今年の春は、とってもお勧めな、お花見登山の穴場を見つけました!
箱根 浅間山(せんげんやま)
毎年のことですが、平地の桜が花を散らすと、山へ行かなくちゃ!会いに行かなくちゃ!風に吹かれる山桜を想って、そわそわドキドキ。そして今年も、どこの山へ会いに行こうかな~。で、あっそういえば、と、ひと昔前に買った本のページをパラパラめくってみると、思いがけない素敵な場所がありました。
歩いてみると、なんと、こんな嬉しい場所をどうして今まで知らずにいたのだろう!と驚くほど、(桜季節の週末なのにハイカーさんは少なくて誠にもったいない)まるで桃源郷のような、春の居場所でありました。
※その本とは、「山と渓谷社」出身の若菜晃子さんという方が執筆編集されているこちら。

掲載されている場所はすでにほとんど歩いてますが、久しぶりに開いてみると、あれ?ここへは行っていないぞ。「甘く暖かな花ざかりの箱根」とな!?キャッチコピーにもそそられる。
というわけで、街の側溝に色を失いはじめた花びらが集まる頃、ヘッポコ夫婦揃って、箱根の山へ出かけました。
そこは、温かな日差しと優しい色彩が溢れ、鳥のさえずりが心地よく梢を渡る。山道は薄桜色の夢の中(というと大げさではありますが、たぶん言い過ぎではないぐらい)、ふんわりとした空気に包まれたとろりと甘いやわらかな春、じわじわと心解ける良き一日を過ごしてまいりました。
アクセスと歩いたコース
4月11日(土)ようやく晴れた週末、久しぶりの箱根。
【アクセス】都内から新幹線で「小田原」→小田急線で「箱根湯本」→箱根登山鉄道で「小涌谷」下車。(帰りは箱根湯本からロマンスカーでびゅんと帰ってきました😊)
※歩く道の大半は「湯坂路(ゆさかじ)」といって、箱根湯本~芦ノ湖の芦之湯を結ぶ箱根越えの古道です。この湯坂路を端から端まで歩いても良いのですが、でも、参考本のおすすめ通り、箱根登山鉄道にも乗りたかったし、「箱根湯本」に降りれば帰りが安心だし、「小涌谷」から入ることにしました。
【歩いたルートはこちら】①小涌谷駅→②鷹巣山→③浅間山→湯坂山を通って→④箱根湯本駅
【高低差と距離・所要時間】浅間山標高802m・鷹巣山標高834m/歩いたコースの標高差:小涌谷駅がすでに標高500m近くあるため、登り386m・下り808m。総距離約9キロ。標準タイムは休憩なしで3時間半ぐらいですが、私たちヘッポコは花粉症の夫の具合が激悪化したことと、下り膝痛の私のせいで長~いランチタイム&休憩込みで約5時間💦

箱根登山鉄道にて小涌谷駅へ
箱根登山鉄道は、箱根湯本~強羅(ごうら)を走る本格的な山岳鉄道です。急こう配をジグザグに登っていくため、途中3度ほど進行方向が変わるスイッチバックがあります。

箱根登山鉄道は、1979年にスイスのアルプスを走るレーティッシュ鉄道と姉妹提携しています。昨夏にサンモリッツからレーティッシュ鉄道ベルニナ線に乗車した時、ベルニナ・ディアヴォレッツァの駅にこんな看板がありました。

こちらがレーティッシュ鉄道ベルニナ線と美しい湖ラーゴビアンコ。世界遺産が目白押しのこの路線。それにしても、スイスは夢の国でありましたなぁ💙

箱根登山鉄道も、ベルニナ線と同じ赤い列車です。車内には大きな窓があり4人掛けのボックス席。ただベル二ナ線と違って3両の短い車両編成ですが、可愛い列車はガタンゴトンとゆっくり登っていきます。
箱根湯本を午前9時前に発車する列車に乗りました。およそ半分は強羅へと向かう外国人観光客の皆さんでした。湯本から約40分で小涌谷駅到着。

