冬季営業している山荘です。
到着時刻がちょうどお昼頃なので、ひとまずアイゼンを外して、まずは西穂山荘名物の「西穂ラーメン」でランチにしました。味噌と醤油があります。両方頼んで食べ比べ。私はおだしの効いた醤油が好きでした。麺はちぢれ麺。こんな高所で、水不足の中、何とありがたいことで。こってり美味しく頂きました🍜💛

腹ごしらえの後はチェックイン。むむむ、この雪のトンネルを抜けるのだな。

す、すごいことになってますが、なるほど真冬の北アルプス!

1階で靴を脱いでチェックインの手続きをすると、部屋割りと食事時刻の案内を頂きます。宿泊部屋は2階。天気の良い連休はどの部屋も相部屋でお布団がギュンギュンの満室でした。廊下には各所にストーブがたかれているので館内はとても暖か。外は氷点下でも、お布団の他に毛布も二枚ずつあり、湯たんぽも貸し出してくれるので、夜は暑いぐらいでした☺トイレは様式のバイオトイレ、冬季は洗面所の水は出ないのでペットボトルの水を買って大事に使います。

夕食はボリューム満点。とりあえず自販機で買ったハイボールも。ご飯と豚汁はお替わり自由。

朝食は正しい日本食。鮭でカルシウム補給ができるのもありがたいです。朝のお味噌汁はお替わりしました、うふっ。

そして、西穂山荘は映画「岳」のロケ地でもあったそうです。小栗旬さんと長澤まさみさん出演の、山岳救助隊の映画でした。随分前に見たような気がします。なるほど、ここも撮影場所だったのですね!

そういえば、登山道では行きも帰りも岐阜県警と書かれた鮮やかなジャケットを身に着けた人々に会いました。山岳救助隊の人たちなのかな。何しろ雪の穂高連峰ですもの。どんなに熟練の登山者でも危険と隣り合わせ。県警の皆さんは屈強で確かな足取りも頼もしい方たちでした。
西穂丸山往復一回目
では、ラーメンで腹ごしらえの後は、山荘にリュックを置いて身軽になって、西穂丸山へ行ってみよう!

ちょっと急な斜面を数分登りきると、こんな素晴らしい稜線に出ます。目の前には、西穂高のいくつものピークが見えて、うひょ~vv。

西穂丸山までは、すぐ到着してしまう。たぶん15分、20分ぐらいでこの場所。

右端のぼこっとした凸岩のところは「西穂独標」と呼ばれる場所で、その先の三角錐のような部分が「ピラミッドピーク」、さらにその先いくつかピークを越えると「西穂高山頂」です。ここから先を進むにはピッケルとヘルメットが必要。ただ「独標」までは多くの人が進まれていました(本当は私だって行けるはずだったのに💦でも体が大事)。さらに独標の先は上級者しか行かれません(といっても、山荘泊の登山者にはハーネスをつけてロープを担いだツワモノたちがいっぱいいらっしゃいました)

でも、今の私はここが安全圏。丸山山頂周辺をうろつきまわって、雪面に反射する午後の日差しを浴びました。

西日が眩しい帰り道。滑落の心配のない稜線歩きは天空の散歩道です。

晴れた日にはこんなに心地の良い雪道であることに、感謝する午後なのでした。

小屋の前にテントの花が咲いていました。冬でもテント泊、あこがれです。

日没ショーとオリオン座✨からのご来光🌄
夕食を終えて、午後5時半、日没時刻が近づいてきました。この時期の日没は小屋の裏手の登山道から見えると聞いて出かけました。すると、おぉ~すでに太陽が、この日のお別れ準備を始めている頃。

遠くの山並みの稜線はどこまでも伸びていて、地球は丸いのだとシミジミとします。

遠くの山でも、近くの山でも、たぶんきっと今日の太陽を見送る人がいるのでしょう。そんな皆にも手を振りたくなる、日没の瞬間。

ありがとう。また、明日。

太陽が沈んでも、稜線の赤色はいつまでも消えず、夜はゆっくりと時間をかけて更けてゆくのだな。

西穂山荘別館にはラーメンやお酒おつまみを販売しているレストハウスがあり、夜は7時まで営業していました。だから、もちろんお酒とおつまみで星空待ち!
月が高く昇っても、空との狭間の稜線は益々赤味を増して、地球と宇宙の境目を教えてくれているようであります。

日没ショーが終わり、山荘が宇宙の一部になった頃、頭上には満点の星空が現れました。スマホの画像ではとても写りきらずに残念なのですが、本当は無数に降り注ぐような煌めく夜空なのでありました。

2月の南東の空。オリオン座が見えました。そして、冬の大三角形!何度も真冬の登山をしていますが、山小屋泊が珍しいのと、お天気の関係で星空が見られたのは初めてかもしれないです。そういう意味では、日帰りしなくて良かった💙

明日もまた訪ねる西穂丸山も無数の星たちに包まれて静かにその身を横たえていました。

消灯時刻は8時半、足の踏み場もなく敷き詰められたお布団を踏み越えて、毛布にくるまり湯たんぽを抱えると、山荘の夜はしんと静まり返り、今宵同じ屋根で眠る皆様と共に夢の中へ💤
山小屋の朝は早い。5時頃周りの物音に起こされて起床。そして朝食も2交代制。私たちは先を急がないので朝6時10分に頂いて、外へ出ると、東の空が白み木々を透かして朝日が昇り始めていました。

6時半頃。来ましたね!ライジングサンであります🌄

ふと見ると、まもちゃんも満面の笑顔☺おはようございます🌞

何度も山で日の出を見てきましたが、どんな環境にあっても、昨日沈んだ太陽は、今朝もちゃんと昇るのだという当たり前のことが胸を打つ、ありがたい夜明けであります。

西穂丸山往復二回目
太陽が高くなると、ツワモノたちが続々と出てきて準備に余念がありません。きっと皆さんピークを越えて西穂高の頂にタッチされるのかな。どうか気を付けて!

私たちは、ゆっくりとレストハウスでモーニングコーヒーを頂いてから、荷造りをして、同室だった方に「またどこかの山で会いましょう」とご挨拶をすませ、そして、もう一度「西穂丸山」を歩く予定ですが、その前に、まもちゃんと記念撮影です。

快晴の朝。青空に浮かぶ焼岳を背に、少々急こう配な雪坂を登ります。ここはグリーンシーズンは岩場です。だけど、膝や腰が劣化している私には、ごつごつを雪が覆いつくし滑らかにしてくれることで衝撃が少なくなって体に優しいように思います。

標高差数十メートル、すぐにこの稜線に出ます。ちょっと風がきついのでネックウォーマーを鼻まで引き上げて。そして、どうよ、もう、この爽快な空とアルプスの雪景色。

今日もちゃんと、西穂高岳のピークが青空を突き刺しています。

山並みの先には雲海。

またまたサクっと西穂山頂到着で、西側には「笠ヶ岳」。

早朝から独標を往復された方が下りて来られて、とっても親切にたくさん記念撮影をしてくださいました。西穂高岳とヘッポココンビ。

笠ヶ岳とヘッポココンビ。

ちょっと山男風に記念撮影✨

2400メートル地帯の稜線は、もしお天気が悪いと猛吹雪でホワイトアウトしてしまうのですが、こんな素晴らしいお天気に恵まれたこと、心より感謝申し上げる次第です💦

時間はたっぷりあるので、今日もまた、動画に収めてみましたよ↓↓↓
それにしても、目の前に登るべき道があるというのに断念せねばならぬことは無念極まりないのだけれど、今の体でなんとかここまで来れたことに感謝せねば、ですね。

本当は、この稜線には真っ白に変身した雷鳥が生息しているはずです。なのでくまなく探してみましたが、残念ながら出会うことはできませんでした。あの子たち、お天気が良いと空から降って来る怖い敵を警戒してなかなか出て来てくれないそうで、仕方ないです。雷鳥さんも安全第一。
ありがとう西穂高
さてさて、山荘に戻って、リュックをピックアップしたら、麓の温泉をめがけて下山です。考えてみれば、昨日よっこらしょっと登った急登は下りもきつい。ですが、やっぱり雪が覆っているおかげで、膝腰負担が軽減されるみたい。慎重にアイゼンを効かせてゆっくり降りる。

下りはあっという間。小一時間でロープウェイ周辺まで下山してきました。回廊で名残惜しい西穂高にお別れを告げよう。

それにしても、、以前に初秋の奥穂高に登頂した時も思ったのでありますが、とにかく登山者が多い。『穂高』という響きは多くの人を惹きつけるようです。それはきっと、山ノボラーにとって「穂高」とは神々しいブランドであり、きびしい美しさで人々を誘惑して止まないからでしょう。
西穂はその中でもロープウェイのおかげで冬場も挑戦できるエリアであります。思うように高所登山ができなくなりつつあっても、今回、その一角へと足を踏み入れることができたこと、素敵な時間を過ごせたことは、決して忘れない。

ヘッポコ揃って、少しずつ老いていく日々でありますが、山が私たちを誘う限り、行けるところまで、また会いにまいりましょう。
麓では春の足音が聞こえ始めました。えっ!季節が巡る?どうしようかな~☺。ぜひまたのんびりと、山の春に浸りに行きたいな🌸と思います。