千条の滝
小さな駅「小涌谷」(無人駅)では、私たちの他数人の登山グループの方が下車されました。駅ホームにあるトイレを済ませてから、駅からすぐの国道1号線を渡って舗装された坂道をちょこっと歩き、案内板に従って「千条の滝」方面へ。土道に入るとすぐ、森の入口に「千条の滝」。ここが登山口です。

幅約20m・高低差約3メートルの滝。苔むした岩肌を、山の伏流水が千の糸となって流れ落ちる様子から「千条(ちすじ)の滝」と呼ばれているのだとか。

清涼感あふれる場所にベンチあり。あの橋を渡って山へと入るのだな。まだほとんど歩いていませんが、ちょっと休憩して、靴ひもを結びなおしたりストックをセットしたりして準備を整えます。
*ちなみに全行程、健康な方なら「ストック」なしで歩ける快適な道です。ただ私の場合、膝と腰に問題ありなので、このところは用心してストックを使うことにしています💦

少し前までは雨が降らずに滝の水が枯れるほどだったそうですが、桜の開花と同時に断続的に雨が降り、新緑の森の中、川の水音が心地よく響きます。

橋を渡ると、道案内の標識看板あり。ここからです。はりきってlet’s go!

千条の滝から湯坂路へ
歩き始めると足元にはタチツボスミレ。春は足元にも。

少し登ると、「鷹巣山」と「浅間山」の分岐に出ます。私たちは「鷹巣山」へと登ってから「浅間山」へと向かうので、ここは「鷹巣山・芦之湯」方面へ。鷹巣山までここから40分。

小涌谷の駅はすでに標高500mぐらいあるので、登りといっても大変にゆるやかで、木陰の散歩道のようであったりします。

いや、まあ、でも、たまにはちゃんと登りますけど。

木の間から見えるのは「丸山」かな。春色の山肌にはところどころに山桜。ということは、この先にも🌸期待が膨らみます。

いつもの登山に比べると、とてもゆる~い登りなので、あっという間に湯坂路の分岐に到着です。左に行くと「浅間山」まで約10分。でも私たちは先に「鷹巣山」(ここから約15分)の右方向へと進みます。

湯坂路を鷹巣山へ
なんと、ここから歩く道は「湯坂路(ゆさかじ)」というのですが、鎌倉時代に箱根山を越えるために整備された古道で、温泉場である「芦之湯」から東海道随一といわれた箱根の「坂」を超えるというわけで「湯坂路」。
※ただ私たちは、この工程後半戦に待ち構える長い急坂については想像が及ばず、この先しば~らくの間、なんてゆるくて気持ちの良いハイキングコースなのだと感動しきり💦

まずは「鷹巣山」へと向かいます。きちんと整備された木の階段。お、山桜🌸、お目見えです。

歩く人はほとんどなく、背の高い桜と新緑の木々の下、階段をゆっくり登ってまいります。

振り返ると山桜のアーチのようになっていたのでした。🌸🌸🌸

都心の桜名所に咲き並ぶソメイヨシノとは違う。何しろまずは立派で逞しい。

けれど風に舞う花びらが頭上高くから降り注ぐ様は、優美でありながらも儚さが心にしみいり、いやはや何とも、しみじみと、「あはれなり」な情景なのであります。

階段を登りきると、ひときわ鮮やかな山桜が出迎えてくれました。こちらはまるで、お城の姫様のような優雅な美しさ。

鷹巣山山頂は「鷹巣城跡」でもあります。どうやら、秀吉の小田原攻めに備えて後北条氏が建築した箱根山の諸城の一つだそうです。秀吉に従って参陣した家康も、しばらくこの城に滞在した記録があるそう(しかし城跡は実は次に向かう「浅間山山頂」だったという説もあり)。

山頂の眺望はありませんが、ベンチとテーブルがあって、目の前にも桜満開。とりあえず一休み。

湯坂路を浅間山へ
鷹巣山から来た道を戻りつつ、浅間山へと向かいます。

山桜はソメイヨシノと違って、花と葉っぱが同時に咲きます。寿命もソメイヨシノよりもうんと長くて100年、150年も長生きするようです。山に自生する山桜はその野趣あふれる風情も魅力なのです。


こちらはオオシマ桜。やっぱり葉っぱと花が一緒に咲いています。

日差しも眩しい青一色の空の中、桜と新緑の入り混じる、ゆるやかなハイキングコースをのんびり歩いていくと、ぷは~と目の前が開けました。

浅間山(せんげんやま)に到着です。頂上付近はとても広い原っぱのようでもあり、なるほど、もしかして鷹巣城はここにあったのかもしれないな、と思いました。

浅間山で長閑なランチタイム

ここでは、幾人かの方がランチタイムを過ごされていました。たぶん全行程の中で最も「ごろ寝」がしやすい場所でもあり、私たちも桜の下の木陰を選んでリュックを下ろし、お湯を沸かして恒例のラーメンタイムです。

向こうの方に見える山は…

あれは箱根の駒ヶ岳でありますね。

ず~っと前の冬(雪の季節に)強羅からケーブルカーで早雲山まで行き、「神山」~「駒ヶ岳」を歩き温泉に泊まって翌日に「金時山」を歩きました。あの時、駒ヶ岳から見た富士山は大きかったね~なんて話ながらラーメンをすする。(ちなみにあの日、駒ヶ岳山頂から見た富士山はこちら↓)

けれど、ここは春爛漫。長いこと休憩をして、居合わせた方に記念撮影をしていただきました。そうそう、年甲斐もなく若い頃に愛用していたピンクのウィンドブレーカーを着てみたのでした。だって桜の季節でありますので🌸。

そして寝転んだ隣には黄色の野花が咲いていました。なんて名前だろう。春には黄色が欠かせない。

長い湯坂路は桜と新緑の競演ロード
浅間山頂上広場で小一時間も遊んだ後、さてさて湯坂路をのんびりゆっくり歩いてまいりましょうか。ここからはゆるい下り坂がだらだら続くらしいということで、なんだか登山というより散歩気分で出発です。

これはまたオオシマ桜かな。

頭上は、芽吹いたばかりの新緑のカエデと山桜の競演であります。青空バックであることが何よりありがたく、高木に遮られた日差しがちらちらと降り注いでくれる様は、やっぱり夢の中気分なのであります。

湯坂路の両側には、ず~っと箱根笹(竹)の防火帯が作られています。箱根越えの古道をハイキングコースとして整備した際に植えられたのでしょうか。細い笹竹がゆさゆさと風にしないでいました。

ゆるいゆるい下り坂。

ちょっと目を引く愛らしい桜の木。

この山桜はなんという名前なのでしょう。ベニヤマザクラ?かな。

ほどなくして、大平台の分岐に到着です。ここ、ここの写真を本で見て、ぜひ行きたい!と思ったのでした。甘くて優しくて繊細で、春の色彩はとても朗らかです。しかも山の中。気取らない、ストレスフリーな自然の情景を、いつまでも心に留めておきたいです。

そして、失礼します。この身をその中へと連れて行く。

そして、景色の一部になってみる?いや、なんだか申し訳ない。

ここから左に進むと箱根登山鉄道の大平台駅へと下ることができます。(ここから湯本まではまだ長い長い道のりなので、ここで下りるグループもありました)

もしかして、浅間山頂上よりも、この分岐の方がうんと桜を味わえるような気がします。何しろ人影もなく、春の木漏れ日はほっこりと温かく、風がほんのり香る甘い匂いを運んでくれます。昼寝なんかしたら、小鳥のさえずりが優しい子守歌になるでしょう。

実は少し行くと、桜の木陰でご家族がお昼寝中でした。そうだよね、次回はぜひ、それやってみたいと思います。

とにかくこの道は、長い長いゆるやかな道。途中すれ違う人は本当に、とても少なくて、何度も言うけれど、誠にもったいないぐらい、ずっと山桜の散歩道なのです。

何度も立ち止まる、そして見上げてしまう。

頭上は新緑と桜のドームのようになっているので日焼けの心配もありません。

身も心も、頭の先からつま先まで、うっとりと春に酔いしれて、歩みはゆるくのんびりと。

ちょっとした切り株を見つけると、すぐに腰をおろして見上げてしまう。何度見上げても、青空に溶け込むような桜色と黄緑色。梢から梢へと、なかなか目視はできないけれど、小鳥のさえずりがとにかく賑やかです。

ところで、山頂から随分と歩いてきたような気がしますが、下り坂といえばそうかもしれないけど、あまりに緩やかで、あまり標高が下がっていないのではないか?と疑問が湧いてきました。だって本当は800メートル近く下山しなくちゃいけないハズなのに、大丈夫なんだろうか私たち💦

でも、ちょっとずつ、桜色よりも黄緑色が濃くなってきているかもね。

しばらくすると、ますます、新緑の勢いが増してきた気がします。

そして、地面は桜花びらの絨毯に。

ねえ、やっぱりこの先で帳尻を合わせないと、全然下山できないのではないかな?どうなっちゃうんだろう。木陰に座って地図を広げて見たりして。でも道は一本道、間違いようがないよな!ということで💦
それにしても気持ちいい!

花粉注意の下山道(急坂あり)
やがて、山桜が姿を消して、あたりに杉の木がびっしりと立つ景色が広がり始めました。するとヘッポコ相棒の夫がクシャミが止まらなくなり…そういえば相棒は、割とひどい花粉症なのでした。4月も中旬近くなって治まりつつあった症状がいきなり激しく再生して、とにかくクシャミも鼻水も涙も止まらない、、、(-_-;)

見上げると、これまでの生まれたての黄緑色が、しっかりと色を増した頼もしい新緑色に変わっていました。けれど、鼻水とクシャミが連続して木々の間に響き渡り、小鳥たちが驚いて飛び立って行く始末💦

そして道はうっそうとした森に突入し、突然に急坂が始まるのです。

やっぱり帳尻をあわせないと湯本に辿り着けないわけです。しかし、この後は、相棒の激しい花粉症と、急な下りで私の膝がヤバイと嘆き始め…写真どころではなくなってしまったのでありましたが・・・
ただ、急坂と言っても、日本の山ならどこの山にもある下山道です。ただ、ちょっと心の準備がなかったことと、道が狭いので、より急に感じるかもしれません。しばらくすると石畳の道も。

そして、突如現れる「湯坂城跡」。ここのお城は戦国時代には湯坂路を押さえる防衛の拠点だったのだそうです。それにしても、ちょっとゴールはまだなの?まだなの?ハックション!グジュグジュ。イタタッ💧

急坂がジグザグ道になって下の方に建物なんかが見え始めると、いきなりすとん!と国道一号線に出ます。ここが湯坂路の箱根湯本入口なのだな。(ちなみに、こっちから登り始めると、うっそうとした森の急坂がひたすら続くので気持ちが折れるかもしれません)

そして、長い長い湯坂路のゴールへと到着し、私たちは強制的に夢から覚めたのでありました。
箱根湯本でお土産ショッピング
国道一号線に渋滞している車の間をすり抜けて、早川にかかる橋を渡ると、湯本の商店街が始まります。

夢から覚めて、いきなり人混みに揉まれると、すぐには現実に戻れないのではありますが、とはいえ、お蕎麦やお饅頭や蒲鉾、そして近頃人気だという箱根ラスクなんかをお土産に買いました。

そして、帰りはこれ「小田急特急ロマンスカー」に乗って、箱根と言えばの蒲鉾をおつまみに、冷えたビールなんか飲んじゃって、びゅ~んと都内へ戻ってきたのでありました。

気づけば、街はもうすっかり初夏の匂いさえするようになり、桜の木は黄緑色の葉っぱを芽吹かせていて、ハナミズキの街路樹が青空を仰いでいます。
アスファルトとビルに囲まれた街に暮らしていると、暑い寒いは感じても、季節が巡っていることに無頓着になっているなと感じます。
でも、こうしてたまに山へと足を運ぶと、そこでは人の手の及ばぬ自然の営みが、自由に、そして大胆に繰り広げられていて、街では感じることのできない喜びを味わうことができます。なんたって、同じ空の下なのに、その色さえ違うのです。
もし、心が縮こまって、楽しいって思える時なんてないわって気づいたら、山を歩きませんか?たぶんそこは夢の国。
きっと、湯坂路は、紅葉の季節も素晴らしいのだと思います。
